ラリー仕様のハイエースに試乗、したけれど、競技出るなら100年の練習が必要か?

クルマじゃないみたいなクルマに乗ったことはありますか?  私の少ない経験の中では、コルベットは戦闘機、ランクル300は船を操縦しているようでした。そんな中、新たに”車じゃないシリーズ”に追加された車があります。全日本ラリー選手権に出場し、国沢師匠がドライバーを務める「ハイエース」です! なんと部外者で初めて乗らせて頂けることになったので試乗レポートをしようと思います。

白い球がシフトレバー。青いレバーはハンドブレーキ!

エクステリアデザイン⭐️⭐️⭐️
荷物や人を運ぶ実用車であるハイエースなので、本来退屈なボクシーなデザインなものの、それがラリーに使われているのは前代未聞。何度見ても興味深いベース車両のチョイスです。エクステリアのボディカラーをマットに仕上げるだけであれだけかっこよくなるなんて、もし私が将来ハイエースを買う機会があれば是非ともマットにしたいと思いました! カッコイイ!

インテリアデザイン⭐️⭐️⭐️⭐️
ノーマルと変わらないエクステリアとは裏腹にインテリアは不要なものは外され、レースカーっぽい雰囲気を醸し出しています。シートは標準よりも少し低く(ただ真下にエンジンがあるので着座高はそこまで変わらない!)、遮音材なども全て無し! 各所からボディパネルが顔をのぞかせています。ハイエースが本当に競技車両になってるんだと、何度も感動しちゃいます!

エアバッグがなくなりシフトレバーが変わり足元も内装なし

視認性⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
さすが商用車&実用車の代表。見切りは抜群に良く、文句をつけるところが見当たりません。箱型のデザインの為、駐車もミラーを見ながらラクラクです。私が今回ハイエースを走らせたのは田んぼと森しか見えない村の中。視点が高く見やすい窓から見える景色についつい癒されちゃいました。(笑)

パワー⭐️⭐️⭐️  
ラリーに出る車だから一体どんなカスタムを施されているのだろうと思うのですが、エンジンはノーマルだそうです。最高出力136馬力/3600rpm、最大トルク182Nm/4000rpmという2Lの直4。ハイエースといえばディーゼルというイメージも強いですが、ガソリンです。耐久性重視の136馬力というスペックからイメージするよりパワフルに感じました。

1速~3速までをクロスレシオに改造されたトランスミッションのおかげか、加速感はなかなか。クロスレシオのトランスミッション、3速までのギア比が近く、シフトアップ時のエンジンの回転の下がりを少なくして出力を効率的に使うことができます。その分早くシフトチェンジをしなければいけないのですが‥‥。なかなか手ごわい!

シフト操作難しい~

クラッチのミートポイントも思ったより手前のため、どれだけアクセル開け、どれだけクラッチを離せばいいのか最初は感覚を掴みにくく、慣れるまで時間がかかってしまいました。シフトチェンジが遅く、タイミングも上手く合わせられず、よくMT免許取り立ての車になれない人が変速時にガックンと車体を揺らすあれを何度もやってしまったのです(泣)。

エギゾーストサウンドはハイエースから想像するよりはるかに大きかったので、チキってしまいあおりが足りず、坂道発進に苦戦しました。この猛獣をどうやって手懐けられるようになるのか悪戦苦闘でしたが、慣れてくると次第に面白い! 楽しい! もっと乗りたい!と思うようになりました。もっとあそこで踏み込めていたら…なんて原稿を書きながら思うほど味わいたかったです。

国沢注・チキる、はチキン(臆病)のことだと思われ

ハンドリング⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
競技車のイメージと言えば”手術で使う切れ味鋭いメスのように正確なハンドリング”を実現するため、硬いスプリングとしっかりとしたダンパーを使うというイメージです。「乗り心地はあきらめるしかない!」と思っていたのですが、ラリーという競技の性質上、サーキットで走るのとは異なり滑らかにサスペンションを動かさなければならない。結果的に乗り心地もよくなるそうです。

フロントは複筒式のショック、リアは別タンク付きのショックが採用され、地面に貼り付くような安定感、視点が高い車なのに構えることなく自然体で身を任せていられるような乗り心地でした。ロールケージで固めた強固なボディもあり、ノーマルのハイエースとは比べ物にならないハンドリングを実現しています。なるほど林道を全開で走れちゃうラリー用ハイエースです!

実用性❓❓❓❓❓

燃費❓❓❓❓❓

総合評価⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 
運送業や建設業、小売り業、さらに趣味の個人ユーザーから圧倒的な支持を得ている「働くくるま代表」のハイエース。運転する楽しみとは無縁に思えます。そんなハイエースが運転して「すごく楽しい!」と思える車に仕上げられていることに驚きました。ラリーでも乗用車ベースの競技車両を相手に最下位じゃない。どんなクルマでも輝けることを意味しているように思えました。

乗り終えて思ったことは「ハイエースは手懐ける(慣れる)までに時間はかかるけれど夢を振りまくクルマ」です。私はそんな夢を最前線で振りまく師匠みたいなモータージャーナリストになりたいと噛みしめた帰り道。間違って高速道路を途中で降りてしまい、高い高速料金をまた支払うことになって痛い目をみたので、考え事は帰ってからにしようと誓った一日になりました。

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