ランクル300怪しい”全集中”試乗レポート/華音

14年ぶりにフルモデルチェンジをし、人気すぎて納車は1年以上待ち(下手したら数年!?)という今じゃお目にかかることさえ珍しい新型ランドクルーザー300系。この日は、そんな幻の車に乗せて貰えるということで胸を高鳴らせたお昼の12時。到着した旨を師匠に報告をすると「あれ、集合は13時だよ?」のメールが来て「ぴえええええ」と私は思わずその場で絶叫。

そう。ポンコツなことに私はわざわざパラリンピック期間で1000円上乗せされた高速を使って1時間も早く着いてしまったのです! 涙ちょちょぎれること1時間。今回は、目ん玉が転げ落ちるほどの価格(510万~800万円)のランクル300をレポートしたいと思います。今回試乗したモデルは最上級の「ZX」(ディーゼル&ガソリン)と「GR SPORT」(ガソリン)。

最初に圧倒されたのが大きさ。その姿は高級感と凛々しさ、そして力強くワイルド。なのにどこか品がある不思議な存在。駐車場で停車をしているだけなのに後ろに砂漠とお山が見えました(笑)。300系は全高55mm、全長35mmも200系と比べて大きくなっているのに、なんと200kgも軽いのです! 

開発者インタビューで聞いたところ、当初400kgの軽量化を目指したんだとか。安全面も考慮して200kgに落ち着いたそうですが、世界で初めての溶接技術がフレームに施され10%(20~30kg)軽くなったり、サスペンション等の下回りの軽量化に成功。でもそれでは重心が高くなるからとボンネットやドアにアルミを採用する等バランスを整えて完成したんだと思うと、くっ…なんだか胸が熱いや!

トヨタのロゴとナンバープレートがほぼ同じ大きさ!笑

エクステリアで印象に残ったのはキリっと細いヘッドライトと、対照的に大きなグリル! と言いたいところなのですが、それらに伴って大きくなった中心のトヨタのロゴはナンバーとほぼ同じ大きさで、師匠も「でかいな!」とたまげるほど!(笑) 確かに見たことない程でかい!

インテリアにも感動しました。大きなディスプレイの周辺にある沢山の配列されたスイッチ。なぜスイッチがいいのかご存知でしょうか? ランクルに乗るようなドライバーはグローブをして運転をすることもある。液晶タッチパネルだとグローブを外さないと操作ができない。同じく手が汚れていたら液晶じゃ操作ができないからこのようになっているのです。って開発陣が言っておりました!

運転中でも操作しやすそうなインパネ!

オフローダーらしい嬉しい機能もてんこ盛り。走行をしている場所に応じて選べる(AUTO、DIRT、SAND、MUD、DEEP SNOW、ROCK)のマルチテレインセレクトもついております。AUTOモードに至っては、ドライバーがモードを切り替えなくても走行中の路面状況を車が自動で把握し(なんだって!?)、自動で駆動力やサスペンション、ブレーキ油圧を最適なモードに切り替えてくれるんです!

T-Connectナビゲーションシステムを選択すればドライバーの好みに合わせてカスタマイズができるCUSTOMモードも追加されました。私の目が隣の県まで吹っ飛ぶくらい驚いたのは、世界初のアンダーフロアビュー。停車時に前輪の位置、タイヤ付近の状況や障害物の距離感を把握できるのでいざ「タイヤが泥の中ではまっちゃった、ぴえん」なんて時にも冷静に対処することができるのが凄い。

ハシゴ無いと使えないくらい高いキャリア(笑)

他にもオプションで、トレーラーをけん引できるヒッチメンバーをつけることができる等、どんな道で何が起きてもJAFいらずな車に仕上がっております!笑

更にランクル200系ではついていなかった安全装置Toyota Safety Senseも300系になってパワーアップしました! 200系では、

衝突回避を助けてくれる「プリクラッシュセーフティ」
高速道路が楽ちんになる「レーダークルーズコントロール」
レーンをはみ出したら怒られる(笑)「レーントレーシングアシスト」
ハイビームとロービームを自動で切り替えてくれる「オートマチックハイビーム」
車線変更時に死角に車がいることを知らせてくれる「ブラインドスポットモニター」
駐車時に人や車が接近した時に警告してくれる「パーキングブレーキサポート(後方歩行者)」
急ブレーキをかけるとハザードランプが自動で点灯し後続車に知らせてくれる「緊急ブレーキシグナル」

というラインナップだったのですが、300系になって新たに追加されたのは、

ドライバーの異常を察知してドライバーと車外に異常を知らせる「ドライバー異常時対応システム」
カメラが道路標識を認識してディスプレイに表示してくれる「ロードサインアシスト」
よそ見をしたら怒られる(笑)「先行車発信告知機能」
アクセルペダルの踏み間違いを防いだり、衝突の可能性がある場合は自動でブレーキ制御をしてくれる「パーキングブレーキサポート(前後方静止物)」
車両の周りの映像をナビ画面やディスプレイオーディオに表示してくれる「パノラミックビューモニター

という至り尽くせりな機能が盛りだくさん!より安全に快適に運転できることは運転に集中ができるので、嬉しいことこの上ないですね。

指紋認識がついたスタートボタン

そしてお待たせしました。新型ランドクルーザーの乗り味に関しては「スルメイカ」でしたっ!🦑 スルメイカを口に入れた直後は、味はしないし噛み始めはボソボソと乾燥していて「なんじゃこりゃ!」と思うほど固い。でも噛んでいくと唾液が染みて、味がどんどんもりもり染み出てきて美味しい。一口じゃ物足りないからどんどん口の放り込んでいく。

新型ランドクルーザーはまさにこんな感じで、1番最初に乗ってみた時に感じた乗りなれない高い視点、車内空間は広々ゆったりしていて居住性抜群だけどその分車幅があって路駐している車の隣や、狭い道、トラックの隣を走る時なんかは鬼滅のの如く全集中の呼吸をしないと走れないと思うほど最初は緊張しました。

後部座席にもディスプレイがあるのです!

でもそんな不安とは裏腹にステアリングは軽く、油圧と電気のダブルで動いているから今までにない感覚を味わえてなんだか異次元。どことなく繊細さを感じられるステアリング。ハンドルを切るとすこ~し大回りするような感覚や、「ZX」のガソリン車だと(踏み方によりますが)強くアクセルペダルを踏むと、踏んでからワンテンポ遅れて力強いトルクが出る感覚はなんだかレヴォーグみたい!

でも「ZX」のディーゼルだと低回転からトルクが出ているので強く踏んだ時も滑らかでワンテンポ遅れる感覚は少なく、より素直だと感じました。もっと素直な乗り心地で私が好きだったのは「GR SPORT」。こっちは私たちが体を動かす感覚により近く、ハンドル切った時のラグがない感じ。乗り心地もスッキリしていて普段スポーティな車に乗っている私はこっちの方が断然好みでした。

しばらくして気づいたことは、乗れば乗るほどに、少しずつ車とのコミュニケーションも取れてきて不安感なく運転できるどころか、段々と楽しくなってきたのです! 最初は慣れなかったけれど、不思議なステアリングの感覚は消えることなく手に残っていました。クルマを運転しているのではなく、視点が高いからか、宇宙船を操縦して空を飛んでいるような感覚! 火星まで飛んでいけそうでした! 宇宙船を操縦したことはないけれど(笑)。 

乗り終えて思ったこと。最初はコミュニケーションを取りにくいかなと思ったのに運転すればいつの間にか恐怖心は消えて運転するほど楽しくなっていた。だからランクルは乗るほどに美味しいスルメイカな車だと思いました。同時にコミュニケーションを取りにくいと感じた部分は、きっと乗る人によっては人を虜にする魅力があると思いました。その答えが納車1年以上待ち。ランクルでスーパーには行きたくないけれど、週末のお出かけで是非乗りたい車だと思いました!!!!!!

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