ルノーが43%持っている日産の株を15%に減らす。今後日産はどうなる?

昨年末から日産とルノーの提携関係を見直すという話が度々報じられている。どうやら最終決着に向け動き始めたらしく、ルノーの持ち株比率43%を15%まで減らし、日産と対等の関係になるという(日産はルノーの株を15%所有中)。気になるのは「で、どうなる?」だと思う。これがなかなか解らない。というか関係者もどう判断すべきか解らないようだ。

興味深いことに日産の株価は変わらない。トヨタなど自動車産業の株価を見ると昨年12月中旬、全てのメーカーが10~15%値下がりした。そこから横ばいといったイメージ。日産も同じような動きなのだった。株価を見る限り提携関係の見直しは全く影響を与えていない。日産の情報って漏れ漏れ。今回の提携見直しの話だって本来ならトップシークレットでしょう。

逐次情報が出てくること自体、ありえない。日産の場合、政府などが絡むし、足を引っ張ろうという内通者などたっくさんいるのだった。したがって日産とルノーの提携関係が変わって業績などに変化出ると思われるなら、株価も上下する。日産をコントロールしている政府関係者や内通者が最初に動きますから(皆さんインサイダーにならないよう上手にやります)。

自動車の専門家から見ても、大きな変化があるとは思えない。すでに日産とルノーのハードは強固な関係になっており、お互いある程度納得しているし、メリットも享受している。日産のドル箱になっているノートはルノー開発のプラットフォーム。ルノーのパワーユニットは大半が日産の基本設計だ。少なくとも電気自動車を除くエンジン搭載車は今のまま絶版になる。

エンジン車、いわゆるオワコンです。そこで電気自動車という次世代の主役をルノー主体で新会社を設立させ主導権を持ち、引っ張ろうとしているのだった。一方日産も電気自動車の技術をたくさん持つ。これらはルノーが43%の株を所有している時期のものだからヤヤこしくなってます。日産は自分のものだと主張し、ルノーからすれば「ウチも使える」。どちらも当然だ。

ここにきて「お互い譲り合おう」ということになったのだろう。ということで、既存のエンジン車についちゃ新しい動きも無いため、このまま継続。ルノーからすれば43%-15%=28%分の「電気自動車の時代を迎え今後持っていてもメリットの無い日産株式」の売却で巨額の資金を得られる。日産は植民地支配から抜け出せ「バンザ~イ!」ということになります。

問題はこの後だ。ルノーからすればパートナーが欲しい。日産の技術力は魅力的。というか日産無しだと厳しいと思う。日産の課題になるのが社内政治。そもそもルノーが入ってきたのは日産社内で足の引っ張り合いが常套化していたからだ。ルノーが抜けることで1990年代の日産に戻ってしまうと、いかんともしがたい状況になる。ということで、日産の先は予想出来ないです。

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4 Responses to “ルノーが43%持っている日産の株を15%に減らす。今後日産はどうなる?”

  1. アミーゴ5号 より:

    会社を超えて現場の本音と元気、パワーを引き出そうとするモリゾウ社長と、社内での自分最優先で足を引っ張り合う日産役員。

    トヨタは連携と好循環を大切にしているけど、日産には対立と分裂の悪循環しかイメージできません。
    その差は、明々白々。

    何よりも、かつて倒産から救ってくれたルノーに対して、今の日産は植民地支配からの解放と言って歓んでいる状況ですもんネ。

    そもそもゴーン事件だって、ゴーンを増長させた日産役員に重大な責任があるし、もしトヨタなら大恩ある会社に対して、こんな酷い関係にはしないと思いますヨ。

    大変残念ですが、日産の凋落に1000万ペリカ掛けます。

  2. Nobutsuna より:

    自動車業界では数少ない提携の成功例。今後も両社の関係は大きく崩れることはないと思います。
    やはりポイントはルノー支配を逃れた後の日産の方向性。
    破綻前のような内向きの経営に戻れば元の木阿弥。今の役員の経営センスも、半導体調達能力や考え無しにも見える価格改定の動きを見ても大いに不安。
    901運動の様な活性化を健全な経営哲学で実現できるか?かつての日産ファンとしては不安がいっぱい。

  3. 猫まんま より:

    大筋は変わらないんじゃないですかね?すでに日産&ルノーはコストダウンでプラットフォームの共有化が進んでいて今更別設計はしないだろうし。ただルノーの言うこと聞かなくなるんで訳の解らない世界戦略やったりして緩やかに自滅するのではないでしょうか?どうのこうの言ってもゴーン会長に頼って倒産を免れたのに恩知らずに追い出して自滅するだけのような気がします。いろいろやらかしたけどゴーン会長が強権で采配してルノーと結びつきが強い方が企業としての未来は明るかったと思います。やり方に賛否両論は有るけど2兆円もの借金を返してもらったのだからゴーン会長は報酬100億円とかでも全然問題無かったと思いますけどね。

  4. ちゃなん より:

    足の引っ張り合いは酷いままです。ゴーン氏も就任5年で精神が病んで行くのを目の当たりにしました。
    デザインの中村執行役員も同様。
    結局今の役員も足を引っ張り蹴落として権力を得た輩だから彼らのネガティブな自制になっていたルノーの権力がなったらまた日産はソドムとゴモラに戻るだけです。

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