三菱自動車、中国撤退を発表した。何度も書いてきた通り決まっていたことですが

三菱自動車が中国から撤退するという第一報をお届けしたのが5月3日。5月10日にも続報として中国撤退を決めただろうと書いた。新型アウトランダーが全く売れず在庫の山を抱えた時点で詰んでいたと思う。したがって驚くことでも無いし、三菱自動車だってダメージの少ない撤退策を考えていたことだろう。特損243億円は予想より大幅に少なかった。タイだけで600億円の利益あります。

損切りとしては上々でしょう。これで中国部門の人材を他に回せる。中国仕様を開発するためのコストだって不要になるなど得るものの方が大きい。マツダやホンダ、日産など中国市場にしがみつくため、さらなる投資をしようとしている。中国向け車両に掛かる開発予算や、中国でクルマを売るために必要な人員だって必要。どのタイミングで中国を諦めるかが重要な経営判断になる。

興味深いのはトヨタ。人員削も含む縮小均衡策を始めている。一方でハイブリッドやPHVを導入したり、BYDと共同開発したbZ3Xの売れ行きが予想以上に好調など攻めの戦略もキッチリ行ってます。結果、日系メーカーが軒並み販売台数を落とす中、今年に入っての販売台数は前の年と同等レベルをキープしている。そんなトヨタでさえ楽観出来ない状況にあると思う。

気になるのは「三菱自動車の次はあるのか? あるとしたらどこか?」という点だろう。以下、100%私の勝手な予想と断っておく。現時点で一番キビシイのは、藤原体制下でハイブリッドもPHVも電気自動車も決定的な遅れを取ったマツダである。このままじゃダメだ、と毛籠さんはCX-50にRAV4のハイブリッドユニットを居抜きで搭載することを決めた。間もなく発売になる。

これで売れ行き低下にブレーキを掛けられたら次の手を打てる。アウトランダーのように在庫が増える一方になると、もはや厳しい。おそらく毛籠さんは撤退と継続両方の対応を考えていると思う。現時点では継続のプランA。売れ行きが厳しいようだと撤退策のプランBを選ぶに違いない。いずれにしろ藤原体勢下の電気自動車嫌いは中国市場に於いて決定的な失策だった。

ホンダと日産は今のところ撤退策プランBの準備を開始していないように思う。プランBを錬り始めたところ、といったイメージか。まだ新型車を投入する気100%に見える。逆に考えると、プランBを発動した時の損害は軽微で済む三菱自動車や、早くもプランBに向け動き始めているマツダよりはるかに大きい。ホンダと日産の経営陣、そのあたりの感性は鈍いように感じます。

特にホンダは中国専門家(中国しか知らない、と私は思う)の倉石会長がいるのに失敗したら超大チョンボですよ。

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4 Responses to “三菱自動車、中国撤退を発表した。何度も書いてきた通り決まっていたことですが”

  1. natumenatuki より:

    以前に、21世紀は、中国の世紀と書きましたが、今回、訂正をいたします。青島(チンタオ)ビールの件は、一人っ子政策の弊害が如実に、あらわれた状況と思います。各家庭で、小皇帝として育てられた人達には、社会性が欠如しています。中国が、今迄の様な成長を続けるのは、多分、無理でしょうね。

  2. RED_SUN より:

    中国で車を売って利益が出てもその利益を日本に還元することはできません。
    なぜなら、中国は外貨の流出を厳しく制限しており、企業の利益も同じだからです。
    最終的には工場を含む中国にあるすべての資産を奪われるだけで何も残らないので、企業は可能な限り早く撤退するべきです。
    現状、中国では国、地方政府、企業、国民の多くが金がなく、銀行では入金できても出金できないという状況です。
    酷いところでは、従業員、職員に銀行から借金をさせて、それを雇い主の企業等に貸し出させるなどということをやっているところもあります。(絶対還ってこないでしょう。)
    中国経済はこのままシュリンクしていくことが目に見えているので、中国に残る意味はありません。

  3. W201 より:

    ・中国、子ども・家庭向けの愛国教育法を可決 来年施行=新華社
    https://jp.reuters.com/world/china/5EV4PAG5JVOIJLYQ3H4PKWQHBY-2023-10-25/

    ・中国が生み出したモンスター、巨嬰と巨嬰症
    【中国コラム】https://taiwanhistoryjp.com/china-20230914/

    ・【中国】スパイ容疑の邦人が逮捕で釈放は絶望的!!救出は不可能!?地雷を踏んだらサヨウナラ!!日本人を狙い撃ちか!?

    https://www.youtube.com/watch?v=fV2TY97epwY

    ・失われた30年の原因は 中国依存と竹中構造改革 / 中国経済 破綻が止まらない不動産デベロッパーと不採算確定の高速鉄道

    https://www.youtube.com/watch?v=C02ijwnKbHk

  4. トヨタ車ユーザー より:

    中国でヴェゼルのBEVを売っているディーラーには厳しいお客の声が届いていて、もっと急速充電を早くとか、ボディが大きいのが欲しいなどと言われているようです。
    中国自身をよく知っている中国メーカーはそれにこたえられるようにランクル・アルファード並みの大きさのBEVをつくってバカ売れしたりしています。
    ホンダは中国市場を読み間違えた可能性が高いですね。CR-VのPHEVなどもぼちぼち用意しているようですが、もっと早くあるいは最初からそちらを用意すべきだった。

    それにATTO3のe-axleをみる機会があったのですが、本当にシンプルに作られていて、安っぽいのではなく限界設計で中国のほうが上になったんだなあと感じます。アルミのハウジングだけ見ても、硬いほうの材質を使いながらこんなに薄く鋳造できるのかと思うほどに作られていて…。それでもリーフやキックス並みの車体を動かせるe-axleになっているのだから正直ショックでした。

    でも考えてみれば、安く作れるという理由で一斉に中国に工場を作り「お任せ」の部分もあったわけで、いろいろ持って行かれるのもしかないのかもしれません(という事に早く気付いて対策を講じるべきでした)

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