三菱自動車、再生の道へ

日産と三菱自動車の提携は一般的に考えられているより広い範囲に渡るかもしれない。もっと積極的に書いてしまうと、三菱自動車が日産傘下に入る、ということです。以下、分析してみよう。大きな柱となっている「軽自動車の企画・開発会社を設立」ながら”向こう側”を読むと興味深い。

まず企画・開発するための会社を対等出資で作るという。開発に必要な技術者やファシリティは三菱自動車が持っているため、実際にお金を出すのは日産になるだろう。開発したなら、生産も行うことになる。その場合、三菱自動車の工場を使うことになるため、お金を出すの、日産です。

御存知の通りすでに三菱自動車の軽自動車はいかんともしがたい状況になってしまっている。本来ならダイハツやスズキと勝負できるニューモデルを開発しなければならないのに、予算不足で事業の継続さえ難しい。このままだとスバル同様、軽自動車部門を廃止しなけれならなかった。

日産との提携により三菱自動車はお金を出すことなく軽自動車部門を存続させられるし、日産にとってみれば通常の4分の1以下の出資で軽自動車部門を立ち上げ
られるという妙味を持つ。やがて新興国で大きな市場となりそうな「マーチより安価なクルマ」の開発拠点としても大いに有用。

三菱自動車にとってみれば極めて厳しい状況になりつつある電気自動車部門でも大きなメリットを受けられる。以前から「GSユアサ以外のメーカーから電池を買うこともや
ぶさかではない」という姿勢を打ち出していたが、日産NECの電池を買えれば文句なし! イッキに価格を下げられる。

三菱自動車にしてみれば当面採算取れる見込みのない電気自動車事業を投資無しで発展させられる唯一の方法である。日産にとっても今後ニーズが多くなるコンパクトな電気自動車を単独で開発したなら、お金だけでなく人員も割かねばならぬ。合弁会社で開発することにメリットは大。

その他、タイにある三菱自動車の工場で日産のトラックを生産したりするなど(次期型については共同開発を視野に入れている模様)、事業提携は驚くほど広い。今後、三菱自動車は出資することなく、日産との関係を深めていくと思う。「設備と人の有効利用」だと考えれば分かり易い。

ここまで読んで「だったら日産が三菱自動車に出資すればいいじゃないか」と思うだろう。そうすると三菱自動車はルノーのライバルであるプジョー/シトロエン
グループとのビジネスを諦めなければならぬ。3年先なら解消してもいいだろうが、現時点で切ると三菱自動車にとって大きな傷手。

ただ「事業のねじれ」は解消すべきもの。PSAグループと新規契約を結ばず、やがて穏やかな日産と三菱自動車の一体化に進むと予想しておく。これで最も救われるのは、経営者に恵まれず技術や能力を発揮できなかった三菱自動車の社員だと思う。日産に負けずに頑張って下さい。

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8 Responses to “三菱自動車、再生の道へ”

  1. 真鍋清 より:

    三菱の「隠れたる力作」ギャランフォルティス/ランエボ兄弟が日産の資本系列下で息を吹き返し、成熟に勢いがかかるとするならこんな理想的な話はなかろう。
    デビュー直後はそこそこ数が出るも、今や三年が経ち青息吐息のギャランフォルティス、同車は欧州輸出ではすこぶる評価が高く、この種の1.8L級FFセダンの分野でVWゴルフ/ジェッタ、オペル・アストラさらにルノー・メガーヌにフォードフォーカス…..etcと競合に事欠かない中で善戦しているだけにそのすぐれた資質を埋もれさせるには惜しいのではないでしょうか。
    そんなギャランフォルティスと次期ブルーバードシルフィが共通の骨格を用いることとなり、ようやく日産のFFミディアムセダンもマーチベースの呪縛から解放されて本格的に国際的Cセグメントの最前線で戦えるようになるとすればまさに願ったり叶ったりだと思います。
    そこで次期シルフィに日産側が鋭意開発中の1.2L/3気筒の過給機付きリチウムイオン・ハイブリッドが新搭載され、三菱のギャランフォルティスには三菱渾身のディーゼルハイブリッドが搭載される、さらにその上のD/Eセグメントでは三菱が鋭意開発中の中型セダン「コンセプトZT」が日産ルノー連合のDプラットフォーム(ルノーラグナ〜現行ティアナと共有)の使用を前提に開発資金の目処がついてデビューに向けての準備に弾みがつくのであれば次世代のダークホースになるのは確実です。
    両者の経営資源の良い所を生かした提携であれば言うことなしですが、実際にはそうそう一筋縄では行かないものです。ただ現実的な話、三菱側のどうしようもなく老いさらばえたミニカが、日産のマーチ系プラットフォームを利用して国際的Aセグメントベーシックカー(主に1Lクラス)ならびに日本の軽の双方に応用可能な生産面のフレキシビリティのもと復活するのであればわが国軽四輪市場の活性化のみならずインド/中国等の新興国にお互い強力な足場を築くことにつながり、生産面のスケールメリット・コスト安定ともども業界に大きな影響を与えるのではないかと思います。

  2. イニシャルN子. より:

    自工、販売店のスタッフともに思いは複雑だとは思いますが、ほかに道は無いのだろうと思いますね。
    でも外国メーカーとの協業に動くかと予想していたので正直、日産との提携には驚きました。
    2013年の商品化を目ざしているといっていた、クロス・オーバー車。PX-MいEVでしたか、プラグ・インHV(レンジエクステンダー)も、日産との共同開発ということにでもなれば、市販までの時間短縮も大いにあり得るのでは?

  3. アミーゴ5号 より:

    日産と三菱の、なるほど〜という関係が良くわかります。
    三菱も、日本の大切な個性ですから、上手くいって欲しいと思います。
    電池も気前良く三菱に提供すればいいですが、リーフと競合するからどうするかですね。
    でもi-MiEVは、軽で新会社扱いだから、割りと早く動きがあるかもしれないですね。

  4. COLT より:

    もう新規の軽プラットフォームは開発せず、乗用車系はコスト&デザインコンシャスでいくべきだと思います。
    消極的な意見だけではなく僕が期待しているのは次期ミニキャブ/クリッパーをiのプラットフォームを流用して作ってくれたらサンバーの後釜として赤帽が大口ユーザーとして付くかもしれない・・・これは国沢さんも益子さんもゴーンさんも喜んでくれそうな案かも。

  5. 阪神ファン より:

    数日前に日産・三菱がEV充電設備を相互利用できるようにするという新聞記事を見たとき、”もしかして”と思いました。
    日産・三菱では得意分野が違うように思うのでお互い、良い部分が発揮できるようがんばってほしいです。
    出来ることなら、日産はルノーから離脱したうえで三菱と協力し純粋な日本連合でがんばってほしいです。
    SUV・小型トラック・軽は、三菱。
    その他は日産でしょうか・・・。
    そういやボンゴを日産・三菱にOEM供給しているマツダ、単独のホンダなどの動向も気になります。

  6. Kazoo より:

    なんだか面白い車(高性能かつ大胆なデザイン)がでてきそうで、非常に楽しみ!嫁が初代EKスポーツを購入してから既に8年、新型に切り替わる時、買い替えようと思っていたものの、あまりの停滞ぶりに、保留。
    以来魅力的な車を待ち続けている状態です。
    タントクラスの車内空間で8cmくらい全高が低くて、ジュークのようなデザインの車(ムリですかね?)なら即買いなんですけどね・・・。あと燃費も21km越えてくれればOK! あとは無配が続いている配当金が少しでもあれば! う〜妄想がトマラナイデス!

  7. さね より:

    ゴーンさんて頭が柔らかいし、発想がいいですよね。三菱の電気自動車をライバルにせず普及させるためと日産、三菱連合で他社に追い付けないようスタートダッシュ決めてスタンダードのインフラも含めてイニチアシブ握る。軽自動車も国内や新興国にむけにより激安車を作り安くするために三菱と手を組むなんて、トヨタはともかくホンダはなんとももったいない相手をのがしましたよ。三菱にとの業務提携はルノー日産の先にメルセデスがあるのも関係してるのかな? ルノー日産三菱メルセデス。 お互いに補完しあってトップになるのかな? マーチももっとマシな車になるんでしょうね何年か先に。 メルセデスはただで電気自動車技術いただきだろうな。メルセデスが関係してくると、インフラも含めて電気自動車のスタンダードをきずくんでしょうね。ホンダはもったいないことしたな頭硬い… トヨタは傲れるものひさしからず発想がハイブリッドで止まって老化ぎみ… マツダは早くトヨタと縁切ってスカイアクティブを持ってこの連合に参加したほうがいいように思います。

  8. 真鍋清 より:

    三菱と日産の軽自動車開発を巡っての共同出資会社の設立に伴い、件のミニカの次期モデルの価格はどうなるのでしょうか。
    先ほど定価583000円也、必要な快適装備を加えてシミュレーションしても59万8000円(概算)と出たミニカバン・ライラ、新会社の開発によるニューモデルになった暁には日産とのパートナーシップで量産効果も進み、スケールメリットの下品質も安定した新興国(インド、中国他)製の部品も多用できることと相まって「VSC=横滑り防止装置を装着してなお」60万円に収まれば非常に理想的なのではないかと思います。

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