中国に於ける日産の撤退戦略が始まった。正しい選択だと思う。トヨタ、ホンダ、マツダも追随へ
今後「日本の自動車メーカーは中国で売れ行き落として苦労している」というニュースが増えていくと思う。我が国の大手メディア、なぜか産業の弱体化を伝えるの大好物です。何度か紹介している通り、もはや中国市場からの撤退戦略は全ての自動車メーカーが練っており、着実に手を打っている(速度感に差はある)。クルマ通の読者諸兄だけでいいから状況を。
日産の中国開発車、カッコ悪くて足を引っ張る?
ここにきて動きを顕在化しているのは日産だ。新型コロナ渦終わっても販売台数が伸びるどころか落ちる一方の状況を見て、昨年から本格的に撤退戦略をスタートさせている。まず開発体制を中国に移した。これ、負けを少なくするための作戦。日本で開発するとタイムラグあり、競争力で負けてしまう。中国に開発ベースを移すことで、中国のメーカーと戦えるベースが出来る。
同時に年明けから生産能力の絞り込みを始めた。50万台規模の撤退戦略を練り、6月下旬に東風汽車と合弁で立ち上げた常州工場の生産を停止。販売台数の落ち込みを上手に読んだと思う。同じタイミングで東風日産の武漢工場に於いて東風汽車の子会社の電気自動車を生産する。日産車でなく東風汽車開発の新型車です。工場の稼働率を上げ、収益上げれば日産の負担は無くなる。
少しずつ中国と距離を置こうという算段。難しいのは速度感だ。あまり急ぐと中国政府のゴキゲンを損ねてしまう。嫌われたらボッコボコです。ホンダも日産と同じような撤退戦略を立て、すでに動き出している。けれど日産ほど目立たない。驚いたことに投資までしている。日産より少しばかり中国政府の顔色をうかがってますね。これ、悪い意味じゃない。そのくらい慎重でいい。
トヨタは6月に上海でGRフェスティバルを開催 写真/GR
ホンダよりさらに慎重なのがトヨタだ。開発の現地化や工場生産規模の見直しなど、撤退戦略を開始したところまでは日産やホンダと一緒。でも中国政府との付き合いをしっかりやっている。中国政府のメンツを潰さないような配慮もしてます。トヨタが真っ先に逃げ出せば中国政府の顔に泥を塗る。自動車産業、やはりタイしたもんだ。大手メディアの扇動に乗らないでください(笑)。
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ラージの品質、電動車、その前のトランジットに精一杯。
米国で販売好調に見えますが、ゼロ金利、フリート、インセンティブキャンペーンを見るにつけ、実はそんなに安心できる状態でもないのかもしれません。
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日本メーカーで一番最初に中国撤退を決めて実行したスズキの鈴木修さんの経営力が際立ちます。これからの撤退作戦が成功する事を願います。日本メーカーには一社も消えて欲しく無いので。
EUは中国自動車(BEV)に大きな関税を課すつもりですが、自動車工業会はそれに反対の声明を出しました。ドイツから中国へ進出してかなり食い込んでいるからですが、そこまで中国のゴキゲンを伺わなければならないのが、異質に感じます。これを機に日本みたいにうまく撤退したらいいのにと思います。
中国って結局コピー車の精度が上がった(性能もコピーできるようになった)だけではないかと最近思います。
だから、カール・ベンツが世界で初めて…とかいった歴史やブランドやプライドがない。輸入車に乗るのはそこに魅力を感じるからであって、所詮コピー車を輸入してまで買うこともなければ作るのに協力する必要もない。
日本の自動車市場もガラパゴスですけど、中国も自国のメーカーが育って来てだいぶガラパゴス…というかセンチネル島化しているような気がします(笑