全固体電池が出ればイッキに状況変わって日本有利になるのか?

全固体電池が日本の劣勢をイッキに吹き飛ばすと思っている人は少なくない。もっといえば、全固体電池が実用化したら電気自動車は普及すると考えているようだ。果たして本当だろうか? この話で最も大きい”視点”となってくるのが「全固体電池は日本だけしか作れないのか」というあたりにある。ちなみにリチウム電池は2010年時点でも日本の特産品だったけれど、すぐ抜かれた。

トヨタは2020年に全固体電池搭載車でナンバー取得

全固体電池は次世代の主力と世界中の電池メーカーが認識しているため、中国は政府も補助金を出して開発援助している。当然ながら韓国だって国がバックアップしてます。アメリカや欧州も全固体電池の重要性を認識しており、すでに試作レベルのプラントを稼働させているらしい。もしかしたら1~2年だけ日本が先行できるかもしれないけれど、コスト競争で負けると思う。

参考までに書いておくと3元系リチウム電池と比べた時の全固体電池が持つ優位点は以下と言われる。実用化されていないため具体的な数値は不明ながら、最初に実用化される全固体電池で1と2は3元系リチウム電池の3倍くらいの性能だと思われる。同じ容量なら3分の1のサイズになり、3倍の速さで充電できると言うこと。とはいえ急速充電は、急速充電器の性能でも決まりますが。

1)エネルギー密度高い
2)超急速充電可能
3)作動温度範囲広い
4)安全性高い
5)劣化しにくい
6)設計の自由度高い
7)液漏れが起こらない

3~5まではリン酸鉄リチウム電池も3元系リチウム電池を圧倒する。6は1と関係するし、7は電池寿命をどのくらいに設定するかで決まってくる。15年や20年なら液漏れの心配はしなくていいです。ということで、エネルギー密度低いと言われるリン酸鉄リチウム電池ですら航続距離300km以上を確保できていることを考えると、皆さん考えるほど決定的な技術じゃないと思う。

そもそも全固体電池が実用化される2025年くらいなると日本は電気自動車の販売競争で負けが込んでいる。なにしろ安価で良い電池がありませんから。SAKURAだってリン酸鉄リチウム電池を使うべきだったと思う。電気自動車の激戦区になっている欧州は、すでに日本勢の存在感が限りなく低い。中国市場も中国製の電池を使わないとならず、台当たりの利益率は半分か。

本来なら「だったら商品力やブランドイメージで勝負だ!」となるべきながら、日本勢を見てると元気なし! BYDの来襲以後、電気自動車について書いているけれど、意外や意外! 自動車メーカーの人から「もっと書いて欲しい」とか「経営陣になる気が無い」みたいなメールを少なからず頂く。こままでは少なくとも欧州と中国は厳しい戦いになるだろう。

経営陣はどう考えているのか調べてみると、どうやらアメリカと新興国は電気自動車にならない、と考えているようなのだ。以下、明日。

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