動物は曲がるときに横Gを出さない、と書いたら「曲がるんだから出ている」。2次元の人が多い
動物は曲がるときに横Gを出さないため、4WD車の駆動配分とは全く違うと書いたら「曲がっているんだから横Gは出ている」と考えている人が驚くほど多かった。間違った内容は表示されない黄昏野郎バスターにたくさん落ちてました。実はこの話をした自動車メーカーの4WD技術者も「曲がるんだから横Gは出ている」と1度は主張したので、二次元で考える人って案外多いのかもしれない。
曲がっていても横方向のGは全く出ていない
確かに図面で上から見ると、進行する物体が曲がれば必ず”曲がるためのG”を出している。4WD技術者もそう言いました。でも曲がっている物体に乗っていると、その時に横方向のGを出しているモノと、天地方向のGを出しているモノに別れる。簡単に言えば「傾けて曲がるモノ」と「傾かないで曲がるもの」となります。人間を含む動物は前者。後者って案外少ない。
これは曲がるときに横G
4輪と2輪は曲がって時の物理特性が全く違う。4輪は横方向のGを出すのに対し、2輪って天地方向のGを出す。イスに座っていると考えて頂きたい。コーナリング中、4輪だと横方向のチカラを感じる。2輪であれば身体が重くなったように感じることだろう。乗り物で最も強いGを出すのは飛行機。これまた横方向のGでなく、バイクと同じ天地方向となる。
フネは面白い! スクリューで航行するタイプのフネは、舵を切るとクルマと同じように横方向のGを出す。たいていの場合、クルマと同じく外側にロールします。これ、高速でやると転倒することもあるくらい危険。けれど船外機付きのフネはバイクと同じく内側に傾いて曲がるため横G出ない。水上バイクはウォータージェットの吐き出し口で曲げるため、傾いて曲がります。
このくらい書けば動物は横G出してないと理解して貰えるだろうか? 解る人は直感的に解るけれど、私が英語を理解出来ないのと同じく頭の構造の違いだと思う。ちなみに横Gを出す乗り物と上下方向のGで曲がる乗り物は構造が全く違います。バイクにサイドカー付けて横方向のGを出すようにすると、攻めたら壊れる。人間もスキーで横方向に掛かるG出したら、関節がワヤになってしまう。
電車は横方向のGを出したくないからコーナーにカントを付ける。さらに速度出そうとすれば振り子で抑えようとする。人間、自然なのは天地方向のGです。そうそう。動物の全開コーナングで興味深かったのは、前足って操舵担当じゃなく後輪操舵だという点。だからドリフトは本能的に楽しいのかもしれませんね。サーフィンもスノボも後輪操舵です。このあたりはいずれまた。
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何十年も横Gを無くす研究をしている人からすると、4WD技術者のレベルを疑ってしまいますね。電車やジェットコースター(演出の横Gを除く)とか乗ったことないのかな?
基本、物理学ですがヒントは動物からですよね。
操舵輪でも車と動物は対照的なんですね。
たしかに、走力の高い四つ足動物は、後輪駆動かつ後輪操舵が基本のような気がします。だから全力走行時に方向転回できるし、それができないと肉食動物の場合は捕食できないし、草食動物の場合は簡単に捕まってしまう。
車の場合、リフトのような例外を除いて前輪操舵なのは、後輪操舵だと転回性能が高すぎて、高速走行時に危険だから。つまり、転回性能については動物の方が車より優っているっていうことですね。
人間でも2輪車(一輪車も含めて)でも接地面に重心を持ってこないとこけます。カーブを曲がる時もおなじです。
横Gがかかるとは重心が接地面より外れることを意味するので3輪以上ないとバランスが取れなくこけてしまいます。
4本足の動物でもカーブを曲がる時は足裏に重心が来るようにバランスするから横Gはかからないですね。ただ、接地面が滑るといくら4本足の動物でもこけますね。
記事を読んで思わず唸ってしまいました。
新しい気付きを得る事ができました。
国沢先生独自の視点は時に反対意見が噴出しますが、物書きにとって最高の武器ですね。
ありがとうございます。
アメリカ空母の動力性能は凄まじいですね。
船としては巨大でも、滑走路として300m余りという長さは「余りに短い」。
なのでフル装備&満タンの戦闘機を離陸させるには、フルスロットルに加えてカタパルト発進&強烈な正面からの向かい風が必要なのだとか。
閑話休題。
横Gの話でした。
4WD技術者の方は4つ脚と四輪という数字上のマジックでちょっと思考を飛ばしてしまったのかも。
よく子供の成長で節目となる「補助輪を外した自転車に乗る」ということ。
これが何故難しいのかというと、補助輪が付いた自転車は「横Gの乗り物」。(横G掛かるような走りにはならないでしょうが)
補助輪なしになった途端「上下Gの乗り物」になってしまう関係で、外観マイナーチェンジ・乗り味フルモデルチェンジみたいなことになって割と「人生初の試練」みたいなことになるのかと。
今はキックバイクで運転感覚を慣らしてペダル付きの自転車に移行することもあるとかで、その方が運転感覚の違和感自体は少ないのかも。
横どころか前後Gまでコントロールしている一輪車に乗って走り回る子供を見ると、素直に「凄いな!」と思ってしまうオッサンです(笑)。
先日、三輪自転車に試乗したらハンドルを切っても横Gが掛かるだけで曲がることができず、立ち往生しました。
二輪自転車に慣れた人はスイング(バンク)機構をONにした方がいいとのこと。それでも上手く曲がれませんでしたので、たぶん私が下手なだけです。
二輪自転車にはキャスター角もあるしセルフステアも付いているとなぜか思った次第です。
話はそれますが、タイヤの存在も偉大ですよね。20世紀の大発明の一つだという人もいます。
このブログで気づきました。
批判のコメントの根源は「天地方向」の定義が違うからなんじゃないでしょうか?
国沢さんはバイクのコーナリング中は、バンク角の分だけ天地方向も傾くと仰るから、身体が重くなった様に感じると説明される。
一方で批判者は天地はあくまで鉛直方向と思ってるから、バイクの倒れ込みと横Gがバランスしていると言っているのでは?
ですね。
または、釣り合った逆向き成分個々の存在を認めるかどうかの違い。
4wdさんは絶対座標系で議論し、釣り合う前の遠心力(外向きG)をみとめる立場。記事主は移動座標系で議論しているし、釣り合う力は相殺されて無存在とする立場。なので、永久に噛み合わない論争になってますね。傾いたバイクで乗員の体軸方向にGを感じるなら、絶対座標系で見た場合水平方向のG成分があるということ。その成分と、傾くことで地面との間で生じた曲率中心方向へ向かう力成分とが釣り合っていれば倒れないということでしょう。
すごく共感できました。仕事柄、座標系とベクトルの方向力の合成を気にするので、このコメント気持ちよかったです(笑)
バイク乗りですが、至極真っ当なことと思います。横G出た時点で転倒ですから〜
飛行機が旋回するときも、横Gありませんね。
紙コップの飲み物の水面は傾きません。
馬に乗って曲がるとわかりますが、自分が走ってるときのこと考えたら簡単に理解できませんか?
あと、日本語に弱いってこともあると思いました!横って地面と並行のことですよ?
(先ほどの書き込みは改行に失敗したので書きなおしました。お手数ですが先ほどのは無視して頂きますようお願い致します。)
ある平面上の円軌道に沿って等速円運動したい場合、その円軌道の中心へ向かう一定の力(自分が昔読んだ物理学の本では「求心力」と書かれていました)がどうやっても必要なわけなので、やはり事前にどの系(静止している平面上なのか、動いているものに乗っている系なのか)で観察しているのかを明確にしておかないと、どうしようもない言葉遊びの応酬に過ぎない事態になってしまうのはまぁ止むを得ないかなと。まぁ横Gって言葉自体動いているものに乗っている系で語られる事が多いようにも思えるので、もしかしたらそこは自明であることが前提なのかもしれませんが。
横Gとはバイクや車を曲げる際にコーナーの外側に向けて発生している遠心力と考えます。四輪では操舵角に対しての進行方向どの角度差を生み出し、バイクでは傾倒をさせても外側に発生する遠心力で釣り合います。この際、バイクでは、ライダーは内側に傾倒して斜めに傾いているため、横Gを感じていないように錯覚するだけだと思います。重力と遠心力(横G)を受け斜め外側への力を受けています。自動車工学の基礎として、昔学びましたので、四駆設計者がその知識がないのであれば、その人に設計する資格はないですね。
バイクにはついていませんが、飛行機やヘリコプターには旋回計がついており、バンク(旋回)した時に外滑りや内滑りで重心よりも内外どちら側にズレているか見れます。外滑りであれば遠心力で外側に持っていかれています(バイクでは曲がりきれなくて外側に転倒)ので、横Gは発生しています。動物も曲がりながら進んでいる時に足が滑れば、外側に転倒するはずです。バイク初心者も多分横に引っ張られているはずなので、横Gは出ています。上手く処理できていないだけで、『横向き(水平方向)の力は存在する』と皆表現は違いますが、そう言いたいのだと思います。
トラやヒョウが獲物を追いかけていて方向を変える時に尻尾をグルグル回すんですが、あれは旋回時の横Gをキャンセルしてる?単にバランス崩さないようなジャイロ効果?
自転車は自然にバンクしているので、操舵感覚だけで曲がれます。自動二輪だと、バンクを意識しないと曲がれません。ここを越えているかどうかで、記事の内容をナチュラルに理解するかどうかの分かれ目になりますね。
オフロードバイクなどだと、感覚的に前輪はカウンター気味になります。そっちの方がすべった時に安定するので。
単純に天地方向という認識がズレてたんじゃない?
批判側は上下Gを重力に対して垂直に掛かるG
横Gは地面に対して平行に掛かるG
と考え、
国沢様は車体の上下左右で考えてたのではと思います。
なので認識に齟齬があっただけで、言ってること自体は誰も間違ってなかったんだと思いますよ?
二十数年前、神様と称される車の元開発者の方が、『人や動物のように曲がれる車が出来れば、車はもっと安全に曲がれるようになる』講演で仰っていた意味がやっとわかりました、ありがとうございました。