吉祥寺で発生した7人ケガの暴走事故、自動ブレーキは?

吉祥寺の85歳のドライバーが7人をハネてケガをさせ、ガードレールに突っ込んだ。TVや新聞などの大手メディアは「ブレーキとアクセルの踏み間違いか?」と大きな見出しを付けているが、この点についてはすぐ判る。首都を預かる警視庁だけに早速EDR(イベント・データ・レコーダ)を解析してると思う。

エアバッグが開いているため、その時点から遡ってアクセルを開いた量やブレーキ踏んだ強さ、横方向のG(重量加速度)などが残っており、事故の状況を解明済みだろう。ちなみに今のクルマは基本的にABS(アンチロックブレーキ)やVSC(横滑り防止装置)を装備しているため、スリップ痕など残らない。

少しクルマに詳しい人なら、むしろ「自動ブレーキは効かなかったのか?」という点が気になったと思う。結論から書くと、今のシステムでは難しいと考える。なぜか? まず事故を起こした車両は、駐車場を出て歩道を横切り、右に曲がりながら道路上に出てきた。その時点でアクセルを全開にしたようだ。

最初に衝突したのはバスの後部。ここに衝突した時は斜めだったため、角度が浅く車両のセンサー(レーダー+カメラ)では捉えられなかったと考える。自動ブレーキを掛ける対象は公表されていないものの、精度を確保出来るのは30度くらいの範囲。しかも突如出てきた障害物に反応出来ない。

その後、状況をみると横断歩道に向かってアクセル全開のまま進んだようだ(これもEDRで解明されるだろう)。渡る歩行者を検知して自動ブレーキは掛けなかったか? 当該車量(現行プリウス)は、以下にリンクした通り、遮蔽物のある場所から出てくる歩行者に対しても有効なシステムがついている。

今回の場合、アクセル全開になっていたため、これらの機能もキャンセルされてしまった可能性大。なぜか? ドライバーが意識的にアクセルを踏んでいると判定するためだ。いわゆる「オーバーライド」という思想。例えば自動ブレーキが高速道路上で誤判定し急ブレーキを掛けたとしよう。

そのまま本線上で停止したら危険だ。そこでドライバーがアクセル踏んだら、自動ブレーキが解除されるようになっている。ただ今回のケース、多重衝突という複雑なケース。バスの横に衝突した時点で全てキャセルされてしまっているかもしれない。いずれにしろ警察はERDで状況を公表すべきだ。

その上で、事故再発防止策を考えなければならない。最もシンプルなのは、アクセルを一定以上の強さで踏んだ時に限り、パワーを落とす制御を取り入れること。ブレーキと間違えてアクセル踏んだ場合、止まらないと思い、普段アクセルを踏むときより圧倒的に強い力を加える。

そもそもアクセルを床が抜けるほど踏む行為は明らかに異常。この制御を行うことにより、アクセルとブレーキの踏み間違いに対応出来る。高齢のドライバーだけに限らず、アクセルとブレーキの踏み間違いが発生している。国交省と警察、自動車メーカーで力を合わせ「暴走しないクルマ」を考えて欲しい。

 

<おすすめ記事>

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ