日本が貿易で喰っている国じゃないことは、添付した表を見て頂ければ明々白々です

我が国が貿易立国だと勘違いしている時代遅れの人って案外多い。下のグラフは日本の対外経常収支。平均すれば15兆円程度のお金が日本に貯まり続けている、ということ。超健全と言って良かろう。黒字をもたらしているのは、2005年まで貿易だった。下のグラフだと濃い青のブブンです。原料を輸入し、製品にして輸出するというもの。これで得たのが貿易黒字。

しかし2007年くらいから貿易黒字が減っていく。日本で生産した製品、価格競争力を失い海外で売れなくなってきたからだ。はたまた自動車産業で言えば、輸出しようとしても受け入れ国が高額の関税を掛けたりするなどハードルを上げているため、海外で生産するしかなくなっている。輸入量は変わらないため、輸出量減った分だけ黒字額は減る。というか、2012年~2014年など大赤字!

直近の状況を見ても、貿易は収支トントン。今や貿易立国の面影無し! これを持って日本は内需の国だというオタンコもいるけれど、そら全く違う。海外進出した企業が海外の工場で生産した製品を販売して得た利益を『第一次所得』(グラフの空色部分)という名目で日本に送金している。これが日本の黒字の大半を占めているのだった。逆に考えたらコレ無しだと国際収支厳しい。

なのに! 先日も紹介した通り、第一次所得を稼いでいる企業が就職先で人気にならんです。例えばマイナビのデータだと2022年卒予定の男子理系でトヨタ2位。こらまぁいい。されど日産なんか35位。自動車関連企業だとデンソーが21位に入っているのみ。海外に多数の工場を稼働させ、第一次所得をたくさん稼いでいるタイヤメーカーなどは100位以下という状況。

もちろん一流大学で優秀な成績を収めた学生を取れば業績を伸ばせるということにはならない。自動車産業の黎明期を見ても、優秀な人材は繊維や鉄鋼などに入った。自動車メーカーに行くというと「なんで?」と言われた時代も長かったです。されどそういった人達が日本の自動車産業の礎を作ったんだと思う。となれば問題は採用人事だ。ここに全集中した方がいい。

面白いコトに弟子永田は22歳くらいの時、全然使えなかった。というか使えるようになると言うニオイすら感じず。でもクルマ好きでマジメにコツコツ取材して原稿書いているウチ、最近はなかなか面白くなってきた。知識豊富。こういう人間がメーカーに居てもいい。自動車メーカーが就職先人気上位なら、22歳の時点で永田を採用しようと思う人事は皆無でしょう。

550万人の就労人口を抱え、おそらく業種別で最も巨額の第一次所得をもたらす自動車産業に優れた人材が集まって欲しいことは間違いない。若い人達へのリクルート活動やイメージアップ戦略をキッチリやっていかなくちゃアカンと思う。もちろん自動車評論家は推定10万位以下の不人気(泣)。どうやって優れた人材を育てていくか、喫緊の課題になりつつある。

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