日本勢の電池供給計画を改めて調べてみました。台数についちゃ問題無しだと思うが‥‥

当たり前ながら電気自動車を作ろうとすれば電池が必要になる。1台あたり平均70kWh搭載するとすれば、10ギガ(Wh)あたり14万台ということ。供給不足になると半導体不足と同じく、車体を生産出来る工場や売れる商品力あっても、販売出来ない。もう一つ。供給価格が高ければ販売価格も高くなってしまい、これまた売れない。安価な電池を必要なだけ欲しいワケです。

我が国の自動車メーカーの電池供給計画をチェックしてみよう。一番しっかりと情報出しているのはトヨタ。まず2021年12月にアメリカで「2025年から80万台分の電池生産を開始する」と発表。この工場は最大120万台分を作れるという。そして2022年8月に40ギガ(56万台程度)の追加工場建設を発表。2026年に合わせて最大80万台分の電池を北米で確保出来ると言うことになる。

日本車にとって最初の「関門」は2026年に「カ州などアメリカのおよそ10州で電気自動車比率を35%にしかければならない」。トヨタでいえば50万台ほどの電気自動車が必要。供給能力は最大80万台分あるため、十分クリア出来ると思う。レクサスや、トヨタグループといえるスバルとマツダ分の電池まで供給出来るほど。トヨタは原料の確保も同時進行形でやっている。

2030年には「販売台数の68%を電気自動車に」となりトヨタは110万台規模の電池が必要。これもすでに発表されている2030年までの電池供給能力(176万台分)を持ってすれば、対応可能だと思う。同時進行で欧州や中国(中国の電池メーカーと協同出資)もそれぞれ電池供給量の確保をすすめているだろうから、電気自動車の普及が予想以上だったとしても対応可能。

日産どうか? 現時点で発表されているのは、2026年で52ギガ。2020年に130ギガというもの。1台当たり70kWh積めば、それぞれ73万台と182万台になる。日産の世界販売台数は400万台程度(うちアメリカが100万台)。これまた世界規模で考えたら、十分な電池供給能力だと考えていいだろう。電池生産は元日産の『エンビジョンAESC』という企業で行う。

エンビジョンAESCは日本とアメリカ、中国、イギリスに工場を持っており(ベースはリーフのために作った拠点)、本籍が中国という点で興味深い。電池生産に必要な素材の調達という点で有利ながら、中国共産党の動向次第で厳しい状況になる。エンビジョンAESCもそのあたりは十分認識しているらしく、軸足を中国から海外に持って行こうとしているようだ。

ホンダが発表していう電池供給計画は2026年に40ギガ。2030年に160ギガというもの。ホンダによれば1台あたり80kWhとしている。40万ギガなら50万台分ということになる。2026年にアメリカで販売しなければならないホンダの電気自動車は30万台規模。2030年で50万台規模。また、2030年の160万ギガは1台あたり70kWh搭載ならホンダの世界販売台数450万台の半分。

ここまで読んで「少し安心しましたね!」と思うことだろう。電気自動車なんか普及しないだヘチマだと言われている中、各社しっかり計画を立てている。ただし! 問題になってくるのが日本市場と電池性能。電池は半導体や液晶、太陽光パネルと同じく生産規模で勝負付く。自動車メーカーの電池生産を見ると”ほぼ”海外の工場。日本向けとなると、なかなか読めない。

トヨタは日本にも10万台規模の工場を立ち上げ、日産とホンダはエンビジョンAESCの日本工場から電池を買うことになっている。規模の小さい日本の工場で作った電池が世界と戦えるコストなら問題無し。はたまた中国で急激にシェアを増やしているリン酸鉄リチウム電池と性能で勝負出来るなら問題無し。さらに日本の工場で使う電力のカーボンニュートラル化もすすめないとならない。

供給量では帳尻を合わせているが内容やいかに?

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4 Responses to “日本勢の電池供給計画を改めて調べてみました。台数についちゃ問題無しだと思うが‥‥”

  1. ぱんだこぱんだ より:

    各社の計画を見れば、海外ではキチンと決められた数の電気自動車を販売するつもりでいますが、日本はどうなるか知った事ではありません、となりますね。

    日本は政府の方向性が大枠のもの見えてこないので、投資するにも躊躇している感じでしょうか。しばらくはHVとPHEVで時間を稼いで、海外のようにキチンとしたタイムスケジュール切られれば対応していこうっていうように見えますね。

    どのみち日本車の普通車EVは独御三家のものと同様の高嶺の花のプレミアム車で、庶民には軽自動車EVしか手が出ないようなシロモノになる気もします。

  2. 自動車評論の 第一人者の 國沢先生の 記事はどれを読んでもよく分かり、すっと胸に入ってきます。 日産ホンダが主力の北米市場で戦う時に、中国資本の入っているエンビジョンAESCに若干の心配はあるけれど、日産も もう一つ電池会社を買って 保険をかけていそうなので、現代とも十分に戦えそうですね。ここ5年ぐらいで起こる EVをめぐる天王山の戦いに、日本車メーカーは 勝ち抜いて欲しい。

  3. Kobayashi より:

    供給計画よくわかりました。

  4. CX-60 より:

    計画上は問題ないけど、半導体のように買い負けて「生産できませ~ん」となる心配があります。
    それにしても、地球環境を守るEV合戦で、あらたな資源争奪戦が始まろうとは。やっぱり、地球資源・環境より金儲けのロジックありきなんだなと思うばかりです。
    ま、そこに突入してヘタに疲弊するより、技術だけ確保して数の争いはそこそこにという手がないわけではないですが。

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