日本市場はトヨタを除き、真剣に勝負する気無し?

最近いくつかの自動車メーカーの経営陣に「このままだと日本市場はトヨタだけあればOKという状況なりそうですがどうでしょう?」と聞いてみた。結論からすると皆さん「儲からないなら仕方なし」という反応。以下、公式の場じゃなかったりするので具体的なメーカー名は出さない。そもそも書いたら今度会った時にナニも話をしてくれなくなっちゃいますから。

さて。一昔前の「金太郎飴」ばかり作ってきた時代のトヨタですら抜群の営業力を使いキッチリとクルマを売ってきた。その上、最近になって社長の「もっといいクルマを作れ」という姿の無い要請により、ホントに良いクルマが出てきそうな雰囲気になっている。先駆けが他のメーカーじゃ売らないようなハイラックスの投入や、世界TOPクラスの自動ブレーキです。

今後、本格的に「もっといいクルマ」が出てくると思う(デザインは除く?)。遠からずダメダメなダイハツ開発のクルマもトヨタレベルに引き上げてくるだろうから、軽自動車ジャンルだって突如強くなると考えていい。加えてモータースポーツも上手に使い、ブランドイメージまで高めてくる。安価な電池が出回り始めれば電気自動車もPHVもカバー出来てしまう。

一方、ライバルメーカーに聞くと、口を揃えて「台数的に厳しいため日本専用車の開発は出来ない」。考えて欲しい。今までも同じ状況だったものの、先輩達はトヨタに対し果敢に勝負を挑んできた。そしてそいつが世界に広まって行く。ホンダの場合、フィットやCR-Vは国内専用車として開発された車種。三菱自動車もトヨタが手がけていないジャンルを伸ばした。

マツダはロータリーエンジンをル・マンで走らせ、日産はリーマンショックまで、手を変え品を変え様々な方策でトヨタを追いかけてきた。諦めるどころか、攻めてきたのである。それが結果的に日本車の競争力を付けるエネルギーになってきたと考えます。今やそういった「意気込み」は感じない。「国内で頑張っても儲からない。アメリカで売れれば利益は上がる」。

まぁその通りなんだろう。そしてトヨタ以外のメーカーに共通するのは「少し高くてもトヨタより性能の良いクルマで売って利益を出していく」。こういった経営陣のいるメーカーの現場クラスや若手に聞くと、全くイメージ違う。皆さん意地やプライドを持っており日本市場も大切だという。それを上層部に進言すると「儲かるのか?」と言われボツになるらしい。

そうこうしている間に、中国は着実に攻め込んできている。昨年『上海通用五菱』がインドネシアに12万台規模の工場を作り、1500ccの3列シートミニバンの生産を始めた。今年、上海汽車はタイに完成すれば100万台という工場の建設を始め「MG」ブランドのクルマを作るという。はたまた吉利汽車もマレーシアのプロトンの株を半分買った。これまた強敵。

只でさえ供給過剰になってきた東南アジア市場なので、おそらくどこかのメーカーが割りを喰う。本来なら日本発で安価で魅力的なクルマ(初代CR-Vなど好例)を産んで育て海外に進出していくような戦略をとるべきだろうが、最初からアメリカで儲ける方法の方が重要だと判断している。そんな不安を持つ私の考え方が間違っていれば嬉しいです。

 

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