日産、安全技術普及を本格始動
自動車事故を無くす、というのは今や社会的なニーズだと思う。ここにきて技術レベルも大幅に向上し、「自動ブレーキ」に代表される今までなら考えらなかった安全技術が次々と登場してきた。ただ残念ながら二つの大きな「課題」を抱えている。
一つは「導入のタイミング」。事故防止に素晴らしい効能を持つことが解っている自動ブレーキながら、普及の速度をみると期待以上に遅い。ここまで読んで「大半の軽自動車に装備出来るのでは?」と思うかもしれない。これこそ二つ目の課題なのだけれど「性能に大きなバラ付きがある」のだ。
軽自動車などに採用されている自動ブレーキはコスト重視で簡素なレーザー(安価なレーザーポインターと同じシステム)をセンサーとして使っているため、止まれる性能は20km/h程度まで。そもそも31km/h以上になると稼働すらしない。最低50km/h以上で稼働してくれるシステムが欲しい。
そんな状況の中、日産自動車は真っ先に自動ブレーキ普及を開始した。考えてみればエアバッグも日産が真っ先に全車導入を宣言し、各社続くことになった。今回も日産が刺激を与え引っ張ってくれるかもしれない。
改めて最新の安全装備について紹介してみたい。2月13日にマイナーチェンジされた日産フーガは、現時点で日本最高レベルの「事故を回避する技術」が採用されている。例えば自動ブレーキ。センサーとして航空機や船舶と同じ電波を使うレーダーと、カメラの二つを使う。
しかもレーダー波は先行車の床下をくぐり抜け、その前を走るクルマの速度低下まで感知するというから驚く。結果、現時点で60km/hから停止出来る(滑りやすい路面など悪条件下は除く)という世界最高水準のシステムを導入している。もちろん歩行者も感知可能。
高速道路に多い事故は、左右の死角にいる車両に気づかず進路変更して接触という形態。最近、死角にいる車両を検知し、ドライバーに警告してくれるシステムは増えてきた。フーガのシステムだと、死角に車両が居るときはハンドルを切っても走行車線をキープしようとする。
さらに発進時、周囲に自転車や歩行者、小さい子供などが接近してきたような時は、ナビ画面を自動的にカメラ画像に切り替え、接近してくるモノを移してくれる。うっかりミスで他の人に危害を加えないです済む。
日産は「商用車を含む大半の車種で歩行者や先行車両を感知して作動する自動ブレーキを選べるようにする」という方針を打ち出した。事故を未然に防可能性を持つ自動ブレーキは、自動車という加害性のある道具を使う側からすれば社会的な努力目標のようなものだと考える。
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