日産、生産コストが高い神奈川の追浜と湘南工場閉鎖を考えている? 地域に与える影響は大

日産は世界17工場のうち、日本を例外とせず7工場を閉鎖すると発表した。どこかの工場を閉めるということなのだけれど、常識的に考えれば生産コスト高い順ということになる。ゴーン氏も工場閉鎖したのだけれど、生産コスト高く高額の固定資産税がかかる荻窪と村山、座間という東京圏の3工場を処分した。いずれも路線価高く、工場立地として考えると閉鎖は順当だったと思う。

もちろん周囲の経済に大きい影響を与えた。荻窪工場は小さかったため話題にならなかったものの、村山と座間は地域経済にダメージを与えている。村山の場合、現在進行形で新たな雇用を生むような状況になっていない。同じようなコンセプトで今の日産の工場を見ると、やはり追浜と湘南工場ということになるんだと思う。いずれも東京から近いこともあり、生産コスト高い。

すでにNHKがニュースとして取り上げていることから、確実な情報を掴んでいるのだろう。経営陣は追浜と湘南に決め、準備を始めていると思う。上の写真は追浜工場。右に「グランドライブ」と呼ばれる元テストコースがある。対岸は八景島。このあたり、工場にもいいしレジャー施設を作ってもいい。日産が新規事業として再開発すれば雇用も維持出来るだろうが、無理かと。

追浜工場は24万台規模。湘南工場もフル生産すると15万台規模という大きな工場である。合計で5000人余のワーカーはどうなるのか? 一部は九州工場など残る工場に行くだろうけれど、土地を離れたくない人は仕事を失う。もっといえば、経営陣の判断ミスの積み重ねにより(売れるクルマを作れなかった)、15万台というキャパシティを持つ湘南工場なんか直近だと3万台程度しか作っていなかった。

これらのリストラ、工場だけに留まらないと思う。日産の従業員数は連結決算対象で13万3千人。日産本体で2万4千人いる。この規模、500万台体制くらいで適切。日産は250万台規模に縮小すると言ってる。その台数で利益を上げようとすれば授業員は半分にしなければならない。連結決算対象で6万人以上。本体も1万人以上のリストラが必要と言うこと。2人に1人です。大きな痛みを伴う。

日産の従業員にとって不幸なのは,多くの人が「自分はあまり関係ない。給料は上がらないかもしれないけど」と思っていること。自分はリストラの対象外と考えているのだった。「仕事出来ない人がやめればちょうどいい」くらいのイメージ。ゴーン時代のリストラを見ると、それほど公平じゃなかった。上司や人事の気分次第という側面もある。良い人は残って欲しい。

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6 Responses to “日産、生産コストが高い神奈川の追浜と湘南工場閉鎖を考えている? 地域に与える影響は大”

  1. よしの より:

    国沢さんの言っている通りですよ。
    自分はリストラを何度かしている企業で働いてますが
    企業が本気でリストラする時は社員の能力なんて関係なく
    会社が設定した退職人数まで達成させるために無理矢理でも辞めさせようとしますし
    年齢で切られてしまうもザラですからね

    ただ、今回の日産のリストラで納得がいかないのは
    国内は一番の黒字で海外が大赤字なんですよね
    あそこまで新車を出さず放置していたのに
    一緒にリストラされるって言うが現場や国内営業の社員が可哀想だなって思いますよ。

  2. 黄色いジューク より:

    判断ミスした経営陣は現職の時は器でないまま権力を振るって、退職の際も責任を問われる事なく、しっかり報酬を得ている。世の中は不公平だとは理解してますが。
    ほとぼりが冷めると賢しげに経営コンサルタント的仕事をするのでは無いかと思ってます。特に某前副社長とか。
    多くの人が働く巨大企業を沈没までに傾けた責任があるので、公人に準ずる方々として社会的制裁を受けるべきです。社会的制裁が濫用される風潮には嫌悪を覚えていますが、今回は逃げ得になってますから。
    旧経営陣少なくとも社長と副社長は、勉強ができただけの無能者であることをしっかりと自覚して、少なくとも今後は表舞台に姿を出す事なく、世間から隠れるように生きて欲しい。
    ラインナップを減らし新型車を出さない経営なんて、自動車企業の経営としてはあり得ないというのは素人でもわかるし、訝しげに思ってました。世界の動静のせいではありません。トヨタは好調、ホンダだってまだ健全。
    真面目に働いている従業員が報われるよう願ってます。

  3. アミーゴ5号リリボーン より:

    日産は、鴻海ブランドの開発生産を受託しなかったようですね。
    個人的には、設計開発から生産までの仕事だから、アリだと思っていました。

    鴻海の経験と技術力では、工場を買取るだけのシナリオは難しいはずだし、日産だって今更プライドもヘチマもないでしょうから。

    しかしその頼りの鴻海も、まさしくトランプ関税の餌食ですよね? 最悪のタイミングで、トランプ関税が発動されてしまった。

    返す返すも、こんなになるまで無策を貫いた経営陣は、経営の教科書に名を刻んで、永遠に恥を晒したれ〜!

    それから日産の新社長が、レースに足を運んだそうですね。その際のインタビューで、クルマ感や商品企画について言及していますが、相当のクルマ好きで、本当に久しぶりに似非セレブでない日産らしい雰囲気や等身大の日産ブランドを感じることができました。

    思い起こせば、日産の国内拠点の代表電話番号は、末尾4桁にこだわっていましたよね。
    ▷5523→ゴーゴー日産
    ▷1123→いい日産

    頑張れー!!!!!

  4. スカイラインを降りた者 より:

    追浜はリーフ立ち上げ当時、電動車両のマザー工場とするはずでしたが、その電動化車両もラインナップが遅れに遅れ、稼働率が50%を切りました。あとになってトランプ関税の話が出てきましたが、北米で何とかe-powerを展開できたら(まあ、あれは九州産かもですが)この電動化工場も少しは活気があったかも。とはいえ、地代が高すぎますかね。
    結局は国内ラインナップを減らしたことで、稼働率の低下を直撃した形になります。
    売れないからラインナップを減らすとブランド志向の人は考えるでしょうけど、製造業なんだから工場稼働率を上げることを最優先に考えるべきだったでしょう。
    地域のサプライチェーンにも大打撃ですが、もう工場稼働率が40%では部品の注文も40%で、日産だけでは食っていけないでしょうから、他のメーカーからの仕事が増えることを祈ります。
    地代が安ければ、元気なカーメーカーがい抜きで工場買ってくれたかも(そして、ジムニー増産してくれないか)

  5. かずぽん より:

    こういう時って仕事のできる人、優秀な人ほど先に辞めていきますよね。リストラも後になるほど条件が悪くなって損をするし仕事のできる人、専門性がある人はどの組織に行ってもつぶしが効きますから。また今なら転職口も専門性があれば好条件で見つかりそうです。
    数年後、リストラが終わった日産の車って本当に輝きを取り戻すことができるのでしょうか?

  6. KUMA より:

    ものづくりメーカーであれば、本社に一番近い現場を手放すなんて、正気の沙汰じゃないですが、この距離感の乖離が今の日産の実態何でしょうね。
    横浜なんて洒落たところじゃなく、現場のある栃木に本社ごと移転したほうがいいかなと。銀座のショールームも費用対効果どれだけあったんでしょうか。

    日産復活案は国さんはじめ皆さんにお任せするとして、追浜再興案、いろいろ考えてみました。
    ①同業他メーカーに居抜き譲渡:信頼性がほしいBYDなど中国メーカーは、日本産というステータスは欲しいはず。
    ②他業種に敷地譲渡:現実的な案は無し。
    ③リゾート地化:横浜に近く、ディズニーリゾートより広大な敷地あり、豪華客船が停泊できる港もある。ただ、国内にこの敷地を活かせるようなリゾート運営企業がいるかは微妙。それこそ、ニセコと同様、中国外資に買われてしまわれないか不安。
    ④第2アクアライン:追浜と富津をつなげ、東京湾周遊道、周遊新幹線ができれば、強力な経済圏になる!?

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