日産が注目される中、地味に厳しいマツダ。「いいクルマ作り」や「等身大の販売施策」に課題いくつか

日産に対する厳しい記事が増える中、日産の次に厳しい状況となっているマツダの情報を伝えるメディアは少ない。2025年4月~6月の決算を見ると421億円の赤字となり、2020年以来の赤字転落という状況。7月~9月もアメリカの関税が27.5%のままの可能性大ということを考えると、7月~9月と同じくらいの赤字規模になりそう。2025年通期で赤字になる可能性出てきた。

マツダの厳しさは日産と同じく「売れるクルマが無い」ということに尽きる。前述の通りマツダの稼ぎ頭になるべく作られたラージプラットホームモデルは、27.5%の関税を掛けられたらアメリカ市場で利益など出ない。日本もマツダ関係筋から「日本でCX-60とCX-80を売るのは厳しいと判断したみたいです」。実際、ラージプラットホームの腰を据えた販売促進策は無いそうな。

日本に於けるラージプラットホームの失敗は、サイズの割に狭いキャビンもさることながら、乗り心地の悪さに代表されるクルマの仕上りの低さからきていた。社長交代でラージプラットホームを開発した虫谷さんという技術者が一線を退き、梅津さんというロードスターなどの走りをまとめた人が改良に取り組み緊急的な対応は出来た。これから本格的に! となった段階で梅津さん退社。

再び虫谷さんがマツダの走りの味を担当することになったそうな。虫谷さんは元CTOの藤原さんと違い、一般的な会話は成立するものの(良い人です)クルマの走り談義になると超全く噛み合わない。結果がラージプラットホームの乗り心地やハンドリングである。ということを考えたら「う~ん」になる。スバルの藤貫CTOのように「期待出来ますね!」にゃならんです。

CTO=最高技術責任者

営業関係もアメリカで成功したレクサスのような高級車販売のための店舗を日本で展開しようとしているけれど、評判悪いと聞く。直近のマツダの販売台数を見ると、昨年1月~7月の累計より30%も伸ばしている。現場はけっこう頑張っている。ただ7月で一番売れたマツダ車は利益幅が少ないマツダ2。タイ工場で生産しているCX-3はタイ通貨のバーツ高ということで利益幅は小さい。

マツダの危機感は相当なもので、すでに決まっていた2025年度予算を全て御破算にして必要なこと以外は全てカットしたようだ。トヨタを見れば解る通りクルマの魅力の原点って「楽しさ」である。高級店舗で扱うようなクルマであれば、なおさらワクワクする要素を持っていなければならない。現在進行形でマツダの存在感は急激に薄くなっている。話題と言えば次期型CX-5くらい。

中国で生産する電気自動車『マツダ6e』や『EZ-60』は開発も”ほぼ”長安汽車。マツダのCTOにZE-6の話を聞いても全く情報を持っていなかったほど。PHEVのシステムすら認知しておらず。すでに試乗した人に聞いたら「走りを含めとうていマツダ車のクオリティではなかったです」。そんなクルマが欧州で売れたら、長安汽車とすれば「マツダ抜きでもいいじゃね?」と考えるだろう。

前述の通りマツダとしても現状で長安自動車に丸投げ状態。長安汽車から「フランチャイズ料金」の値下げを要求されたら受けざるを得まい。そればかりかマツダの財政状況が厳しくなったら販売台数減で苦しむ中国部門の買収を仕掛けられる可能性だってある。頼みの綱の次期型CX-5は、ハイブリッドも2027年になるらしい。ディーゼル無し。新型RAV4やハリアーと戦えるんだろうか?

10月になるだろう次の決算発表でマツダは厳しい評価を受けることになると予想しておく。

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10 Responses to “日産が注目される中、地味に厳しいマツダ。「いいクルマ作り」や「等身大の販売施策」に課題いくつか”

  1. 黄色いジューク より:

    マツダに高級ブランドな要素は全く無いと思います。そのチャンネルにふさわしい車はロードスターと今はなきRX7くらいでしょう。
    レクサスとトヨタの間隙はクラウンブランドが埋めたし、高級マツダが付け入るところは無いでしょう。
    ジュークもそろそろ乗り換えかなと思ってますが、日産車は新しいキックスがお得感を感じる価格設定かつepowerが第三世代とはいかずともセレナの1.4のシステムで出ないと購入対象にならないと思っています。いくら元ファンでも先行き怪しいメーカーが急いで開発した車なので身構えてしまいます。
    おそらく安くない価格で、オーラの使い回しの1.2のシステムで出してくると思ってます。
    トヨタのカローラクロスできればGRに乗りたいと思ってます。

  2. より:

    CX60は発売前に予約して購入しましたが、ひどすぎました。乗り心地もですが高速での上下の揺れが耐えられずすぐに手放しました。それをやった人が虫谷さんだったとすれば今後も問題ありそうです。
    黒いマツダは目黒通り沿いの店の品質と地方のそれではよく見ると全く違いますね。
    それよりも対応力がまだまだです。
    今年国内販売がよく見えるのはふたつの理由からでしょう。
    ①前々年がわるすぎた
    ②販売が復活した

    • より:

      ②は販売が復活したは打ち間違えでした。
      お買い得販売が年末から復活したからだと思います。

  3. アクシオム より:

    ただいまNHKスペシャル「シミュレーション昭和16年夏の敗戦」を見て、マツダの記事を重ねると、マツダの中でちゃんと経営計画で予定されている商品企画や採用技術が市場で受け入れられるかどうか、発案した役員、幹部とは別にシミュレーションする社内部署、あるいは外部のコンサルタントにちゃんと検証すべきでしたね。

    あとトヨタと提携はしているけど、トヨタはちゃんとマツダから勉強して技術的に生かしているけど、マツダにはどこを勉強してどう商品に反映しているのかさっぱりですね。
    販売台数での稼ぎ頭のマツダ2なんて、マツダの体力じゃ自社開発なんてできないし、トヨタからOEM調達しても、自社開発商品より台数が稼げないことなら、ちゃんと軍門に下って少なくとも共同開発くらいして、自社工場サプライヤーのために自社生産できるようにしないと。

    このお盆休みに1000kmほど納車されたCX-60を京都まで走らせましたが、初期型のネガティブな部分は運転している分には感じなかったし、後席に乗せた家族からも乗り心地の面で指摘は受けませんでした。
    しかし、不整地路面のうねりに関しては、予想以上に振動を受けてしまい、ガツンと来る衝撃はないものの、共振的なものが結構長めに受けてしまいますね。

    ちなみに件の虫谷さん、なぜか横浜市のふるさと納税の返礼品として、マツダR&Dセンターで虫谷さんのドライビングレッスンが受けれるそうです。
    マツダもマツダですが、日産の本社がある横浜市もマツダを返礼品に使うセンスが微妙ですね。日産のふるさと納税があるのか知りませんが、これで横浜市が日産になんとか横浜市にとどまってくれと神奈川県とともに物申す気が知れません。

  4. ひめ太郎 より:

    大衆路線も高級路線もトヨタのひとり勝ち状態。唯一無二がロードスターでしょうがそれも販売台数が現実を突きつけます、トヨタがオープンモデルを出したら終わりですしね笑。
    そもそもで日本には自動車メーカーが多すぎる、そろそろ統合整理するべきでは…個性の時代でもないでしょう。

  5. マツダくん より:

    10年乗りました。去年、何となくMX30Edition-R買いました。510万の車が既に買取市場では244万くらい?次はトヨタかな…

  6. よしこ より:

    マツダは明らかに欧州のプレミアムブランドを意識しているように見えます。
    ドライバーオリエンテッドを標榜し、クルマづくりに対する一貫した哲学を持っている点は評価すべきと思いますが、イメージアップ目的で店舗の設えにお金をかけるのは時期尚早のように感じます。
    国内のラインアップはモデルサイクルがやや長くなっていることに加え、アイデンティティ強化のためかデザインに統一性を持たせているせいで、時に見飽きた感じがしないでもありません。
    そんな中、CX-60の新しい試みがどんなものかと、ローンチから1年後位に試乗しました。運転席に座りディスプレイ表示から身長を選ぶと、ハンドル・シート・ミラーなどが自動でセットされました。おそらくマツダ推奨のドライビングポジションなのでしょうが、あいにく自分には合わず、全て調整し直しました。クルマを知らない人や技量・経験の乏しい人にとっては「へぇ~すごい!」となるのかもしれませんが、自分なりの安全かつ運転しやすいポジションを確立している多くのドライバーにとって、この機能は無用の長物のように感じました。
    いざ走らせてみると、初期に指摘された乗り心地の悪さはすでに対策済なのか、試乗コースではあまり感じませんでした(後席は未確認です)。
    直6ディーゼルターボはスムーズかつトルクフルに回り、時速30~40㎞から強めに踏み込んだ際のド級の中間加速は、BMWの現行740iに匹敵するほど強力でした。また、後輪駆動でハンドルが大きく切れることも相まって、運転感覚は車重を全く感じさせないほど非常に軽く感じました。
    その一方で、美しいロングノーズと引き換えにキャビンは狭く、荷室開口部のフロア高さも重い物を積み込む際に苦労しそうに思えました。
    そして、購入を検討する際に気になったのは価格です。お手頃価格のグレードもありますが、写真や動画で見るお洒落な内装を求めると一気に価格が上がってしまい、なかなか手の届きにくいレベルだなと感じました。
    この点、プレミアムブランドと考えればむしろ余程リーズナブルなのですが、現状そこまでとは言いがたい境界線上のブランドとしての難しさがあるように感じます。
    車自体の素性は決して悪くはなく、お得意の年次改良で熟成させていくことを考えれば、いずれ人気が高まっていくかもしれません。
    しかしながら、初期の躓き(乗り心地に対する評価)で良くない先入観を広く持たせることになったのは販売面で明らかにマイナスでした。そうなった時に、毎年の年次改良というのはメーカーにとってプラスに働く反面、消費者にとっては疑心暗鬼と様子見の態度に傾きがちとなるのも事実です。

  7. KUMA より:

     CX-60の悪評は2020年代を代表する出来事になってしまいましたね。思えば、CX-60の良し悪しが話題になった頃から自動車評論が雑誌系WebからYoutubeに移り変わり、また、出版社系でない素人・副業評論家が出てきたのも、これが転機だと感じております。
     ラージプラットホームは、旧日本軍の雷電を彷彿させます。改良に追われ、出来がよくなったと思えば、業績に貢献できるほどの商品力は保てなかったこと。CX-5、CX-30という売れ筋があったのに、ラージに注力してしまったのは、鍾馗という同等性能の迎撃機があったのに陸軍・海軍のしがらみで技術者労力を無駄にしてしまったことなど被ってみえます。
     戦争の最も大きな反省点の1つ、組織的意思決定の弱さ、日本企業は学んでいませんね・・・。

  8. 猫まんま より:

    結局の所トヨタ以外はトップが無能すぎて自爆しているだけだと思います。
    トヨタはハイブリッドはもちろんEVもやるし新型ガソリンエンジンも投入しさらに水素まで全方位でやる。マーケティングは完璧でユーザーが欲しがる車を把握して投入してる。これで売れないわけが有りません。ただ今後の課題は無色化しているレクサスブランドをどうするか。いつまでもトヨタの兄弟車じゃブランドは創れません。
    日産はとにかくトップが無能すぎてお話にならない。売れる車は無いしラインアップも歯抜けで一部を除いて骨董品ばかりで売れる訳がない。日本市場を重視するならマーチ、キューブに代わる車種は必須だと思われるがやる気も無し。いっそ日本市場を見捨てるくらいの英断が必要かと。
    ホンダはもはや軽自動車メーカーでライバルはスズキダイハツ。北米市場本位でどう考えても日本では受け入れられない不細工なデザインで自滅していますがこれも最終的にGOサインを出すのはトップの責任です。せめて日本専売車種のSTPWGNとかはフロントだけでも変えれば少しは売れるかも?
    マツダは身の程知らずにも自称高級車メーカーを目指しているみたいですが思い上がりも甚だしい。マツダにブランド価値などありません。唯一売れてた?CX-5もなんかやっつけ仕事で無理やりに出した感が強い。売りのディーゼルも無くハイブリッドもすぐには出ない。既存ユーザーを見捨てたのか?結局ブラックサタンの置き土産が根強く残っているのが原因か?あと一番の問題は口ばかりで買わないマツダ信者という連中が酷すぎる。SkyActive-Xがさっぱり売れなかったのが証明しています。あれだけ絶賛していた連中が買っていればこんなことにはならなかった訳で。いまだに沸いているロータリーガーとか言ってる連中も口ばかり。本当にロータリー搭載車が発売されたら買うんでしょうかね?現在のマツダに必要なのは売れない車種を整理して格安でMAZDA2を売るとか十分な利益を乗せた車種を発売して規模を縮小するしかないかと。いっそのこと外資に買収される方が社員は幸せかも知れません。
    スバルはトヨタの庇護下にある限りは伸びは無くとも現状維持でしょう。スバリストと言われる人たちはうだうだ言わないでちゃんと買ってくるから案外良いのかも。
    ダイハツはいろいろやらかしましたが今後はトヨタが指導しe-smart搭載車種が増えれば問題は無いかと。
    スズキはスバル同じくトヨタにも守ってもらえれば安泰かと。
    意外と大丈夫なのが三菱で良くも悪くも三菱関係者が買ってくれるのでそこそこの台数は黙っていても売れます。EUではルノーともうまく付き合ってるしある意味日産と関係をどうするかが問題なのでは?

  9. あんぱんパパ より:

    国沢さんの指摘がたぶん当を得ていて、マツダが復活したのも「わくわく」感を大事にしてたからで、没落しているとしたら「わくわく」感がないから。新店舗も、「わくわく」するからあの装いが生きるんで、それがなければむしろギャップ萎えするんで、かえって足を引っ張るだろう。

    いろいろ言ってる人が多いけど、要は商品力を失ってしまったという単純明快な理由ってことだよね。

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