日立のリチウムイオン
日立製作所は出力密度4、5kW/kgというハイブリッド車用の次世代リチウムイオン電池を発表した。おそらくこう書かれても凄いのか凄くないのか、さっぱり解らないと思う。というのも電池の性能表記に慣れていない上、電池には様々な評価項目があるからだ。今回の性能、簡単に言うと「短い時間でいかに大きな電力を出せるか?」というもの。
ちなみにEV用の電池に必要なのはエネルギー密度(いずれもバッテ
リー1kgあたり)。いかに多くの電力を貯めておけるかというもの。よく電力は「水」に例えられる。バッテリーを「貯水ダム」だとすれば、出力密度は「排水ゲートを最大にした時に流すことの出来る水の量」。エネルギー密度が「貯められる水の量」です。一般的に前者と後者は両立させにくいと言われている。
だからこそ日産は電池をハイブリッド用とEV用を分けてます(EV用電池の性能は容量=kWhを重視)。さて。現在プリウスになどに使われているニッケル水
素電池の出力密度は1、3kW/kg。プリウスの電池を出力密度3倍の日立の新型リチウムイオン電池に交換すれば、同程度のスペックをキープしながら3分
の1の重さになる。イメージとししちゃ15kgくらいか?
しかし! プリウス用のニッケル水素電池の総合性能
は極めて高かったりする。電池寿命は「クルマの寿命」とほぼ同じレベル。それでいて1kWhあたり3万円少々らしい。ニッケル水素電池の理想値に近い性能
を発揮していると考えていい。現時点で日立が供給しているバイブリッド用リチウムイオン電池の出力密度は2、6kW/kgでニッケル水素電池より高い性能
を持つ。
されど価格は低く見積もって4倍。いや、もっと高いかも(電池の卸価格はブラックボックスです)。いずれにしろ量産ハイブリッド車になど使えないコ
ストだと言われている。日立製作所の新型電池がいくらになるか全く読めないものの、性能より価格のハードルの方がはるかに高いハズ。また4、5kW/kg
という出力密度、ハイブリッド用リチウムイオン電池としては標準的です。
2010年に出す日産のハイブリッドに採用されるNECと共同開発したリチウムイオン電池も4、5kW/kg前後だと言われている。新型プリウスの登場により、今やハイブリッド用電池の最重要スペックは価格になった。日立の電池、安ければ大ヒットするだろう。
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国沢さんも推していた東芝のSCiBが改良されてきました。これはモノになるかもしれません。プリウスが97年に誕生したのと同じくらいの衝撃だと思います(…が、業界関係者すら知らない場合があるから不思議です)。
起電圧の低さゆえの弱点だったエネルギー密度が約60Wh/kgから約100Wh/kgに改善されて、普通のリチウムイオンに近づきました。また、陽極がマンガン電極化されたのでレアメタルや(大量生産した場合の)コストの問題が概ね解決されます。安全性は従来通りです。
寿命も、500〜3000サイクル程度しかなかった従来のリチウムイオンに対して、5000サイクル以上。毎日充電しても10年は堅く、距離にしたらトラックやバスの寿命に相当します。
あとは、メーカーがどこまで良心的な価格設定を行ってくれるかですね(ライバルメーカーから同等性能の電池が出てくるかもしれませんが)
1kWh当たりの単価は想定するに50万円以上で、1/10の単価にならない限り商品として成り立ちません。
ただ、大量生産すればニッケル水素よりも安くできるはずです。メーカーの特許やライセンスがどうなるかですね。
まだSCiBが本命だとは思っていませんが、今のところ市販されるアドバンスド・リチウムイオンのなかでは一番でしょう。