日野自動車、不正が行われた期間中の社長である下(しも)会長事実上の退任へ
日野自動車の不正、多岐に渡っていた。目標値に届いていない燃費の数字を作ったり、耐久試験の途中で触媒を変えたりするなど悪質。国交省も腹に据えかね、型式指定の取り消しまで行ったほど。当然ながら型式指定無くなった新車の販売は出来ない。不正対象を見ると売れ筋モデルばかりなので体力の無い企業なら破綻すると思う。過去の処分からすればダントツに厳しいです。
こういった場合、普通なら社長が責任を取らされる傾向。三菱自動車の時も燃費不正を行っていたのは益子社長時代だったのに、発覚時の社長である相川社長が責任を取らされ辞任させられた。しかし日野自動車は不正が行われていた期間中の社長だった下会長に責任を取らせている。当然といえば当然なのだけれど、慣例と違うため「小木曽社長はどうするんだ!」みたいな声も出てます。
なぜ小木曽社長を辞任させなかったのか? 漏れ伝わるところによれば小木曽社長は責任を取る気になっていたという。そりゃそうだ。今回の不正、昨年6月に日野自動車社長となった小木曽社長の知るトコロじゃない。辞任してもトヨタに戻ればいい。ちなみにトヨタのドル箱となっている商用車部門のプレジデントだったことから解る通り、トヨタにとってエース級の人材です。
小木曽さんはプリウスの開発を手がけ、初代アクアのチーフエンジニアになる。アドヴィックスで社長業務をしてから前述の通りCV(コーマーシャルビークル)のプレジデントになった。温和な人ながら凄く仕事が出来る人だという評価。東工大の自動車部に居たほどのクルマ好きだし。なぜ日野自動車かといえば、我が国のトラック業界は茹でガエル状態だったからに他ならない。
脱落対策、小木曽社長が頼みの綱だったのに
ほっとけばカーボンニュートラルなんて関係無いもんね、という業界です。そこにトヨタはエース級を送り込んだ。ホンキでトラック業界を変えようとしたワケです。実は大型トラックの左後輪脱落問題も、長い間放置されてきた。小木曽社長が問題意識を大にして対策しようとしている矢先だったという(不正問題で残念ながら後輪脱落の件は先送りになると思う)。
興味深いのは今回の不正を受け国交省側も小木曽社長の責任問題にはしない動きがあるようだ。確かにここで辞任になったら誰が日野自動車を立て直せるか解らない。トヨタに戻られたら困る。小木曽社長からすれば辞めた方が楽だったと思う。これからの日野自動車を再生するのは容易なことじゃない。以上、総合して考えると「辞められなかった」ということのようだ。
日野自動車が取り組まなければならないことは多い。今回の不正問題だけでなく、2030年にやってくる二酸化炭素の排出量46%減だって待ってくれない。運送業界の対応、徹底的に遅れてましたから。このままだとBYDに代表される中国勢の電気バスにシェアをドンドン奪われていく。大型トラックの電動化だってすすめなくちゃならない。不正をやった人は猛省して欲しい!
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