本日少しマジめな話です。日本の自動車技術が中国に流失中。怒っているのはトランプさんだ
お休みなので少しヤヤこしい話を。TVやネットなどで御覧頂いた通りトランプ大統領は米国通商法301条に基づき、中国の知的財産権侵害への貿易制裁発動をするという。この件、あまり報じられないが日本の企業って「中国はジャイアンだし、日本政府も守ってくれないから仕方ないこと」と諦めている。つまり自動車技術が中国へ流出している件であります。
現在、日本やアメリカや欧州の自動車メーカーが中国でクルマを売ろうとすると、現地に工場を作らないとならない。なぜか? 罰則的な輸入関税を掛けられるからだ。日本車も日本国内価格の2倍以上の価格になってしまう。そこで中国に工場を作る流れになるのだけれど、困ったことに単独での進出は認められない。中国政府と半分ずつ出資する企業のみ認可される。
当然ながら工場にも中国側のスタッフがたくさん関与してくるワケ。工場というのはノウハウの塊みたいなもので、私らメディアにだって写真を撮らせてくれない。加えて部品の現地調達だって要求されるため、部品メーカーも中国に半分政府の企業を作らなければならない。工場を作れば技術ダダ漏れだ。結果、中国の生産技術が格段に上がってきたのだった。
自動車技術だけでなくスマホやPCなど中国の独自ブランドが強くなってきたのはこういった状況によるもの。トランプ大統領からすれば、制限が課せられている条項こそ「通商法301条に触れる。中国は知的財産権を侵害している。だから貿易制裁発動だ!」。もの凄く正しい。中国のやり方、企業が競争しあう他の国と全く違う。『オールチャイナ』体制なのだ。
考えて頂きたい。この20年で中国の技術力は飛躍的に伸びている。なぜかといえば、海外の先進技術を強引に移管させているから。確かにアメリカからすれば「軒を貸して母屋を取られる」状況になりつつある。現在の強い中国は日米欧が作った、と言い換えてもよかろう。本日この時点でも日米欧の優秀なエンジニア達が中国で中国の企業の技術を磨いてます。
今回の決断、すでに遅いかもしれない。もはや中国人と中国の企業で働く日米欧の技術者だけで独自開発可能なレベルに達している可能性だってある。日本のメディアはトランプ大統領バッシングをしているが、中国とのつきあい方に悩んでいる日本の企業からすれば「素晴らしい! よくぞ言ってくれた!」だと思う。中国のやり方の抜本的な否定ですから。
これを中国が認めるとはとうてい考えられない。けっこう激しいバトルになっていく可能性が出てきました。
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