東芝SCiBの動きに注目

東芝が新潟県に大きなリチウム電池工場を建てた。リリースによれば2011年2月から「電気自動車向け」の製品を生産開始し、とりあえず20Ahセル(電圧は2,4V)を月産50万個! 年内に月産100万個体勢になるそうな。このニュースに接し、いろんな意味で驚く。どこの自動車メーカーが採用するのだろうか?
 
そもそもSCiB電池の特徴は「5千回の充放電に耐える」こと。この数字だけ見ると「凄いですね!」。でも電気自動車に要求される走行距離を100kmとしたなら、5千回の充電だと50万km(!)走れてしまう。平均的な乗用車の走行距離は多くて15万km。こらもう完全にオーバースペックで使い切れない。
 
加えて20Ahセルの重量を400gとした場合、電気自動車1台に1700個程度搭載するとなれば(リーフと同じ24kWh)、それだけで680kg。リーフの300kgより大幅に重くなってしまう。かといって300kgに搭載量を減らしてしまうと、おそらく60km程度の航続距離しかなくなる。電気自動車向きと言えぬ。
 
5千回という充放電回数を活かすためにはプラグインハイブリッドしかない(レンジエクステンダーを含む)。その場合、最大4kWhくらいだろう。電気自動車としての走行距離20km+α。電池だけで120kgになっちゃいますが‥‥。いろんな使い方を想定するも、これまた最適な特性だと思えません。
 
なのに50万個だと1台1700個使う電気自動車なら約300台分。100万個だと600台。年間6千台分。4kWh使うプラグイン用なら、100万個で年間3万5千台分。もし買い主が見つかっていないなら無謀。常識からすればあり得ない。SCiBの「使い道」を考えると純粋なハイブリッド車用ということになろう。
 
プリウスと同じ1,3kWh程度なら重量40kg。5千回という充放電回数や低温特性、キャパシタ並みの充放電特性も活かせる。最後のハードルである「価格」を越えられれば、採用したいというメーカーは山ほどあるに違いない。やがて「そうだったのか!」という発表がありそうな気配です。

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5 Responses to “東芝SCiBの動きに注目”

  1. ミラ より:

    次期ホンダアコードHV向けでしょう。HVそのものはインサイトと同じワンモータだが、ニッケル水素からLIBにすることでアシスト領域拡大が可能になって大幅に燃費改善になるでしょう。

  2. 佐藤12さい より:

    価格と重量にとらわれない産業用途だと潜水艦が思い浮かびますね。

  3. ケースケ より:

    プリウスαでは?
    経費削減に必死になってるトヨタは浮気するのでは?

  4. tm256 より:

    ちと遅れ馳せながら・・・
    リチウムイオン電池開発のあるエキスパートの方と話したとき、その方はSCiBの最適な使い方として「電動フォークリフト」を挙げていました。
    あれなら、重い荷物を持ち上げるために本体も重くないといけないし、急速充電やってすぐにまた稼働させるためにもSCiBがピッタリだと。
    なるほど〜と思ったのですが、その後ある展示会で電動フォークリフトをやってる会社のブースに行ってみたら、まだ鉛を使ってるという話でした。
    やっぱりSCiBも低コスト化がカギになりますね。
    クルマの方はまだ未知数ですが、東芝側の人と話をしたときには、その方はSCiBはSOC(State of Charge)が広いので、問題無いという見解を示していました。
    クルマメーカーの方の見解は・・・まだ聞いてませんので、また機会があればトライしてみますね。

  5. LIB より:

    国沢様
    電池の総容量の計算が違います。SCiBの公称電圧は2.5Vですから、20Ahセル1個あたり20*2.5=50Whとなります。よって、リーフと同じ24kWhでは24000/50=480個搭載することになります。(総電圧は違いますが)セルの重量は、480*0.4=192kgとなります。

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