歩行者を検知して止まるハズの自動ブレーキが全く効かない?
AAA(アメリカのJAFのような組織)が自動ブレーキの評価試験を行った。こういった活動を全くしないJAFと違い、うらやましいです。興味深いのは「歩行者を検知して自動停止する」という能書きながら、ほとんど止まらなかったこと。このレポート見た人の多くが無責任に「やっぱり自動ブレーキなんか役に立たない」とコメントしてる。少しばかり腹が立ちます!
米国自動車協会(AAA)による自動ブレーキの歩行者検知機能性能評価(トヨタ カムリ、ホンダ シビック、テスラ モデル3、シボレー マリブを検証)の結果、すべてのモデルが夜間(40km/h)一切機能せず、昼間でも50km/hではほとんどのモデルが歩行者に衝突した。https://t.co/KAXutjtH4v pic.twitter.com/c7AhsY8kPH
— 海外自動車試乗レポート 編集部 (@autorepo_editor) October 4, 2019
考えて頂きたい。最初から完全な技術なんて無い。今回AAAが行ったのは「ホンの少し間に合わないタイミングで歩行者を出して」いたり、センサーが探知できない「交差点曲がった直後の歩行者」だったり、歩行者を動かさず「止まっている障害物」(動いてないと歩行者として認識しないシステムもある)と位置づけたりした意地悪な試験です。止まらなくて当たり前だ。
そして素晴らしい啓発だと思う。こういった意地悪な試験を行っていくことで技術は磨かれていく。だからこそ私はJNCAPにも「何年同じモードで衝突試験をやっているのか」と書き続けてます。JNCAPもIIHSを見習い「スモールオーバーラップ」のような新しい試験モードを取り入れ(試験車の大半が死亡事故に相当する酷いダメージを受けた)たらいい。確実に安全性は高まる。
面白いことに今回試験対象車となった4車種のウチ、シボレーマリブとテスラ・モデル3は全ての試験モードで全く自動ブレーキが掛からず歩行者ダミーをバラバラにしたのに、アコードとカムリは反応したモードもあったこと。ロバスト性ありますね。いろんな試験モードを取り入れて技術を鍛えていくことが大切だとしみじみ思った次第。
アメリカはAAAだけでなくIIHSも対歩行者の自動ブレーキ評価を行っている。リンクを見れば解る通り、SUVクラスだとホンダCR-VとトヨタRAV4、スバル・フォレスター、ボルボXC40が良好なリザルトを残してます。いろんな機関で様々な試験モードを取り入れれば、それだけ幅の広い評価になるのだった。日本みたいに「国交省様を習え!」じゃアカンす。
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