特ダネで実証試験

フジTV系列の『特ダネ』という朝の番組でプリウスのブレーキ抜けを起こさせてみようということになった。すでにブレーキ抜けの概要は判明しているので、条件を合わせればよいだけ。ビニールシートを敷き、その上にシャンプーを撒いてアイスバーン程度のミューを持つ路面を作ってもらった。

35km/hで進入し、回生制動だけ掛かる程度のブレーキングをしたら、見事に抜けました。0,5秒とか1秒とかでなく、ブレーキペダルを動かさない限り、ブレーキ圧は高まらない。いつまでも空走してしまうということです。しかも運転の上手な人がアイスバーンで踏む程度のブレーキの強さである。こら気になるだろう。

ただ踏み増せば効くことも確認出来た。おそらくリコール対応の制御コンピューターは、初期から油圧系統も稼働させるようにしているハズ。トヨタ側からの情報が全くないので不明ながら、回生制動の効率低下により、実用燃費落ちる可能性大。私は燃費優先だし雪道も走らない。しばらく従来通りの制御コンピューターのまま乗ります。

ちなみに今回のプリウス騒動、一つだけ自分的に満足していることがある。昨年7月に千葉県で発生した多重追突事故は今回の件と無関係であることをキッチリ訴求出来たというもの。今回、NHKとTV東京を除く全てのキー局から状況の問い合わせが来た。その際、時間を掛け、先方に納得頂けるまで事象を説明しました。

残念ながら2月3日時点のニュースや報道では7月の追突事故も並列に扱われてしまったけれど、各局の担当の方に理解してもらえたのだろう。やがてNHK以外(TV東京は確認してません)、7月の事故を報道しなくなった。「間違った情報を流さないこと」がメディアの使命。プリウスについての報道はかつてないほど的確だと思います。

それにしてもトヨタから情報は全く出てこない。機能を全うしていない部門あるのだろう。このあたりがトヨタバッシングの根っこにあります。一生懸命仕事しているエンジニアはさぞ無念に感じている違いない。

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20 Responses to “特ダネで実証試験”

  1. 紫敷布 より:

    いつもズバリの解説楽しみに愛読させてもらってます。
    私はこのところのトヨタ叩きもまあ当然かと思います。
    ホンダを意識しすぎたプリウスの価格設定や、ホンダが止めたらF1も止めるとか、何兆円もの剰余金を持ってるのに派遣切りとか。
    自慢のかんばん方式も結局は現状の交通環境では自前で造るべき倉庫代をケチって道路などの公共施設を倉庫代わりにしていると言えない事も無いし。
    そう言えばアメリカでのえらいさんのセクハラ騒ぎもあったですね。
    大不祥事が出る前にはあの頃から変になっていたのかもと言う会社ぐるみの規律の乱れと言うかその予兆があるもんらしいですが、あの頃から変だったんですかね?。
    三菱ならアメリカでのセクハラもあったし、日本でも社員の福利厚生の海の家をヤクザ関係に任せていたのが発覚したなんてのもありましたね。そう言う会社の規律が根本的におかしくなっていて修正出来無いと(トヨタを擁護している人もいますが)これからもこの問題がエスカレートして行くんでしょうね。
    実際本当にプリウスに税金で販促費を出す必要があったのでしょうか?。プラグインハイブリッドや電気自動車も、ガソリンの様な税金を払っていない脱税状態との比較なのでなんか割り切れなく思っています。
    長文ですみません。

  2. エスピー より:

    以前、ブレーキ抜けで踏切に進入した書き込みした者です。私も、これと同じような経験をしました。とにかくブーキ抜けが2〜3秒間抜けました。つまり、踏切直前で抜けますので、車の先頭は踏切に進入します。しかし、交差点と違い、止まる訳にはいきません。一方、止まらなければいけないという意識があります。結局、ブレーキを踏んだまま足が固定され、気がつけば踏切の中にいます。したがって、環境によっては、いつ大事故がおきてもおかしくありません。マンホールや雨の日に起こる現象とは違っているような気がします。東京の人からみれば、なぜ、と思うかもしれませんが、未知の危険性が潜んでいると思います。明らかに欠陥と思いますので、今回のリコールは遅すぎるにしてもよかったと思います。

  3. かず より:

    了解しました。

  4. あーさん より:

    それにしてもトヨタからの情報が不足していますし対応が遅いと思います。
    改善策が実施されているなら、原因と改善策の詳細な情報を出してほしいです。
    プリウスのブレーキ抜けが不具合であっても無くても情報を出さないとトヨタは隠していると思われてしまいます。
    リコール発表時に詳細が解るのでしょうか。
    ブレーキ抜けの対策の為にエンジニアは土日返上で頑張っていると思います。
    トヨタの上層部は危機意識が不足しています。
    或いはトヨタは情報を発表したくても発表できない別の理由があるのでしょうか。

  5. カズちん より:

    初めまして。
    今回のブレーキ問題には大変興味を持って拝見させて頂いておりました。
    と言うのも、自分もブレーキング中に加速感を味わい、国土交通省にも不具合として連絡した一人であるからです。
    『特ダネ』での検証の件について一言。
    『0,5秒とか1秒とかでなく、ブレーキペダルを動かさない限り、ブレーキ圧は高まらない。いつまでも空走してしまう』
    この『空走』、じつは回生ブレーキABSが作動している状態であり、この時、感覚的にはタイヤがロックしているように感じられるのですが、実際には回転していて、ABSの付いていない車両が凍結路でタイヤがロックしスリップしている感じと非常に良く似ています。
    この点が従来の感覚とは異なる為に『違和感』『感覚的なもの』となってしまうのかもしれません。
    しかし、この事は制動距離が延びると言う二つの問題の一つに過ぎません。
    もう一つの見落としてならない点は、この回生ブレーキング中に段差を拾い、加えてエンジンの始動がこのタイミングと重なってしまった時に強烈な加速が発生して、異常に制動距離が延びてしまうと言う事です。この部分が0.5〜1秒と言われている回生ブレーキから油圧ブレーキへの切り替えのタイミングなのかもしれません。
    この点が非常に危険と考えられる部分です。
    自分の場合、ツルツルの凍結路で、30キロ程度のスピードからブレーキを踏んで、
    その場所から停止した距離を測定したところ45メートルは滑っておりました。
    軽くブレーキを踏んでスリップ感を受けながら20メートルほど進み、そこで左前輪後輪がマンホールを通過、
    一瞬強烈な加速を受け、さらにその場所から25メートル進んで停止したと言う計算になります。
    スピードと距離の関係が明らかに通常では有り得ないものだと感じたものです。
    残念ながら、この二つの状態をタイミング良く同時に作り出す事は難しく、これまで自分でも一度しか経験しておりません。
    しかし、冬季でエンジンが頻繁に作動・停止を繰り返す時であれば、発生率は高まるものと思われます。
    もしも国沢氏が回生ブレーキ中のスリップ感を『ブレーキ抜け』と考えておられるのなら
    思い違いなのではないかと考え、僭越ながらメールさせて頂いた次第です。
    プリウスを愛する沢山のユーザーの為にも、今後のさらなる検証をお願いしたいと思います。

  6. tk より:

    どうやら原因もほぼ分かったようですし、今日リコールを届けるみたいですね。
    普通のプリウスユーザーは安心されるでしょう。
    プログラム変更で燃費性能が悪くなるのは致し方ないと思います。
    ただ、燃費が悪くなるのを嫌ってプログラムを変更しないのはご自分の責任でやってもらって勝手ですが、このような場で評論家としてそれを公言されるのはどうなんでしょうか?
    今回の現象は何も雪道だけではなく、道路事情が悪いところでも発生するような気がするのですが…
    お住まいのところが整備された舗装路だけで、降雪もなければ凍結もない…といった場合はこのままでもいいかと判断できますが、日本全体ではどうでしょうね?
    そこまで考えてコメントするのが評論家としての責任だと思いますがいかがでしょう。

  7. >一生懸命仕事しているエンジニアはさぞ無念に感じているに違いない。
    私もここは一番言いたいところです。
    一生懸命仕事している人達が気の毒でなりません。

  8. 豊後たいすけ より:

    朝のテレビ見ました。まさか、あそこまでブレーキ抜けるとは…でした。正直、温暖な九州とは言え冬季の早朝の橋の上や峠は普通に凍ります。後ろに新型プリウス観たら緊張しますね。まあ、プリウスがロータスみたいな少量生産マニアのクルマなら「そんなモノよ。そこを意識してブレーキするのがマニアたるオーナーの楽しみ」とうそぶくのも出来ますが、今や日本のベストセラー車があれではトヨタも甘いとしか思えません。やはり、インサイトに煽られて焦って急いだせいでしょうか?

  9. いひゅもん より:

     一般ユーザーやアンチトヨタの人達さえこれだけトヨタと言う企業さえも心配しているのに、未だにちゃんとした情報が出されないと言うのは更に傷を深くする事になりますね。 ますますKYと言われても仕方ないけれど、最早、言われるだけでは済まない状況も認識できないのでしょうか? 通常、リコールの場合も各種根回しや準備が出来てから一般発表するはずですが、今回は未だそこまで対応が追いついてないのでしょうか? 全ての組織で「問題が起きた時にその組織の本当の強さが判る」と言われますが、早くトヨタの強さを取り戻してもらいたいですね。 我々には見守ることしか出来ませんので!!

  10. ハタハタ より:

    こんにちは。
    先日も連絡させて頂いたハタハタ事 藤井克己と申します。
    私も現象に関しては、国沢さんの見解通り
    ブレーキは踏み増さない限り制動力は上がらない
    で正しいと思ってます。
    ブレーキバイワイヤ的な制御も出来るのかもしれませんが、
    簡単に考えると
    通常のメカニカルブレーキで言う遊びに当たる部分に
    回生ブレーキ域があり
    その奥にメカニカルブレーキがあると思っても
    大きく間違っていないと思います。
    Nレンジ(回生がなくなるのでブレーキ抜けと同じ状態になる)
    でペダル値が10パーセントでは
    言われるように、ほとんど制動が無いのです。
    僅かにブレーキかかりますが
    引きずってるのがかろうじてわかる程度です。
    普通の車でブレーキペダルにそっと足を乗せた状態ですね。
    Dレンジで回生ある場合はペダル値10%では
    それなりの回生ブレーキになります。
    これがどの程度かと伝えるのが難しいのですが
    恐らくテストされた環境程度かなと思います。
    20%でNレンジではメカニカルブレーキが
    それなりに介入してきますが
    (40キロで走行してアクセルを戻した程度の制動力)
    Dレンジでは、最大レベルで回生をしている状態です。
    HSIで言う、回生量が最大に見える領域だと思います。
    この時点で、数字は適当なのですが
    イメージとしてディスク20%で回生80%。
    それより奥の領域はメカブレーキ側が制動増すだけで
    回生は最大維持の状態になっていると思います。
    正確とまで言える話しでは無いのですが
    CANからのパダル値と回生量の情報を
    モニターしてる状況から考えると
    大きく間違ってないと思います。
    ここからは、一段と確実性が低い話しになってしまいますが
    ここまで、既にプログラム変更された方の報告をネットで見た範囲では
    恐らく、回生ブレーキの作動域を
    現状0〜20%だとすると、その作動ポイントを
    0〜35、10〜30、10〜40等に変更したと思われます。
    言い換えると、完全に症状無くすと言うレベルにするには相当の回生量減少が必要になると思われます。
    後は、程度問題って事かと思います…
    ただ、私が伝えている症状は
    30型でもほぼ一緒だと思いますが20型の状況です。
    乗り換えた方でも
    30型のが若干症状が大きく出る気がする、
    とも聞きました。
    そのあたりは、理由がわかっていません。
    それと、20型での発生に関しては
    理由はお分かりでしょうが
    正直取り上げて貰いたく無い状況です。
    20型、11型の仲間はみな
    飛び火して欲しくないと祈ってる状況です。
    とりあえず、プリウスお持ちで、
    国沢様なら話を理解して頂けると思いましたので
    情報として提供させて頂きました。
    推測も含まれる事もありますし
    情報提供としてですので毎度で申し訳無いのですが
    コメント欄への書き込みではなく
    メッセージとしての処理をお願い致します。
    ハタハタ
    藤井 克己

  11. HAL1000 より:

    再現に成功されたようですね、よかったです。
    他車も走行する交差点などで、経験した怖さがありますので、近くディラーに持ち込みたいと思っています。
    トヨタの今回の対応には、ガッカリしています。
    ISO9001 の取得や電話サポートセンターの COPC 取得など、目に見えるカイゼンを(TOYOTA 得意の)願ってやみません。

  12. くろ より:

    リコールを届けたとありますので、構造的欠陥の場合は、整備等で入庫した際に強制的にプログラムの書き換えが行われるのではないでしょうか?
    プログラム書き換えを行いたくない場合、どのようにすればよいものでしょうか?

  13. ケイイチ より:

    お疲れ様です。失礼させていただきます。プリウスの制動に関する一件を読ませていただきました。私も単純なABSが2チャンネル系統のセンサーとか4チャンネル?とか言われていた頃に、軽いブレーキングに限って・・やたらとABSブレーキ作動が変な場所で空走する感がありました。安価なグレードのABSはセンサーが適当で役に立たない印象が強かったですね(当時は人間ABSタイプ全盛?)、現在は凄く進歩してますが。 さて・・・国沢さんのマスコミ各社になさった対応というのは非常に真摯な態度で素晴らしい行動ですね。・・日本が自己の保身や責任転嫁だらけの”厭な輩”で溢れる時勢、どちらか一方の利益に沿う矮小な意見が蔓延る時代に、社会全体の利益といいますか民衆の見識を高める手本といえる行動をなさっています(模範を示せる御仁が少なくなりまして)。私は・・・直江兼続の直江状?を思い出してしまいました!。クルマ問題ばかりでなく、報道と申しますとNHKは組織や立場上、大事件でない限りカテゴリーによっては画一的な見解を示すだけですから(あそこは公営の予算なので、何事も市民の声が高まってから?積極的に深い追求してくださいます)。格マスコミは時流に敏感イコール即?利益の姿勢で尻軽に動いてくれますが適当すぎて、やはり国沢さん達の様に広範な見識で解りやすく説明してくださるシンクタンクが必要なのですね。これまでは毎回トンチキ?な報道が野放しというか無駄に空騒ぎして、逆に民衆はマスコミ報道内容などには無関心なんだという印象がありました!。現代の様な世界では無駄な社会のバカ騒ぎも、人間や資源エネルギーの浪費を促すだけ。少しでも冷静に対処して確実な運用に充てるようにしないと、物資の果てしない浪費や炭酸ガスの増加まで悪循環だらけ。いま世界中の誰しも、無私の心で社会の公益に繋げられる人物を待望しているのです。批判や否定といった負の相互作用から脱して、明確に自由闊達に論じ行動する気風がなければ国際社会の恒常性も基礎代謝も低迷したまま・・・、有形無形の言葉まで暴力主義(テロリズム)がまかり通る惨めな社会に陥ります。ホメオスタシスの活性化は意識を変えることから始められます。元気な身体と心でクルマを愉しむ?。せっかくのクルマ文化ですから、コクピットまで狭苦しく悪いこと?をする空間にしない為に、蒼穹の様に・・広く学んでいるのは自由に体感している「心」の深層ですから。

  14. せいろく より:

    こういう「検証」と「考察」を待ってました。
    これまでのトヨタ車に関する報道では正確な技術的な裏づけ+実証がされずにいました。(しかも間違った検証をしてる…)
    トヨタの件は、国沢さんが指摘している通り「対応の悪さ」が火を大きくしていると思います。
    ただ、今回の一連の報道で一番気持ち悪いのは「マスコミのあり方」の方。
    トヨタの失敗の代償はトヨタ自身にふりかかります。
    が、マスコミの報道の悪さによる大衆(という無知で流されやすいおろかな存在…自戒も含めて)の誤操作の方に嫌悪感を抱き、事をどんどん悪くしているように思います。
    国沢さんには、この問題について引き続き取り上げていってほしいです。ちょくちょく、のぞきにきたいと思います。

  15. 匿名 より:

    某ニュース番組では、
    「ブレーキが0.06秒遅れる」という
    変な数字が出てきています。
    トヨタ自身から情報がないのは、
    ノウハウ(利益)を守りたいからでしょうか。

  16. もん より:

    報道ですけど、さっきNHK見てたらなんかヘンテコな解説に・・・
    ABS作動から油圧に切り替わる時にって説明。
    そりゃ回生放棄もABSの一部かもしれませんけど、油圧を使ったABSもあるんですよね?
    説明も簡略化しすぎるとなんか本質と違うものになってしまうような・・・

  17. 阪神ファン より:

    やはりこういう技術的なことは国沢さんのような方がTV出演されて正確な情報を流していただくのが一番ですね。非常にわかりやすく助かります。ベストカーの記事も楽しみにしています。

  18. 匿名 より:

    はじめまして毎日拝見しています。
    実証テストありがとうございました。
    今回の事象はブレーキを踏み足さないと
    ブレーキがすっぽ抜けたままと言う結果にびっくりしました。
    日常のドライブでありうる状況でこんな危険な事象が生じるのに
    世の中に出したのは明らかにトヨタ技術者の判断ミスと思います。

  19. 山上 より:

    今回のプリウス問題は、いい意味で、さらなる技術革新に、繋がるでしょう、4プリは、もっと凄いハイブリッドに、なる!今回の件で、世界の他メーカーが、追い付けないくらい、先を、行く事でしょう!プリウスは、車であって、車であらず、パソコンが、走ってる様なものです!

  20. P.O より:

    とりあえず、プリウスはこれで終わったとして、
    電子制御スロットルの問題は残ります。
    フロアマット、アクセルペダルを暴走原因として
    リコールしましたが、本丸であるECUに議論がうつり
    米国では更なる追求とフェイルセーフ機構を設けて
    いなかった企業の社会的責任追及がなされるでしょう。
    もはや一企業と言うよりも、日本経済に大きなダメージ
    が起こることを危惧しています。
    個人的には、トヨタの決算で短期長期等の借入金が
    多いこと(12兆ですか?)も少し気になります。
    下記を見てもほとんど不買運動ですね。
    http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=adGomfo549rA

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