環境自動車戦略で一番難しいのが需給バランス。VW電気自動車売れず減産へ。典型例はMIRAIです

電気自動車という乗り物、現時点では利便性という点でエンジン車に勝てていない。もう少し正確に書くと純エンジン車には勝てる部分が多くなってきたものの、ハイブリッド車と比べたら厳しい。以前から書いてきた通りハイブリッドの需要多く、欧州でもニーズに生産が追いつかない状況。かといって電気自動車を作っていかないと時代の流れにおいて行かれてしまう。つまりアクセルの開け加減が難しいのだった。

日本でも伸び悩むID.4 写真/車屋四六氏

大手メーカーで一番強くアクセル踏んだのはVW。独エムデン工場に於けるID.4の生産キャパシティは2022年末に年間30万台規模。さらに(独)ツヴィッカウ工場でID.5の生産を行い、ツヴィッカウ工場とドレスデン工場で生産しているID.3は本社工場でも今年から生産する。現時点での生産キャパ、欧州だけで年100万台に達していると思われる。欧州の販売台数を見ると1~3月で9万8千台ほど。アメリカなどに輸出しているものの、厳しい。

そんなことから在庫が増えてしまい6月に入って減産を始めたという。VWの生産計画からすれば完全なるオーバーキャパシティになっていると思う。この状況、いつまで続くだろう? 読みは非常に難しい。2026年にアメリカで電気自動車の需要が急速に伸びるし、欧州も2~3年後にはニーズ増えるだろう。ただ現時点ではVW以外も電気自動車を大量に市場投入し始めており、全体で見るとじゃぶじゃぶの状況と言ってよかろう。

ちなみに中国を見るともはや激しい競争状態になっており、中国メーカーですら実力無いと淘汰されそう。VWは激しいバトルに巻き込まれてしまい、1~3月期で電気自動車の販売台数を伸ばすどころか25%失っている。今後一段と競争が激化していく。おそらく80%くらいのシェアを中国企業が持って行くんじゃなかろうか。安価で性能の高い電池を持っていない日本の自動車メーカーが入り込む隙間は狭いと思う。

ということで2024年末くらいから2030年あたりに掛けての電気自動車生産計画の読みは極めて難しい。ここで電気自動車のニーズを取れないと業績は大幅に低下する。かといってエンジン車のサバイバル競争だって激しくなっていく。もっといえば燃費の良いハイブリッド車しか生き残れないかもしれません。そんなイメージで日本勢を見るとどうか? ハイブリッドを持たないメーカーは電気自動車に勝負をかけるしか無い。

なのに電気自動車でも遅れを取っていたらどうなる? こらもう2025年にはエンジン車の競争力を失い、同じく商品性高い電気自動車も2026年間に合わない。トヨタですら市場予想で失敗すると、初代MIRAIの数倍規模の生産キャパシティを持つ現行MIRAIのような厳しい修行をしなくちゃならないのだった。MIRAI、デザインで商品性を大幅に落とし、インフラも追いつかず。電気自動車で失敗するとMIRAIのようになります。

MIRAI、乗ると文句なし! 素敵なクルマである。デザイン良く、水素ステーションが今の5倍くらいあれば計画以上に売れたと思う。

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5 Responses to “環境自動車戦略で一番難しいのが需給バランス。VW電気自動車売れず減産へ。典型例はMIRAIです”

  1. けろけろ より:

    欧州勢、特にVWにとってBEVは、ディーゼルゲート事件の起死回生策。BEV市場に勝負に出た!

    もしロシアのウクライナ侵略がなければ、電気代の高騰はなく、ここまで市場は失速しなかったかもしれない。それでもBEVにとって、一大市場の北欧の冬は厳しいと思うが。

    それでも世界中の顧客事情を最優先して、世論の批判を受けながらも多様化戦略を取ったトヨタには、本当に頭が下がる。

  2. z151 サンバー愛好者 より:

    難しい舵取りが当面続きそうですね。
    法制化の未来があって販売台数の一定率にBEV販売義務がある。
    でも現状そこまでBEVって便利じゃない家庭が多い。
    このBEVだったら「並んでも」買いたい!って程でもなかったら。
    いや本当の普及期ならば、クルマに大して興味もない人が「何となく便利だから」「必要に駆られて」BEVを買い求めて、初めて3割とか5割の数字が見込めるようになるのかなと個人的には思います。

    各国政府の「BEV販売比率」にしても何か視点がズレている気がしています。
    3年後に今のハイブリッド車より便利で魅力的なBEVが販売されていなかったら、ラインナップがいくらあっても3割5割の販売比率なんてムリな話です。
    bZ4Xとハリアーハイブリッド比べたら迷わずハリアーハイブリッド買うでしょうし。
    「3割販売比率に協力してくれ」とディーラーマンに三顧の礼されてもね。
    だってウチ月極駐車場だものと断りますし。
    販売比率は結果であって、ユーザーが選び取るもの。
    各国政府が販売比率を決めてもその通りになるとは限らない。
    市場予想を上回るくらい魅力的なBEV用意してねという意味なら少し解ります。
    つまりただラインナップにBEVを用意しただけではダメってことだけ確かなことなのが判ります。

  3. ハヤミ より:

    以前あった、電池カセットの交換方式が鎮座して消えてしまったのが惜しまれます。

    現状の家庭環境から考慮するとBEVが気軽に利用できるのは戸建住宅に住んでいる人に限られると思います。
    それと充電に時間がかかることもネックです。
    これらの問題を解消するのが電池のカセット交換方式だと思ったのですが。
    おまけに、電池の劣化でリセールバリューが悪くなる問題も無くなるのではと思います。

  4. ナンケイ より:

    水素のスタンドの普及は、トヨタと豊田通商が組んでもう少し本気出してもうちょっとなんとかなんないのかね?なんて思ったりします。

  5. PAL より:

    HONDAeみたいな車にマツダの1ローターロータリーエンジン載せたレンジエクステンダー車があれば良いなぁと思うのですが。

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