自動車文化
「市販状態で速いこと」の意義は今や世界的に無い。特に高性能車であればなおのこと。危ないですから。逆にニュル24レー
スくらいの知名度を持つ競技になれば、スポーツカー作ったら出場しなければ相手にされない。「強いんだぞ!」と言い張るなら「じゃ戦ってみようぜ!」にな
るのは当然ことでしょう。
世界規模で見ると、自動車という文化には「競争」が絶対に必要だと思う。同じくらい「スポーツカー」も重要。しかし日本を見ると今やマーケットなど無し。そんなことからスポーツカー(高性能車を含む)は風前の灯火といった感じ。少なくともマツダ、三菱自動車、スバル、ダイハツは、意義を見いだしていない感じ。
けれど世界一のスパコンや宇宙ロケットが元気を与えてくれると同じく、世界で高い評価を得
られる高性能車も自動車産業にとっちゃ必要である。かといって環境の時代を迎え、単純に早いクルマを作っても評価されない。というか、そんなクルマに魅力
を感じる顧客など存在しないだろう。速いかどうかも解らないし。
GT-Rが好例。単純に早いことしかアピール点を持たない。でも競技で速かったら評価は180度変わると考えます。あれだけ開発予算を投じてニュルに通い(開発ベース基地まで確保した)、ポルシェ911より速いと大宣伝した。
正々堂々と競技に出て勝てば、怪しい自己申告をしなくたって人は評価してくれる。
ちなみに桜井真一郎さんも渡邊衡三さんもGT-Rを開発するのにあたり「レースでライバルに勝つ」を考えた。残念ながらR32は強すぎてどこも受け入れてくれなかったものの、現行GT-Rならニュアルで真の実
力を見せてやれると思う。GT-Rファンのためにも「チカラ比べ」から逃げ回らないで欲しい。
GT-Rを除けばニュルブリックリンクじゃなくてもOK。アメリカのSCCAのショールームストッククラスでもいいし、ラリーのR2クラス(1600ccNAエンジン)だっていい。どんなカテゴリーでもいいから、そこで勝てるようなクルマを開発すればよいワケ。面白いモノで、そういったクルマは多くのカテゴリーで競争力を持つ。
それが日本の自動車産業の後継者の育成にもなる。例えばタイあたりで1,6リッター180馬力程度のエンジンを生産し、そいつを日米欧ではフィット/ジャズに搭載。アジア地域ならブリオに搭載し、モータースポーツのベース車両にすれば面白いんじゃなかろうか。お金もあまりかからないだろうし。
も
しかしたら販売台数は伸びないかもしれない。でも競技で良い成績を取れば、間違いなくイメージが上がる。こらもう理屈ではない。自動車ってそんなモノなのだ。幸い今年後半から日本の自動車メーカーの収益がV字回復する模様。こういうときにホンに少しでいいから予算を付け、夢を追いかけて欲しい。
・ECOカーアジアは「リーフの妥当な電費」
<おすすめ記事>
スポーツカーの部類ではないかもしれませんが・・・。
個人的にはHBのターボ車が好きです。
シティーブルドック、シャレードデトマソターボ、マーチターボ、スターレットターボ、ミラージュターボ、昔あったこれらが好きでした。今でも発売されたらいいのに・・・と思ってます。
おっしゃるように「事実上絶滅」の状態にあるスポーツカー/高性能車市場に息を吹き込むには1.6Lクラスの100ps/Lを超えるエンジンを開発し、Bセグメントコンパクトに搭載してクラッチレスマニュアルと組み合わせて製品化し、ワンメイクレースをメーカー自らが展開していく…..そのぐらいのことをやらねばカンフル剤にならないのではないか。
そうした意味で「ホンダフィットタイプR」や(市販化濃厚の)日産マーチNISMOバージョン(ジューク用1.6ターボ搭載)の市販化が一刻も早く望まれてならない。
こうしたジャイアントキラーの魅力は、ヒトに等身大の元気と生きる勇気を与えるものだと信じて疑わない。
実際、小生も2004年式ヴィッツ1300U-L/87489km走行を所有しており、決してスポーツタイプではなく標準的コンパクトとして設計された同車とて1300cc/87psと「使いきれる等身大のパワー」を絞って走るエネルギーの爆発に人車一体感を覚え、それがカタルシスにつながる寸法であることを告げておこう。
ガ行のエンジン音を厭わずブン回せば、そのロングストローク(72×79.7mm)の1296ccユニットは粘りある爆発力を発揮し、実際の速さもVWゴルフ1.2TSI(105ps/17.8kgm)やブルーバードシルフィ2.0(133ps)、ボルボS40 2.0(145ps)あたりには引けを取らず走れる辺り、「ジャイアントキラーの持つ魔力」につながる物が感じられるのではなかろうか。
「自分のクルマは小型で安いけど性能では決して弱者ではない」この辺りは実は大きなポイントであり、乗り手に自信を与えることに他ならない。
世の中では軽自動車やミニバン等、「能動的魅力とはおおよそ無縁」の商品が売れまくっているが、それは経済的事情もあろうがバブル崩壊以来すっかり萎縮しまくった日本人が「乗れればいい」なんていうノリでクルマに「バス/電車と同質の期待」しか抱かなくなっている証拠でもある。
幸い、自動車業界は震災の影響も思ったほど根深くなくV字カーブの回復・成長が期待されると言われる。そこで、市場に質的な充実をもたらすべく国産メーカーもクリーンハイブリッドの高性能ユニット分野への応用やガソリンユニットの小排気量直噴ターボ化、ディーゼルハイブリッドの製品化などやるべき課題が非常に多く、ピントを外さぬ技術・コンセプトの開発を切に望みたい。
ただ話題の中心・トヨタFT-86スポーツクーペはコンセプト的に20年は遅れていると思う。ポルシェケイマンをベンチマークにしたとはいえ平凡な4気筒2.0L水平対向ユニットで0-100km/h=7.6secとはS15シルビアの域をいくらも脱していないと思う、率直に言って。ハイブリッドを徹底的に煮詰めてガソリン過給ユニットと組み合わせるなり、そこへポルシェ・パナメーラばりにセーリング機構を組み入れるなり、「最先端のエコ技術でポルシェケイマンなりアウディTTを撃破する」といった気概が望まれるべきがどうしたことだろう。その点、小生個人としてはSKY-Gを1.5Lに拡大して搭載する次期マツダロードスターやハイブリッドV6搭載の次期フェアレディZ/スカイラインの日産姉妹に期待している。