自動車評論家ながら90年続いた鰻屋の孫なので、たまには鰻評論家など。『鰻の成瀬』ってどうよ?

最近「うなぎの成瀬」というお店がたくさんできてるということです。味はどうかと聞かれるのですが、試したことがありませんでした。近所に出来たので試してみた次第。店舗は今まで昼がラーメン屋。夜は居酒屋でした。店内はローコストの造作。そんなところにお金を掛けても意味なしというコンセプト、いいと思う。店員さんは愛想良く、対応に不満を感じることはないかと。

井荻駅のそば。昼はガラガラです。駐車場も駐輪場もないので厳しいか?

価格はなるほどリーズナブル! メニューも鰻だけの3種類。真ん中の『竹』(2200円)を選ぶ。店内に鰻を焼く匂いがしないため、白焼き>蒸しの行程までどこかで加工した後、オーブンなどで焼いて仕上げている感じ。他にお客さんいないこともあり、出てくるまでは7~8分。お重のふたを開けてびっくり! 大きくて分厚い鰻です! 1kgあたり3~4尾サイズ。

ウチの鰻屋と全く同じく鰻だけ

今や普通の鰻屋さんだと1kgあたり5~6尾サイズを1尾で4000円からといったイメージ。大きい鰻なので竹だと1尾の4分の3なのにご飯が見えないほど! 松の1尾分なら4分の1は重なると思う。なるほど安い! これで味が良ければ既存の鰻屋は相当厳しい戦いになる。ちなみに鰻は外国産とあるので、まぁ中国でしょう。台湾産もあるけれど、日本産と変わらないくらい高いですから。

肝心の”味”やいかに? 幼稚園に入る前から鰻を食べてきて私からすれば(小学校の弁当に鰻が半尾入ってるおにぎりとか持たされてました)、鰻の味って上限があると考える。いろんな場所で鰻を食べてきたけれど「いかに上限に近づけるか」こそ職人ワザだと思う。鰻には季節による差や、池の差などある。それを的確に判断し、白焼きと蒸しの時間を決める。関東風の鰻、蒸しが命です。

このくらいキレイな仕事が出来る鰻屋さんは減りました

というのも鰻は魚の中で一番味が濃い! 濃すぎると「臭い」と感じてしまう。鰻を焼いただけだと臭くて食べられたモンじゃないと私は思う。そこで日本中から人が集まる江戸で考案されたのは「蒸して嫌なニオイの油を落とすこと」。蒸し器の下に出てきた脂のニオイ、もうキツいです。もちろん焼いただけの鰻を美味しいと思う人もいるので、蒸さない地域ある。

私は蒸さない鰻は全く食べられない。脱線した。鰻の成瀬でした。少しばかり鰻の良くない意味でのニオイが残っています。自覚があるらしく、ネギとワサビとショウガがつく。あと5分くらい蒸したらいいのに、と思う。ただ蒸すと身が柔らくなるため、バイトの人だと扱えなくなる。普通に持って身崩れしないギリギリなんでしょう。焼きは少し過多。端っこが焦げてる。

といったことを考えながらも安い! 味も上限には遠いけれど、十分合格レベル。既存の鰻屋さんにとって驚異の存在になること間違いなし。いや、もうなっている? そして鰻文化を残すという意味で意義は大きい。2000円で食べられるものとして考えたら、鰻は高い競争力を持っている。特にギトギト系を食べると健康に悪い世代にとっちゃ最高だ。頑張って欲しいと思う。

<おすすめ記事>

2 Responses to “自動車評論家ながら90年続いた鰻屋の孫なので、たまには鰻評論家など。『鰻の成瀬』ってどうよ?”

  1. kyamaga1330 より:

    ウナギはご無沙汰ですね~ かみさんは嫌だと言うし食べる機会は少ないですが食べたいね。昔、延岡の友人を訪ねたら「ウナギを捕りに行くよ!」ついて行ったら簡単に捕れるのには驚きでした。蒸すことなくそのままの焼きでしたが旨かった。私の田舎ではウナギは食べた記憶は無い。

  2. 鴨川で昼寝 より:

    僕は白焼きをわさび醤油で

    冷酒のアテとして

    一番好きです

    天然の「海採れ」なら最高

コメントを残す

このページの先頭へ