被災した八丈島で遠からずやってくる南海トラフ地震を考える。基本は自分でなんとかすることですね
最初に八丈島の人から聞いた課題など。やがて来る南海トラフ地震の教訓になることばかり。まず水。今回、水そのものを運ぼうとした。けれどかさばるし、海が荒れたら接岸出来ないため持ってこられない。皆さんに聞いたら「なんで海水から飲み水を作れるシステムを持ってこないのか?」。今やほとんどの船舶に海水から水を作る装置が搭載されている。1日30トンの飲み水を作れる装置だって4トントラックに積めるサイズだ。
115kgのシステムでも1日3トンの水を作れる
水を4トン運ぶなら、重量2トン程度の造水装置を1機持ってくれば毎日30トン作れる。南海トラフ地震に備え、津波対策をした上、造水装置を2~3機備えておくと万全です(普段は漁協の氷用などで使用)。もう一つは食料。島の人によれば「炊き出しだと冷蔵庫ないため翌日は食べられない。長持ちするパンが必要なのだけれど、飛行機やフネは援助物資優先のため載せてくれなかった。保存の効く食べ物を考えて欲しい」。確かに過去、多くの被災地でおにぎりが腐った。
15日あたりから飲料水の問題は解消
10月28日時点で水の出ない地域もあり、地元有志が炊き出しなどしようとすると保健所からダメだしされると嘆いていた。これまた今までの被災地で普通に見られていた状況。行政も被災して動けない状況だとボランティア活動がきっちり機能するものの、行政入った途端、建前優先になってしまう。南海トラフ地震の被災地域では物資が山積みになっていても被災者に届かず、腐るケース続出になるだろう。島の人は強いため「勝手にやりますよ!」。素晴らしい!
トイレの水も15日くらいから雨水など貯め自衛する人が増えた
さて。10月9日の台風22号で被災した八丈島は現在どうなっているだろうか? 10月27日に現地入りしたので最新の情報をお伝えすると同時に、南海トラフ地震に対する心構えや準備を考えてみたいと思う。ちなみに私は被災直後の10月10日の夕方に八丈島入りした時は(翌々日に一旦帰京)ほぼ全島で停電と断水。それでも11日時点では島民同士の助け合いにより、食べ物や飲み物、携帯端末の充電なども何とかなっていた。
スーパーマーケットは比較的早い段階で頑張った
12日には島内有志による炊き出しなども始まり、加えて自然災害に対する準備が普通の地域より出来ている離島ということもあり、10月13日に接近した台風23号を含め人的な被害は出していない。そればかりか台風23号が去った10月14日(台風22号の9日から14日までの6日間)まで天候悪く定期船や定期便の欠航が多かったことを考えると(自衛隊の飛行機や艦船は民間以上に飛行/接岸出来ず)、他の地域より圧倒的なロバスト性(強靱さ)を持つと思った次第。
釣り宿も28日時点では氷がないため出漁出来ず
15日から本格的に復旧が始まる。島の人も感謝していたのは電気と水道。特に電気は大雨の日も作業を続け、10日間でほぼ復旧。水道も12月まで掛かると言われていたものの、27日には90%まで復旧している。ただ収入をベースに考えた「復旧」はこれからだ。八丈島の場合、役場、教育、電気、ガス、道路などに代表されるインフラ関係、漁業/釣り/ダイビングなど海関係に飲食業、観光客を相手にした宿泊業、農業などが仕事である。
台風被害直前の9月30日にオープンしたカフェも営業中
インフラ関係は現時点で仕事あります。それ以外の業種からすれば大打撃である。やはり観光客が戻ってきて欲しいところ。一方、被災地域への観光旅行は自粛する傾向。もちろん現時点で来島してもまだ厳しい。いつから再開か? すでに営業を始めている飲食業などはスタンバイ出来ている。宿泊なども11月に入ったあたりから少しづつキャパシティが増えていくという。最大公約数で考えれば11月下旬から12月かと。ちょうどクジラのシーズンです。
島の”百貨店”も平常営業してます
宿に連絡し、受け入れOKになったらぜひとも八丈島を訪れて頂きたい。東京と比べ温暖。11月に入れば漁業も再開されるため、食事のバリエーションだって増える。島酒、美味しいです。そして世界で最もクジラに接近出来るホエールウォッチが始まる。フネに乗って見てもよし、岸からだって潮吹きやジャンプを見られる。温泉が再開されれば源泉掛け流しを堪能出来ます。もちろん釣りにもよい。メジナのシーズンですね。今日はカンパチ釣れてました。
以上、八丈島の近況など。南海トラフ地震は被災地域が広域になるため、太平洋沿岸は最短で2週間程度の電気と水、食料を自分で確保しなければなるまい。電気はハイブリッド車か太陽光発電を準備しておくと安心だ。電気あると寒さにも耐えられる。夜の暗さも怖くない。そして水です。大量の水を用意しておくのもいいけれど、造水機が欲しい。とりあえず小さいのを買ってみた。飲み水程度なら十分か。さらに雨水を貯めるシステムも作ろうと考えてます。
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ワタクシ、実は元東京都港湾局勤務で、八丈島については離島港湾部に在籍していた時に漁港を担当していたので、少し・・・どころではないですが、色々とかかわっていましたので、八丈島のことは他人ごとではなかったです。
担当していた漁港は、最初末吉地区にある洞輪沢漁港で、温泉も近くにある小さな漁港でしたね。
その次に担当したのが、八重根漁港。ここは神湊漁港に次いで島内では大きい漁港で、神湊漁港に隣接する底土港とともに東海汽船の大型客船が発着できる港ですね。
伊豆諸島の離島は、大島、新島、三宅島、八丈島については風、波の影響を考慮して大型客船が着岸できる港を2港整備し、八丈島では底土港と八重根港が整備されています。底土港は、比較的穏やかな波高ですが、その名のとおり、海底が土でしたね。
八重根港は波高が高くてあまり大型客船が着岸する機会は底土港より少ないんじゃないですかね。
あと、八丈島空港も港湾局の管轄で、現地では総務局八丈支庁が業務に当たっていますが、設計や工事の発注は港湾局の離島港湾部が担当しています。
ホントは、色々と書くことはありますが、今後またなにかありましたら投稿いたします。
生々しい現地情報をありがとうございます
なかなかマスコミでは報じられない内容かと。
海水淡水化装置そのものを持っていかない理由があるのでしょうか
単に役所・自衛隊のマニュアルに載っていないから?