追浜工場、鴻海の電気自動車を作るという昨年12月の話に戻る? ただ課題山積ですね

昨夕、日経が「日産は鴻海と追浜工場でEV生産を協議」とスクープした。その後「遅れちゃなんね!」とばかり後追い報道が続き、NHKは「ホンハイ精密工業と共同で利用する案について協議していることがわかりました」。ロイターも「同工場で鴻海が自社のEVを生産することを軸に検討を進めている。複数の関係者が明らかにした」。各メディアの書き方だと独自取材なんだろう。

思い起こせば「鴻海が日産のファシリティを居抜きで使う」というのは昨年12月に出た話であり、そいつを嫌った日本政府はホンダにホワイトナイトを依頼したという流れ。ホンダは日産の財務状況を見て海老バックし、独自再建ということになっていた。当然ながら鴻海はバックチャンネルで日産と協議を続けており、三菱にEVをOEMするとなった時も、次は日産と言われたほど。

可能性としては十分あると思うが、難しい点も多い。考えて頂きたい。追浜工場の生産能力は年間24万台。現在ノートを生産しており、1月~6月までの販売台数は4万3千台ほど。対前年比でジワジワ売れ行きを落としているため、2025年は8万台か。工場の稼働率は最低で7割は欲しい。となれば8万台程度の鴻海車を生産しなければならない。というか8万台作れば工場存続可能になる。

もちろん輸出を考えているのなら何とかなりそうな台数だ。しかし我が国は大票田である農家を守るため(食糧自給率を確保するという目的では無い)輸入農産品に高い関税を掛ける代わり、相手国が自動車に高い関税を掛けることを容認してきた。ここにきて唯一の太客だったアメリカも怪しくなってきた。それ以外の国への完成車輸出は細い。特にEVを買ってくれる国となれば少なくなる。

8万台を日本で売れれば追浜工場の存続も可能になるが、果たして鴻海車が売れるだろうか? 私は厳しいと考える。日本で生産するとなれば生産コストは日産車と同じ。価格も同等になる。今でさえトヨタの一人勝ち状態。技術の日産ですら歯が立たない。鴻海も決して悪いクルマじゃないだろうけれど、日本市場だと戦う相手はトヨタです。しかもEVの普及には5年以上掛かる。

さてどうなる?

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