VWトゥアレグハイブリッド

ハイブリッド技術はトヨタが圧倒している、と思っている人が多いと思う。実際、プリウスに関して言えば、ライバルの追随を許していない。おそらくトヨタ以外でプリウスに匹敵する燃費(効率)を持つハイブリッドが出てくるまで、最短で2年掛かると思う(日産がプリウス級のハイブリッドを開発している場合です)。

しかし。RX450hやクラウンに代表される車重のあるハイブリッドに関して言えば、年内に追いつかれると思う。いや、すでにRX450hについちゃVWのトゥアレグ・ハイブリッドに並ばれ、クラウンも年内にデビューするフーガのハイブリッドに並ばれるか抜かれると考えていい、と今回トゥアレグに試乗して実感しました。

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トゥアレグ・ハイブリッドのスペックを並べてみよう。

RX450h 249馬力+235馬力=システム出力
299馬力
トゥアレグ 333馬力+ 46馬力=システム出力380馬力

システム出力を見れば解る通りRX450hは前後輪合わせて235馬力のモーターを搭載しているものの、バッテリー性能の関係上、一度に出せる出力としちゃ50馬力分しかないのだった。一方、トゥアレグのモーター出力を見ると46馬力でショッパく感じるも、最大で47馬力を発生してます。

フル加速時の性能は当然の如くシステム出力で圧倒する
トゥアレグの圧勝! 下の動画見ていただければ解るように、アクセル全開にした時の速度計の上がりの速さと来たら驚く。モーターからエンジン駆動に切り替わるときの滑らかさなども、RX450hに勝るとも劣らず。4WD性能なんかトゥアレグ圧勝だ。

ハリアーとか連呼しちゃってますがレクサスRX450hのことです

何よりショックだったのが商品性。ディーゼルエンジンを搭載するトゥアレグより燃費じゃ負けるものの動力性能で優勢。質感もディーゼルより高い。すなわちVWはディーゼルをラインナップしているため、ハイブリッドの「居場所」をキチンと確保しようとしているのだ。ディーゼルを持たないトヨタと明らかに異なる。

唯一「まぁいいか」と思えるの、大半の構成部品が日本製だという点か。ニッケル水素バッテリーはサンヨー製。8速AT+トルコンもアイシン製。その他、ハイブリッド関係の部品の多くに日本製を採用しているそうな。そういった点から考えるとトヨタの技術がベースになっているということです。

したがってトヨタはバックマーカーから逃げ続けなければならない。なのに当面進化できない。リチオウムイオンバッテリーを持っていないためである。もし良い電池さえ持っていれば、235馬力というキャパシティ持つモーター出力の半分くらい使えるようになると思う。そしたら性能も燃費もイッキに上がるだろう。

日産とそのバッテリーを使うベンツが重量級のハイブリッドを作ったら、簡単にトヨタの性能を抜ける、ということであります。しつこいようだけれど日産のバッテリーの権利はトヨタ傘下に入ったスバルが持っていた。なんでポテンシャルの高さを見抜けなかったのだろうか? トヨタ最大の失策だと思う。

以上、クルマの達人向けの「やさしくない」解説です(詳しい人ならここでの紹介だけで100%理解して頂けると思う)。ハイブリッドを知らないとシステム出力の機微についちゃワケ解らんかと。分かり易い試乗レポートは近々お届けします。

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3 Responses to “VWトゥアレグハイブリッド”

  1. スーパーチャージャー より:

    映像を見て初めて気がつきましたが、ハイブリッドは、意外にもスーパーチャージャーと相性が良かったんですね。スーパーシャージャーの最も燃費の悪い瞬間、つまりアクセルを浅く踏んで、低回転で回している瞬間をモーターが担当するから、という理解でよろしいでしょうか? スーパーチャージャーの立ち上がりの良さだけが生きる、と。
    それにしても、なめらかな加速でしたね。

  2. かず より:

    レクサスというか、トヨタもパワーで思いっ切りのハイブリッドを造るぐらいの、吹っ切れ感があっても良いかもしれませんね。
    ライバルは研究し攻め方を変えて来ますし。

  3. 真鍋清 より:

    VWトウアレグ・ハイブリッド、同車のハイブリッド機構は大筋ではポルシェ・カイエンのそれと変わらないものと言われ、クラッチ内蔵型8速AT、アクセルを戻すとトルクコンバータとエンジンが絶縁される「セーリング機構」など全てに結構毛だらけ!
    おかげでCO2=200g/km以内のクリーン性もさることながら、リチウムイオン電池の採用によるバッテリーの均衡したムダの無い性能(レクサスハイブリッドだと約180ps分も無駄に使うことになるのだ!)が備わっており実に理性的なエンジニアリングといわざるを得ない。
    スーパーチャージャーとバッテリーアシストの相乗効果による低速域の燃焼効率向上など、VW/ポルシェ連合はエンジニアリング面における「カンバン方式」を実現、片や生産面の「カンバン方式」の始祖たるトヨタはハイブリッドの分野では2トンの車重でハイブリッドのモーターアシストを帳消しにするエスティマ/アルファード・ハイブリッドに始まり今回のレクサスRXハイブリッドも含め無駄の塊とも言え、リチウムイオン電池なしには話が始まらないことがわかる。
    無論、水面下ではトヨタ側もリチウムイオン電池の開発を行っているに違いないとはいえ、先駆者の技術ノウハウは案外脆弱だったことが立証されたのかもしれない。

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