モリゾウさん

鞍ヶ池記念館には豊田喜一郎さんの別荘が当時を再現させ移築してある。章男社長も小さい頃に遊びに行ったそうな。建物自体は当時流行った和洋折衷の上、「ガウディを参考に石を配したウンヌン」というディズニーのキャラ使う中国を笑えないデザインだ。日本の過去が凝縮されている。

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1階のカベが「ガウディを参考にしました」

建物より私の気持ちを引いたのは、庭の植樹。聞けば章男さんが社長就任直後に巻き込まれたトラブルに起因しているのだという。桜の幼木に「トヨタ再出発の日 記念」と書かれたプレートがある。ちなみに2010年の2月24日は章男さんが暴走トラブルの件でアメリカの公聴会に呼ばれた日だ。

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1年後に植樹したという

厳しい表現になるが、公聴会は生まれてから決定的な困難を体験していなかったお坊ちゃんにとって大きなプレッシャーだったことだろう。そもそも章男さんは2009年6月の社長就任後も「重さ」や「責任」を実感していなかったように思う。最初のトラブルが問題になった際も、ほとんど動かなかった。

しかしトヨタバッシングは収まるどころかますます拡大。ついに逃げ切れず公聴会に引っ張り出されてしまう。章男さん自身「ものすごい不安と孤独感を味わった」とコメントしている。問題発生以後、トヨタ社内でも腫れ物に触るような対応をされたことだろう。徐々に追い詰められていく。かといって逃げられない。

不安の頂点のままアメリカに到着した時に待っていたのが、アメリカのトヨタで働く人達の対応だった。激励されている当時の映像を今でも昨日のことのように思い出す。私もプリウスのブレーキ抜けをクローズアップさせることになり、章男さんの日本に於ける記者会見デビューの引き金を引いたため気になっていたのだ。

アメリカで受けた暖かい励ましは章男さんの心を強く打ったそうな。記者会見で涙を見せたのは、アメリカで心強い仲間の存在を再確認し、感動したからだという。その後の頑張りについちゃ説明するまでも無い。逃げなくなった。本当に2010年2月24日を持って生まれ変わったんだと思う。

章男さんは桜が大好きだという。だから表向き「トヨタ再出発の日」という名前の「本当は自分が生まれ変わった日」に桜を植えた。初めて知ったのだけれど、クラウンのピンクは桜の色なのだという。なるほど、と思った。かつてなく寒い冬だったけれど、今年は桜の開花が早いという。桜は本当に美しい。

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自動車産業も春を迎えたい

残念ながら章男さんのイメージよりトヨタの動きは遅いような気がする。自動ブレーキやスモールオーバーラップの対応遅れや、出た途端に負けたオーリス等々。この1年で突如トヨタの動きが鈍く、鈍感になった。そんなことから私も厳しいことばかり書いてます。考えてみれば余計なお世話ですね。

昨今の業績が良いのは2010年以前に仕込んだトヨタの戦略の成功を意味する。章男さんの桜が咲くのは来春か。頑張って欲しいと思う。

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3 Responses to “モリゾウさん”

  1. Uka より:

    出る杭は打たれる。
    米国では一位でなく二位以下で長くあり続けることのほうが賢明な経営。
    車の安全性に関する規制もTTPでどうなるかわかりませんので、今は静観するほうが賢明か?

  2. nogawan より:

    これまでのトヨタの社長は"豊田家の大番頭"で、自ら具体的な指示を出してた。そのため車に夢の成分が薄かった。章男社長になって夢を語るようになった。しかし、社長の夢を翻訳して具体的な指示に変換する大番頭さんが不在で、夢が空言になってる?…と解釈しました。

  3. Rotarycoupe より:

    歳が近くて自分より才能のある部下を可愛いと思える上司は少ない。役職の差があるうちは正当な点数を付けても、部下の役職が自分に近くなってくると厳しい点数を付け始める。そして案外、凡庸な部下のほうが長い目で見れば出世していたりする。結果として、組織は代替わりを繰り返すたびに小者が増えていく。
    本流から外されていた奥田碩さんが章一郎さんに見出されてなかったら、今のトヨタはどうなっていたんだろう。
    モリゾウさん、応援しています。

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