マツダのエンジン屋さんはクルマ好きぢゃない?(5日)

どこのメーカーにも優秀なエンジニアがいる。マツダの場合、ディーゼルエンジンの担当としてメディア向け試乗会に来るような人は間違いなく優秀です。しかし! どこのメーカーであっても、優秀なエンジニアは二つのタイプに分かれる。クルマ好きと、クルマにゃ興味ないけれど「こういうスペックが欲しい」というリクエストにキッチリ答える能力のある人でございます。

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本日、デミオ&CX-3の年次改良試乗会にいたエンジン担当のエンジニアは後者の代表的存在でありました。何度か書いてきている通りCX-3の課題って絶対的なパワーが足りないこと。1300kgのボディに105馬力じゃ登り坂の加速でいかんともしがたい。なんたって1500ccで105馬力は世界基準からすれば大いに物足りない。今やリッター85馬力が平均値ですから。

と問うてみた。すると「85馬力ですか!」と驚いている。実際、ディーゼルの本場であるヨーロッパの流れは「高出力化」だ。高い排気ガス処理装置のコストを捻出するため、大出力ガソリンエンジンと同等の出力が要求されてます。2リッターディーゼルで3,5リッター級V6エンジンと同じ性能を出せれば、高い値段を付けられるという寸法。とにかく高出力化だ。

エンジニアと話をしてて「なるほど」と思った。マツダの2,2リッターはリッターあたり80馬力出ているのだけど、そいつが「パワフル」という認識らしい。もっといえば、レスポンスの改善に代表される「速さ感」を出せば絶対的な出力は気にしなくていいと言われているそうな。クルマ好きなら絶対的な出力の追求こそ「夢」であり「カッコ良さ」であり自動車の「華」である。

クルマ好きじゃない上司に「おいおい! ライバルが凄い馬力出してるから負けたくないのは解る。でもドライバビリティ悪くしちゃダメだろ!」くらいのことを言われるのがクルマ好きのエンジニアです。CX-3のディーゼル、せめて世界標準の「普通」である130馬力くらい欲しい。いや、リッター100馬力の150馬力ですね。そしたら私だって欲しくなります。

おそらくマツダのエンジン屋さんは「クルマ好きじゃ無い人達」が主流なんだと思う。だからこそこそスポーツエンジンが見事に一つも無し。華のあるエンジンだって見事に無し! この点さえ変わってくれば、一段と魅力のある、輝くようなクルマが出てくると思います。4WD技術も同じ。もう少し楽しさを追求する気持ち出てくれば、すぐ世界イチの4WD性能になると思う。

ちなみに今回行われた年次改良、同業者の皆さん例によって上手に褒めるかもしれません。客観的に評価すると、確かに中回転域のアクセルレスポンスは良くなったものの、絶対的なパワー不足変わず。乗り心地を改善したというCX-3ながら「辛抱できない」レベルから「乗り心地悪い」レベルになった程度。試乗会やれば必ず褒めた記事出る、という作戦勝ちです。

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