日産副会長の志賀さん、日本の明日を開発中とな(16日)
数日前のこと。取材先で日産副会長の志賀さんのお見かけしたので(最近は産業革新機構の会長としても話題にあがります)。御挨拶に行くと「次の約束がキャンセルになったので」と早目の晩ご飯に誘って頂いた。素晴らしい機会を得ました。先日、このWebで志賀さんのことについて少し書いたけれど、お聞きしたいことがいくつかあったのでございます。
ちなみに産業革新機構、経営不振のため破綻の可能性出てきたシャープの買収劇で、台湾のホンハイと争ったことでイッキに有名となった。日本の報道を見ると、ホンハイはシャープを高く評価する一方、産業革新機構が安く買おうとしたような雰囲気。先日はカルソニックカンセイの株を日産が手放した件も産業革新機構絡み。あまり良いイメージじゃない。
回りから見てると、どんなことをやりたいのか理解しづらいのだ。この点を聞いてみたら「実はシャープやルネサスに代表される大きな企業の買収や支援は全体の仕事の30%くらいなんです。70%は銀行や企業だと投資をためらうようなベンチャーを、未来の日本の産業のために育てようとしています」。さらに聞くと「大企業は立て直せる確率が高いんです」。
大企業を立て直して得た収益で(少なくない金額らしい)、次世代の技術持つベンチャーを育てようというのが狙いとのこと。どんなベンチャーなのか聞いてみたら「特許や模倣されることもあるため、まだ公表できない技術が多いんです。例えば地球の周り超高速で飛んでいる宇宙ゴミを片っ端から始末するような技術を提案してきた組織があり、そこに投資しました」。
宇宙ゴミ、宇宙服や太陽光パネルなどを破ってしまう可能性のある1cm以上のモノだけで50万個以上ある。これを落とさないと、宇宙ロケットを飛ばすことも難しくなると言われてます。産業革新機構が出資した技術は、トリモチのような物質でくっつき、速度を落として大気圏に突入させ燃え尽きるという。その他、将来の日本を背負って立つような”赤ちゃん”がたくさんいるらしい。
もう一つは「日本の産業を海外に取られないようにしたいです」。このあたり、日産の第一線でゴーンさんやルノーとの折衝をしてきた経験もあるのだろう。前述のルネサス(IT産業の基本となる半導体を作る企業)を自動車メーカーが助けたのは、日本が装置産業にならなために絶対必要だったからだ。なるほど産業革新機構のWebに出てる志賀さんの挨拶は含蓄に富む。
「今日のグローバル経済社会において、モノづくりとインターネットの融合による新たな産業革命の潮流が起きています。今、日本の産業界が大胆な変革に取り組まなければ、我が国の産業競争力は低下し、数年後にライバルに大きな差をつけられてしまいます。企業の中に眠る技術や人材を組織の壁から解き放ち、結び付け、組み合せるオープンイノベーションが我が国産業の変革には不可欠です」。
話を聞いていて「なるほど!」と思うこと多い。利益が出ると解っている商品に投資する企業は多いけれど、アイデアに投資する企業となれば少ない。産業革新機構は優れたアイデア持つ人や組織に対し、予算と技術を紹介しているのだった。志賀さん曰く「失敗も覚悟の上です」。ベンチャーへの投資は買収や支援で得た利益を使うという点が興味深かった。
日本の将来は少し明るくなるかな、と感じました~。
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