松下宏の食べ歩き・東京神田/200年に近い老舗専門店「いせ源」であんこう鍋のコース

先日BARAダイニングであん肝ラーメンのメニューを見たとき、思い出したのが青木先輩推奨のあんこう鍋専門店「いせ源」でした。創業は天保元年とのことで、200年に近い歴史を持つ店であり、都内では唯一のあんこう専門店でもあります。神田須田町にある店舗は昭和5年に建てられ、戦災で焼けなかったこともあって東京都の歴史的建造物に選定されているとのことです。
 
 
夜の写真なので分かりにくいですが、木造の3階建てです。店頭のショーウインドー(?)に本物のあんこうが鎮座していました。店に入り、下足番に靴を預けて木製の番号札を受け取ると、2階へどうぞと案内されました。年をとると靴を脱いだり、階段を上ったりするのが億劫になってきますが仕方ありません。
 
 
また畳の上に椅子を置いた席もありましたが、そちらはいっぱいで座布団に座る席に案内されました。3階へと言われなかったので良しとしましょう。あんこう鍋や単品のあんこう料理もいろいろ用意されていますが、攻め方が良く分からないのであんこう鍋を中心にいくつかの料理がセットになったコース5種類のうち、安いほうから2番目の源コースを選びました。
 
 
前菜は子持ち昆布、蟹の煮凝り風、薩摩芋でした。次いで提供されたのがあんこうの卵巣を材料にした煮凝りと、ポン酢でいただくあん肝です。いずれも少量だったのでもっと食べたいなと思わせましたが、まあそれくらいがちょうど良いところでしょう。あんこうの煮凝りを食べたのは恐らく初めてです。
 
 
メインのあんこう鍋はテーブルの上に置かれたコンロでぐつぐつと煮込まれます。仲居さんがコンロに火をつけて『10分ほどお待ちください』というのでじっくりと待ちました。鍋にはあんこうのいろいろな部位のほか、野菜や椎茸、豆腐、白滝などが入っています。割り下はやや甘めの味でした。
 
 
鍋を食べ進めていくと唐揚げと一緒にとも和えが出てきました。とも和えというのは、煮込んだあんこうの身を肝と調理味噌で和えた料理とのことです。とも和えも初めて食べるものでした。また鍋も、あんこうの入った鍋は食べた記憶がありますが、純粋なあんこう鍋は初めてだったかも知れません。あんこうの唐揚げやあん肝は何度も食べています。
 
 
締めはおじやです。ご飯を少なめにしてもらいました。ご飯を入れたところで写真を撮ったのですが、その後で玉子とネギを入れたところを撮り忘れました。やや甘めの割り下の味がうまい具合に働いて、とてもおいしいおじやでした。最後は羊羹とイチゴ、キイウイのデザートでした。
 
 
安いほうから2番目といっても、1万円+サービス料1000円(いずれも税込み)で1万1000円ですからなかなか容易ではありません。攻め方としては、あんこう鍋を単品で注文し、ほかに好きな料理を何点か選ぶのも良いかも知れません。私は初めて食べる料理もあって好奇心を十分に満足させることができ、青木先輩から与えられた課題をこなすこともできました。
 
 
「いせ源」の一軒置いた隣には、「ぼたん」という鳥すき専門の老舗があります。こちらも青木先輩から課題とされていますので、そのうちに来たいと思います。

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One Response to “松下宏の食べ歩き・東京神田/200年に近い老舗専門店「いせ源」であんこう鍋のコース”

  1. z151 サンバー愛好者 より:

    神田須田町辺りの古い町並みや名店の数々は私も訪れたことがあります。
    ちょうどいせ源さんの道向こう(カメラの位置だと右に90度振ると見える建物)は私が日本一のアンコと思っている甘味処の竹むらさんがあり、(吉祥寺の小笹さんと同じくらい美味しい)この写真の奥に映っている建物が鳥すき(私の記憶では水炊き)のぼたんさん、徒歩2分程で神田藪そばさん(大火事から再建されました)、ちらし寿司のお店(どことは言わないですが)も程近かったかと。
    夜に握ってもらうと1万円くらいするお寿司屋さんだったはず。
    洋食かき揚げの松栄亭さんもあります。
    時代小説家の池波正太郎の本が好きで、「散歩のときなにか食べたくなって」に影響されてブラブラしました。(笑)
    錦糸町(森下)のさくら鍋みの家さんも江戸情緒を味わえて非常にいいです。
    一緒に卵焼きを頼むのも忘れずに。

    普段どうしても格安の食べ物ばかり探してしまいますが、たまにはこういうプロの料理人が作ったものを食べると作った人や女将さんの人生まで食したように感じて奥行きが出ます。

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