松下宏の食べ歩き/岡谷市の「観光荘」でオリジナルのシルクうなぎに大満足

現役時代の同業者だった岡島裕二さんを誘って岡谷市へ。「観光荘」といううなぎ屋を目指しました。この店、世にも稀なる“シルクうなぎ”をラインナップしています。養鰻場と契約して蚕のさなぎを餌にブレンドして育てたうなぎとのことで、シルクうなぎの名が付けられています。青木英夫先輩からこの情報を得て、絶対に食べてみたいと思い、青木さんも誘ったのですが、生憎この日は家庭の事情で日程が合わないとのことで、岡島さんと二人で向かいました。
 
 
高速を下りて岡谷市内を走っていると、市内には何軒ものうなぎ屋さんがあり、“うなぎの町 岡谷”と書かれた看板も見かけました。岡谷市はうなぎの消費量が多いことで知られているそうです。岡谷は天竜川のかなり上流に位置しますが、この位置までうなぎが遡上してくるというのもやや驚きです。
 
「観光荘」の歴史は70年とのことですので、うなぎ屋さんとしては特に長いわけではありませんが、以前は天竜川に設けた簗でうなぎを獲っていて、やなのうなぎを標榜しています。さすがに今は簗では獲れないので養殖のうなぎを仕入れているとのことです。その仕入れ先の養鰻場のひとつと契約してシルクうなぎを開発したのだそうです。
 
 
天竜川沿いにある店舗はかなり立派な構えです。椅子席と座敷席があるそうで、椅子席に座ったので座敷席の状況はわかりませんが、椅子席だけでも相当な席数がありました。
 
シルクうなぎを店内で食べられるのは、シルクうなぎ重というメニューだけです。吸い物、漬け物、キノコが付いています。ほかにしそ味のサラダを注文して二人でシェアし、肝焼きは二人がそれぞれ注文しました。
 
割とすぐに出てきたサラダは2~3人用なのでけっこうなボリュームがありましたが、写真を撮ったのは小分けした後でした。しそ味で普通のおいしさです。肝焼きも10分ほどで提供されたので比較的早く出てきましたが、びっくりしたのはその大きさです。
 
 
写真ではサイズ感が分かりにくいかも知れませんが、こんなに大きな肝は見たことも食べたこともありません。良い具合に焼かれてやや甘めのタレで味付けされた肝焼きは、食べ応えも十分で大満足です。山椒のほかに八幡屋磯五郎の七味唐辛子も提供されたので、少しの部分は唐辛子を使って食べました。これもありかなという感じです。
 
シルクうな重は、蓋にシルクうなぎと明記した重箱で提供されました。蓋を開けるとまたびっくりするくらいに肉厚のうなぎがいっばいに敷きつめられています。白いご飯はほんの少し見える程度です。焦げ目が目立つ焼き方は、地方のうなぎ屋さんという印象です。この店のうなぎは、関東風に背開きにして串を打ち、蒸さずに焼く関西風の地焼きとのことです。
 
肉厚でしっかりしたうなぎのため、箸で切り分けるのが大変でした。蒸したうなぎの柔らかさではなく、しっかりした歯応えのある肉厚うなぎも大満足です。良く乗った脂の質感の高いおいしさはシルクうなぎならではなのでしょう。明らかに食べたことのないうなぎでした。おいしさだけでなく、初めて食べたシルクうなぎに好奇心は十分に満たされました。
 
 
タレの味は甘めですが、追いダレの小瓶も提供されたので、少しだけ足してみました。同時に、わさびとねぎをつけ込んだ特製のわさびのタレも提供されたので試したら、これがまた何ともいえないおしいさで、かなりの部分をこのタレを使って食べました。わさびによるすっきり感が何ともいえません。
 
シルクうなぎ重が4680円×2、肝焼きが1380円×2、しそ味のサラダが600円で合計1万2720円でした。片道200㎞を超える距離を走ってわざわざ食べに行くだけの値打ちのあるうなぎだったと思います。

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