円高?
190億円の赤字予想を出した富士重工の数字を見ると、
TVや新聞が盛んに伝えるような円高による損益はあまり大きくない。富士重工は日本の自動車メーカーの中じゃ最も輸出比率が大(日本から逃げ出していない、ということです)。海外の工場、アメリカだけですから。したがって為替レートによるダメージは本来なら大きいハズ。
なのに決算予想では為替分は大きくない。なぜか? 大幅な円高においても為替変化は2円しかないからだ。資料によれば昨年10月31日に公表した業績予想時の想定レートは1ドル=103円。
ちなみに31日のドルは98円だった。一方、1月16日の最新業績予想によれば1ドル=101円の想定。16日の実勢レート89円だ。これ、以前も書いた通り、先物の予約をしているからだ。富士重工は円高が見えた10月下旬に、相当の金額を予約したんだと思う。
企業はメディアの皆さん考えているほどオタンコじゃない。もちろん他の自動車メーカーも同じこと。したがって今回の赤字決算の主因、為替じゃないです(在庫でなく為替だという
指摘をたくさん頂いてますけど……)。ただ来年まで現在のレベルの円高が続くと、本格的に厳しくなってくる。日本から逃げ出す製造業もまたぞろ出てくるこ
とだろう。富士重工も海外生産を決断しなくちゃならないか?
今回の不況で日本にとって最悪のシナリオは、膨大な黒字をもたらしてくれている優良企業が海外に逃げ出すことだ。そのあたりを企業叩きをしてる政府もメディアも真剣に考えた方がいい。社会主義もいいけれど、結末は貧困です。それを覚悟出来るなら(選挙で問うべきでしょう)いいと思いますけど。
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クルマに限らず消費を上げるにはデパートや輸入品を扱う業態が円高差益還元価格の導入を大々的に謳って、販売意欲を旺盛にさせて欲しいです。
なぜ今回はやらないのか不思議だ。