トヨタ2010年も赤字?
驚いたことにトヨタは2009年に続き2010年3月期(2009年4月〜)も赤字になるという見込みを発表した。すなわち今より一段と厳しい状況
が少なくとも秋まで続くと予想しているワケ。自動車メーカーの中じゃ最も積極的に戦略変更をしているのになぜか? おそらくGMの破綻による大きな社会損失を想定しているんだと思う(GMだけじゃない可能性も大)。
皆さんGMの破綻はGMとその関連会社が困るだけだと考えていることだろう。しかし巨大な製造業の破綻は、一時的に社会の経済を”停電”のような状況にさせる。なんせアメリカ人の貯蓄率たるや先進国の中
じゃ圧倒的に低い。江戸っ子の如く「宵越しのカネは持たねぇ」くらいのイキオイ。個人破綻の件数だって凄いことだろう。こうなるとお金を取りっぱぐれるのがリース車。
御存知の通りアメリカ人の多くはクルマをリースで乗る。ローンと同じ感覚で毎月使用料金を支払っていくシステムだ。破綻してしまうと支払いは滞る。破綻した人が少なければ乗っているクルマを引き上げて中古車市場で売る等、様々な手段も使えるけれど、対象となる台数多ければどうしようもありません。100歩譲って引き上げられたところで、そいつを換金することは極めて難しい。
社内留保14兆円ともいわれるトヨタでさえ、10兆円程度の「売掛金」(リース料がキチンと入ってくれば全く問題無し)を持っているらしい。こうなるとトヨ
タでさえ余裕は無くなってきてしまう。ただトヨタについちゃ今から最悪のケースを視野に入れている。万全の構えをしておこうということです。ハイブリッドで攻めていく、という明るいニュースだってあるから頑張れるに違いない。
只でさえ余裕のないメーカーにとっちゃGMの破綻に起因するリース料の未収は決定的。ことによっちゃ日本の自動車メーカーにも暫定的に公的な資金を投入しなければならない状況になるかも。
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企業の収益力を判断するのには営業利益です。トヨタの連結営業利益は08年上期は6千億、通期で4.5千億円の赤字、10-3期は1兆円の赤字になります。10-3期を年間に換算すると2兆円の赤字になります。
絶頂期の07年度でも2兆3千億円。その時は120円の円安、利幅の大きい大型車がバンバン売れた時の数字です。
今期は、前期の在庫調整や助成金が奏功し、生産量も販売数量も昨年後期よりは回復するでしょうが、大型車の販売回復や120円の円安は望めないので、赤字脱却までの収益力回復は不可能。黒字化は良くて10年後期になるのでしょうか?それに国沢さんがおっしゃる売掛金の貸倒発生や生産設備の廃棄などのリストラ費用が膨らめば、純利益の黒字化は11年以降になるかもしれません。
そのような厳しい情勢なので、経営権を豊田一族に戻し、創業時からの原点に戻ることを決断したと思います。まさに背水の陣をひいたのです。
トヨタはハイブリッドという技術を持っています。この苦境に打つ手がある・・将来は明るいと思います。打ちたくても打てないメーカーは苦しいですね。