EVに踊らされるな(10月22日)

日本のメディアは感化されやすいため、モーターショーの報道を見てもEVが主役となっている。確かに三菱自動車や日産、スバルだけでなく、トヨタやホンダもEVを出展してます。もはや次世代車はEVになると思っているのだろう。かつて「燃料電池車バンザイ!」をやった反省を全くしていないらしい。

さて。冷静になってチェックすると、マツダとダイハツ、スズキはEVを出展しておらず。この3社、EVを作ろうとすれば簡単。かつてのモーターショーに出展しているし、EVを販売していたことだってあるほど。なんでEVを出さないのだろうか? こらもう簡単。EVはアメリカで必要だからだ。

今年の6月にカリフォルニア州のZEV規制が若干変更され、州内で年間6万台以上販売するメーカーは、2011年までに少量のEV(80km以上の走行距離が必要)を販売しなければならなくなったのである。ちなみに少量とは、トヨタやホンダの販売規模で1200〜1500台というイメージ。

マツダとダイハツ、スズキはカリフォルニア州で年間6万台以上販売していないため、ZEV規制によればEVを必要が無くてもOKなのだ。逆に考えれば、この3社は「アメリカ以外じゃEV作っても儲からない。だから当面はEVブームにゃ乗らないもんね!」と判断しているワケ。賢い選択だと思う。

それならEVに注力している三菱自動車や日産は間違っているのか? これまた「そうでもありません」なのが面白いところ。この2社、バッテリーを安価に調達出来る環境を作り上げた。バッテリーの調達価格を安くできたなら、EVも面白いのだ。加えてプラグインハイブリッドだって簡単に作れる。

何度も書いてきた通り、EVはバッテリーが全てと言ってよい。そのバッテリー、2015年くらいまで完全に売り手市場。もし2011年にバッテリーを調達しようとする。その場合、日産が5万円だとすれば三菱自動車6万円。マツダが調達すると10万円みたいなイメージ。5万円ならEVも面白いけど、10万円だと成立しないということです。

16kWhのバッテリー積むと、5万円なら80万円。10万円だと160万円。3万円になれば、ガソリン車と対等に戦える。マツダやダイハツ、スズキはバッテリーが供給過多になる2015年までにEVを出せばいい。

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5 Responses to “EVに踊らされるな(10月22日)”

  1. Ito より:

    燃料電池ブームはメディアのせいというよりは、ベンツがバラードの株を取得したことを大きく見すぎたのがマズかったのでしょう。当時はベンツに習え状態でしたから、仕方なかったのかもしれません。
    EVは電池が2倍の性能になってしまえばもはや価格以外に問題なしと思われますが、現実的には不可能ですから、やはり効率が議論されるべきでしょう。
    同じ電池容量でも作り方で2倍近く航続距離に差が出ます。
    プリウスサイズの車を1015モード電費で13km/kWh以上走らせられるようにしなくては(物理的には十分可能です)EVの時代はやってこないと思います。
    まだまだ自動車メーカーは電気のテクノロジーの蓄積が足りていない気がします。

  2. ゴン より:

    HVはだいぶ完成された感がありますがEVはまだまだ越えなければいけないハードルがいくつかあるように感じます。
    後、最低でも5年くらいはHVの方が有利な気がします。
    変革の時代を見れる事は幸せですね。

  3. HT より:

    日本の国民はメディアの影響を強く受けるため、国民が感化されて「EVじゃないと駄目だ!あの会社はまだEVを作っていないのか。」となっていそうで怖いです。
    以前私はエアコンの設定温度を盲目的に28度にしていましたが、その28度という数字も法などの上限であるだけで、どうやら根拠が無いらしいという情報をネットで見て止めました。
    考えてみればエアコンのセンサーの個体差もあるでしょうし、エアコンの設定温度=人間がいる場所の温度では無い場合もあるからです。それに湿度との関係もありますし。今では極端に低い設定温度でなければ別に28度にこだわる必要もないのではと思っています。とある大学では強制的にエアコンの設定温度を28度にしてまわる委員会が存在すると聞いたことがありますが、そういうエコ狩り?こそが本当に恐ろしい物だなと思いました。

  4. okuda より:

    ほぼ文系のライターが占める自動車メディア界で、次世代動力源(エンジン)を正しく認識している国沢さんに敬意を表します。私は電池の専門家ではなく、機械屋のはしくれです。が、基礎として電池の研究もやりました。確かにEVはまだまだ先の話し。文系ライターも電池技術の基礎知識を専門家から勉強してから、記事を書いてほしい。大衆をミスリードすれば、今後の自動車の立ち位置を危うくするおそれもあるのだか。

  5. 吸気圧縮膨張排気 より:

    いや全く、電気を利用する上においてネックになるのがバッテリーですよね…バッテリーの性能が上がればこれまたHVにも違った将来が見えてくるかも。
    電気を効率良く充電して、使いたい時にロス無く使う事が出来れば、車に限らず何でも(船とか)電化出来ちゃいそうです。
    自然エネルギーを利用した発電にも期待していますが、発電方法がバラバラで電圧電流もバラバラですから、一旦バッテリーに蓄めてしまえば効率良く使えそうです。
    究極は落雷の電圧を一気に充電出来れば…

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