製造業と金融業
為替介入の件をTOPで書いたら「自動車評論家がナニ言ってる!」みたいなコメントをいくつか頂きました。ありがとう。やはりアタマ使ってお金を右から左に動かして食べていけるヒトと、ヒタイに汗かいてウンウンとウナりながら物作りしているヒトと考え方は全く違う。こらもう価値観からして違う。
お金を動かすだけで稼げるヒトは、対象が何だってOK。どこの国にいたって仕事できる。リゾート地からの電話一本で巨額の取引も可能。けれど製造業はそうじゃない。膨大な施設&裾野を必要とします。そのかわり雇用能力だって大きい。だからこそ古今東西、製造業は国家にとって財産なのだ。
日本政府は基本的に製造業を守る努力をしてこなかった。結果、自動車メーカーは続々と海外に出て行ってしまい、自動車関連の雇用は減る一方。今回の円高を放置しておけば、さらに海外移転を検討する企業が増えることだろう。実際、直近の2ヶ月くらいで海外への投資は増えてます。
円高だと海外に工場造るのだって有利。製造業も長い時間を掛ければ、日本に軸足を置かないで済む。ただ一度海外に出て行ってしまった工場を日本に戻すのは
難しい。なのに「1ドル70円台で潰れる企業はいらない」というコメントもあった。モノ造りをしてる人からすれば情けなくてナミダが出る。
70円台に耐えられる製造業とは、日本に工場を持たないことを意味する。イギリスのようにお金を動かす仕事で莫大な利益を上げられる国ならそれも良い。さ
れど日本に一流の金融業など無い。世界トップクラスの製造業は多々あるも、銀行や証券を見ると厳しいです。金融じゃ喰っていけぬ。
しかも利益あがった場合、製造業は多くの人に分配されるシステムになってます。されど金融業は個人の給料がど〜んと上がるのみ。私は日本のメディアなので、最終的に個人より日本の国益を考えたい。工場の海外転出は雇用の減少に直結する。これこそ最も危惧すべき問題だと認識している。
我が国はやがて大量の高齢者を抱えなければならない。高齢者1人を最低1人で介護しなければならないとする(認知症などは1人じゃ無理。日々実感している)。ここで工場が続々と海外に出て行ってしまうような事態になれば、10年後は想像するのも恐ろしいこと。さりとて新しい産業は無い。
今回の為替介入に不満を持っている人は、基本的に金融業か、高学歴ながら自分で納得の出来る仕事に就けていない人なんだろう。製造業は大喜びしてますから。100歩譲って為替介入が失敗したっていい。一緒に戦ってくれることの方が大事なのだ。今のところ成功してますね。
唯一の心配は以前から何度も書いている通り「買った外貨を換金できない種類の債券にしてないでしょうね?」。債券は虚業でしか通用しない。お金じゃないです。製造業で喰っていく国なんだから「虚」金でなく、リアルなお金を動かすべきだ。極端な話、金(純金ですね)を大量に買ったっていい。
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経済の実態を反映できない今のマネー市場のしくみは、明らかに限界に来ていると思います。
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お飾りの道路やハコ物を作る金があるなら、たとえばシャープの亀山モデルの液晶テレビのように、国産率の高い製品には補助金をつけて安く買えるようにするとかしても良いと思います。国内産業の保護化とか言われるかな?
でも日本の工場で作るスイフトとタイ製のマーチのどちらが日本に貢献しているかといったら、前者ですよね。マーチは国内でお金が回らないもの。
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民主党法案、軽自動車の税金を四倍増にするとか?
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グリーン」を観ているような気分にさせられます。 ちなみにソイレント・・・イエローとかレッドと呼称される未来の配給食品。その原材料は・・悲惨な内容であります。
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一部の集団が利益誘導に駆られ、反省も補完からも責任逃れしている国家が、世界経済で2〜3s位を争う?。自国の印刷した現金の詰まった棺桶にすぎませんけれど。
在日外国人です。毎回欠かさずに読ませていただいており、ありがとうございます。国沢さんと同じように、私も、ものづくりこそ日本しかない強みと思ってきたが、今日本がおかれている状況は、円高からやられた部分と、円安さえなれば救われるとは限らないところも少なくないと思います。ものが安ければよいことがないように、技術さえよければ商売ができるとは限りません。次の、「ものづくりの幻想から脱却しなければ日本は復活しない」という記事を読んでますますそう思いました。
http://agora-web.jp/archives/1071783.html
国沢さんは自動車評論家ですので、自動車産業の発展の為になると思うのであれば、それが正しい考えだと思います。為替介入がどうとかは農業で自営業の私には良く分からない分野ですが、望まれるのに何もしないよりはマシだと思います。マスコミが賛否両論なので何が正しいかなんて結果からしか判断できませんしね。
極論という金(純金)の大量に買うのって面白いですね。紙切れよりなんぼかましですし世界的に圧倒的に大量に保有したなら日本は再び黄金の国ジパングと呼ばれるかもしれません(笑)電子部品には欠かせませんからありだと思います。それに最近日本の金メダルの獲得も少ないので、違う意味での金獲得に国民は大いに盛り上がる(わけない)ですね。
私自身製造業側にいる人間ですが、特に下記の部分、全くもってその通りです。実態をここまで分かりやすく解説した文章は希有です。よくぞ言ってくれました。
企業城下町と言われるところで少しでも暮らしてみれば、大企業の工場がどれだけの雇用と経済効果をもたらすか嫌でも分かるのですが、マスコミ記者も政治家もそういう経験はしないですからね。そこらの赤提灯にふらっと入ればすぐ分かるんだけどなあ。従業員1000人の最終組立て工場一つでその数十倍の人間が暮らしてますからね。
工場が日本からなくなることに皮膚感覚として戦慄する人がいないのがそもそもの問題ですね。机上で物事が完結すると思ってる人が多いのはうんざりです。
>日本政府は基本的に製造業を守る努力をしてこなかった
>金融じゃ喰っていけぬ。
>利益あがった場合、製造業は多くの人に分配される
>工場の海外転出は雇用の減少に直結する。これこそ最も危惧すべき問題
私も新卒で家電メーカに就職、海外への販売を担当し為替のむなしさに虚脱感をもっています。
開発製造部門が数年掛けて数%のコストダウンしても、為替が20円も30円も半年のうちに変動するので、まったく努力が報われません。
為替変動は、人間に虚しさ、もしくは努力しないで棚ぼたを堕落者に与える、悪だと思います。
国連などが中心になって、数年間は固定相場で国際取引を行える仕組みが、早急に必要だと思います。
先日の「為替介入」の日記でもおっしゃっていた通り、
アメリカで売っているBMWのM3やCR-Z、HANSは安すぎですね。
GDPはアメリカの方が上なのに、日本の方が物価が高い。こりゃおかしな
構造です。となると、アメリカドルの実力は逆算して1ドル100円以上あるのは
当然とも言えるような気がします。
ではなぜこんなに円高になっているのでしょうか? そこは
もうちょっと僕の勉強が必要みたいです。ありがとうございました。
確かにドル買って米国債を買うのはやめて欲しい。
日本が円を買ってドルを買う→ドルで米国債を買う
→円もドルも実弾はアメリカに渡る→日本に残るのは借金の証文書だけ。
こんな事態、絶対おかしいですからね。過去の過ちは繰り返してはならない。
どうせドルで買い物するなら、日本政府は原油や金属、希少材料を買って欲しいです。
日本の空洞化論は国沢殿の言うとおりです。僕は製造業側なので、
あんだけ国に嫌がらせをされたら、海外に行きたくなっちゃいます。
英語圏でも中国でも、どちらでも構わない。このままぬるま湯に使っていて、
気づいたらどうにもならなくなってしまったなんて事態はゴメンです。
私も国沢先生のお考えに賛成です。
特に、「債権にしてないでしょうね」のところ。
もう少し脱線しても良ければ、「ニューヨーク、マンハッタン島のメインストリートの広告権を買って、日の丸の小旗で埋め尽くす」というのはどうでしょう。「アメリカの景気が悪いので、日本の金持ちが道楽でアメリカにお金を蒔いてあげます」とニューヨークタイムズに広告出して、「評判が良ければ(良い訳ないけど)ワシントンやロサンゼルスでもやってみたい。ドルが安いから何でもできる」と趣味の悪い成金面をしてみれば、効き目があるのでは?(険悪になるかも)
まあ、正直なところドル紙幣ではなく、アメリカの資産(琴線に触れるようなやつ)を大人買いするのが一番効果的でしょうね。
いつも拝見させて、いただいてます。
各国が、自国の為に、勝手な事を、やってるだけです。
アメリカのサブプライムから、ヨーロッパの土地バブル、銀行の破綻、株式の大暴落、政府発表のイロイロなデータのいい加減な国、既に、世界一回りしてます。
多分、日本のバブルが弾けた十年前の状態が、アメリカ、ユーロ各国かもしれませんね?
韓国は通貨が、暴落したため、戦後の日本みたいに、輸出で儲けてます。韓国内は、バブルまっかさりですよ。
日本は、十年前に弾けたバブルの処理をしてたので、民間も含め多額の投資をしてません・・・中国は大丈夫かな?どちらにしろ、11月に横浜でAPECが開催され、各国の問題が議題となるでしょう。
個人的にも、為替介入を支持してます。
日本の円高は、各国の付けを払わされてる、ような事と思います。
車の記事にメルセデスベンツも正式に、トヨタ自動車のハイブリッド技術を、教えて貰う事を発表しましたね、電気自動車では、日産としてるのに、技術の無いことを宣伝してるみたいですね、創業者は泣いてるでしょう。
工場の日本脱出が与える影響については国沢さんや、投稿者の方が書かれているとおりだと思います。私も製造業勤務(自動車メーカーではない)なので、実感しています。また、車が好きなので自動車メーカー工場は特に日本にいてほしいです。これにより、輸出でガンガン儲かってほしいと思います。
ただ、これらは製造業勤務の個人的な考えであって、日本として見た場合に「どうなの?」と思います。特に自動車産業が輸出に貢献していることも理解していますし、日本の技術力が日本を支えていると思っています。
日本全体として見た場合、どうかと心配です。
日本は貿易立国と言われていますが、これは数十年前のことであって最近は違います。輸出と輸入は、ほぼ同額です。国際取引決済の主要はドルですが、日本円も決済通貨として使用されています。これら詳細は財務省から公表されています。
円高と言われていますが、あくまでも数値上の話であって、実質実効為替からすると円安といった意見も聞きます。本当のところは私にはわかりませんが・・・。
だらだらと書きましたが、まとめますと
・製造業勤務の個人的な立場としては為替介入には賛成する。
・ただ、日本として見た場合それでOK?。
・工場脱出による雇用の心配は当然だが、円安による国富低下のほうが心配。(円高のメリットがあるはず)
と、いうことです。と、いうことで極論ですが円高が日本を滅ぼすわけではない、という意見です。
みなさんのいろんな意見がありますが、日本のことを思うからこそ、いろんな意見があるのだと思います。
だからこそ、円安意見はダメ、円高はダメという意見を批判するのではなく、いろんな意見があればあるほど勉強になると思います。
この手の話はあまり興味が無く、ド素人ですが、この前レアアースの話をされてましたよね。
今回の円高がきっかけとなって日本で生産する車は全てハイブリッド、EVになると思います。
それは国沢さんや館内さんが望んでいる方向なのではないでしょうか?
元安が一番の問題です。これに引っ張られて日本、韓国が為替介入しているのです。
昔携わっていた経験では、金融というのは、ある種インチキ。まともな感覚ではなく自分達だけが儲かればいいという選民思想そのものなんです。アミーゴさん同様、市場経済はそろそろ限界にきてる気がします。
MCタイチさんの淘汰されても…には当然反対です。紹介されてる記事も、HF寄りの文面に聞こえます。でも、これは同感。郵貯の後は”日本国債”の誤りでしょうか。
「為替介入というのは国民のお金でアメリカ国債を買うことなのだが、郵貯のお金でアメリカ国債を買うなんてけしからんと騒いでいた人たちが、今度は為替介入しろと騒いでいる」
小泉政権化で”ミスター・ドル”こと溝口財務官の為替介入がどれほど異常だったか。115円〜120円で35兆円。膨大な含み損が生じています。日本国債の発行を借金と問題にするなら、ちゃんちゃらおかしな話です。
それなら、国沢さんの仰る通り金など資源買いをしてほしい。
ただ国沢さんと意見が分かれるのは、
日本は、韓国や中国ほど外需依存でないということ(尤も円高が良い訳ではありません)と、
今回の為替介入はテクニカル的に適切(もっと早くしていれば効果薄)で、マスコミや評論家は過小評価しすぎ(かなりの強者が指揮を取った?)、と私は思いますし、
阪神ファンさんが仰る通りで、実質実効為替レートでは超円高ではなく、95円戻りは難しい(89円or90円か)気がするという点です。
原因は、”円高”でなく”ドル安”つまりアメリカ次第ということと、マスコミは余り伝えませんが中国の大量日本円買いに、膨大な資金力あるHFなど投機家。
日本の対策では大きな流れは変えられない気がします。