LGのバッテリーは激安!

生産の遅れが健在化している日産に対し、シボレー・ボルトは順調な生産立ち上がりとなっている。すなわちボルトに搭載されているLGケム(LG化学)のリチウム電池に問題出ていない、ということ。当初、日本側はLGケムのバッテリーについて相当懐疑的だった。「不可能」と言い切った人も多いです。

自動車メーカーの電気自動車関係者の多くは「リチウム電池の生産管理は液晶TVなど問題にならないほど厳しい。日本以外で作ることなど出来ない」と考えていたようだ。実際、日本製リチウム電池で商業ペースに乗る価格を実現出来ているのは日産NECのみ。サンヨーの価格じゃ話にならない。

しかもLGケムのリチウム電池、予想をはるかに超える安さだったりする。シボレー・ボルトのローカルコンテンツを見ると、韓国が20%。ボルトの開発担当者に聞くと「それはバッテリーだけの価格ね。技術的に難しいセットアップは全てGMでやってるわ」。ちなみにボルトのCE、女性です。

それでもリチウム電池は上を見て55万円。ボルトに搭載されている電池容量が16kWhなので、1kWhあたり3万5千円ということになる。この価格、サンヨーの人なら「絶対ウソだ!」と言うだろう。いや、日本で最も安価な日産NEC製のバッテリーだってこんな価格を実現出来ているまい。

日産NEC、おそらく現時点で1kWhあたり6万円程度。今年末に何とか1kWhあたり4万円が見えてくる程度だろう。この価格だってサンヨーや東芝の関係者なら「ウソだろ」のレベル。というか1kWhあたり3万円を下回れば、エネルギー革命が起きるとまで言われるほど。なぜか?

i-MiEVで考えて欲しい。1kWhあたり3万円だと16kWhで48万円。電気自動車の生産コストは量産すれば間違いなくガソリン車より安価。エンジンもミッションも冷却系も不要になりますから。仮に電池まで含めガソリン車の30万円高で作れるとしよう。そしたら圧倒的な競争力を持つ。

なんせ1万km走る毎に9万円くらいのガソリン代が必要。同じ距離を電気自動車なら高い昼間電力使っても3万円。1万kmで6万円のランニングコスト差になる。30万円なら5万kmでペイしてしまう。だったらガソリンスタンドに行かなくても良い電気自動車の方が便利だと思わないだろうか?

繰り返す。LGケムのリチウム電池は破壊的な価格である。アメリカの自動車メーカーが雪崩を打って電気化に走るの、よ〜く理解できます。このままだと日産NECを除く日本勢は相当厳しい。参考までに書いておくとLGケムのリチウム電池も日産と同じラミネートタイプである。

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3 Responses to “LGのバッテリーは激安!”

  1. tm256 より:

    >日本で最も安価な日産NEC製のバッテリーだってこんな価格を実現出来ているまい。
    良い勝負ではないかと思います。しかし、AESCもLG Chemは要注意ですね。
    ちなみに、韓国のメーカーはリバースエンジニアリングを相当真剣にやってるそうです。当面、韓国のLG ChemとSB LiMotiveがAESCにとって最も手ごわい競合になりそうです。
    それにしても、この勢いだと2015年までに20円/Whなんて事態になるかもしれませんね。そうすると、いよいよEV/PHEVの普及が見えてくるのかもしれません。

  2. ゲイン より:

    ちょっと前の報道でリチウムイオン電池の世界シェアで1位サムスン 2位サンヨー 3位LG っての見ました。おそらくサンヨー+パナソニックならまだ1位じゃないかと思いますけど、LGがそんなに低価格でリチウムイオン電池を供給できるなら、量産化が進んで日本企業にとって更なる脅威になるんじゃないでしょうか。
    だいたいこの先、関税に関しては韓国に対して不利でしょうし(電池の関税は知りませんが)
    勿論、車は完成品としての評価だと思いますが、プリウス乗ってる私でもリチウムイオン電池にはターボだスーパーチャージャーみたいな魅力を感じてしまいます。ニッケル水素の信頼性なんて一部のコアなファンならともかく、こうもリチウムイオン、リチウムイオンと連呼されるとリチウムイオンが欲しくなります。

  3. ルーレ より:

    たしかルノーのEVもLG製でしたよね?
    分野は違うけれどiPhoneのディスプレイにLGのが採用された、と思ったら会社は赤字出したりしてるんですよね。iPhoneが売れて部品で一番恩恵を受けてるのは日本だという報道もあるし。
    LGが無理して安売りしてるってことないのかな?

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