電池競争すでに負けか?

環境の時代を迎え、ヨーロッパのメーカーは盛んに提携するようになった。例えばハイブリッド技術を見ても、GM開発の2モーターシステムをベンツとBMWでシェアしている。別個に開発するより、組んだ方がリーズナブルだと考えているからだ。ハイブリッドシステムなんか変速機と同じ「単なる部品」か? 

最も驚いたのはルノーとダイムラー(ベンツ)の提携内容。何と! 次期型スマートEVの開発にあたり、ルノーがモーター技術を。ダイムラーは電池技術を出すのだという。????? ダイムラーの電池って何か? というか、そもそもルノーはLGケムから大量の電池を買う契約を結んでいる。

調べてみるといろんな意味で驚いた。ルノーは三股掛けているのであります。だってルノーと言えばTOPはゴーンさん。当然日産NECの電池を使うのかとなれば、そうでも無い感じ。年内にも発売されるカングーの電気自動車のスペックを見ると電池容量22kWhでリーフの24kWhと別物らしい。

考えてみれば日産NEC電池の欧州工場は未だ立ち上がっていない。したがってこのカングーの電池、大量の契約を結んだというLGケム製だと考え方が妥当かと。じゃその電池をダイムラーと組むスマートにも搭載するのか、といえば、これまた違うということ。ダイムラーの電池ってなに?

LGケムと同じ韓国のSKイノベーション(旧SKエナジー)という企業である。SKイノベーションは元々国家100%出資の石油屋さんで、今でも政府と強いパイプを持っているらしい。韓国のリチウム電池開発、スポンサーは韓国政府。聞けばLGケムと同じような性能の電池だと考えていいという。

もはや電池開発においては韓国が一体になっている感じ。翻って我が国を見ると、依然として個人商店気分のままである。早い時期に誰かが(どこかが)仕切り、
チカラを合わせないと手遅れになってしまうだろう。もしホンダあたりが韓国のメーカーから電池を買うようになったお手遅れ決定です。

最低でも電池とヨーロッパ市場向けのディーゼルエンジンに関しては、日本の自動車メーカーも系列を越えた提携を行うべきだと考える。逆に「日本の部品じゃなくてもいいでしょ」というメーカーが出てきても不思議じゃない。三菱自動車なんか韓国の変速機を導入するべく検討しているらしいし。

このあたりは自動車メーカーというより、電機メーカーや部品メーカーの問題なのかもしれません。参考までに書いておくと、2年前まで世界中の自動車メーカーが日本製のリチウム電池に興味を示していた。けれどすでに韓国のメーカーに動き始めており、やがて誰もいなくなると予想しておきます。

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7 Responses to “電池競争すでに負けか?”

  1. ao より:

    今回の発言も自動車業界へは相変わらず狼少年の
    戯言にしか、ならないのでしょうか?
    すそ野が広いだけに影響力の大きい自動車業界。
    連合できる余力があるうちにいろんな布石を打って置いて
    欲しいものです。
    気付いたら提携の体力も残って無い、なんて茹でガエルの
    後悔みたいなことの無いように。

  2. さね より:

    商売だし競争で勝負の世界なんで15年後?5年後?最後までわかりませんが、うーん…話を聞くと負ける気がしますね。次の衆院の総選挙で政権交代したあたりで、政府も官僚もメーカーもこりゃヤバイなと気ずくんじゃないでしょうか? 時すでに遅し。なんてことになるんでしょきっと。 先生みたいなジャーナリズトの方はメーカーの方に取材のおり、意見交換とかしないんですか?しても聞かないし無視とかですか? 一昨年に流行った坂本竜馬じゃないですが、メーカーの内部から変革をまたないで、先生のように危機感いだいてるジャーナリズムの方々が集まり、メーカーや、電池産業に働きかける方が早いような気がします。トヨタが落日を迎えるはずなんで僕の中では。そうなる前に、メーカーに意見を言える人が日本の為に高い志しで革新的なメーカー電池産業連合を作るなんてことやってほしいです。

  3. 小林 英弘 より:

    欧米人の合理主義が製造業には合ってるみたいですね。ビジネスに徹する気質もありますからね。日本は何か新しい分野に一番乗り!はあんまりなくて二番煎じ三番煎じが多い様な気がします。

  4. ゲイン より:

    EVベンチャーのゼロスポーツが破産しなければならない状況では、オールジャパンで日本の自動車産業を盛り上げる事なんて出来ないんじゃないでしょうか?
    特に、日本郵便って酷くないですか。こんなビジネスチャンス潰すような事やってたら、日本から技術者いなくなっちゃいますよ。
    出来れば、国や大手企業は助け船出して欲しいものです。この問題ほっといたら、EV車の普及に悪影響及ぼすと思います。

  5. れいぶん より:

    たとえ1番乗りしても、あっちからこっちから足を引っ張られるのが日本ですから。
    太陽電池にしても日本が最も進んでいた時期にすら、著名人が「太陽電池の普及を補助しても、シャープと京セラが儲けるだけじゃないか」と言うほどでした。
    現在の補助制度を10年前に始めていたら、今のような状況にはなっていないと思います。
    全くの失政と、言論界のミスリードですね。
    ベンチャーを育てたり、画期的な取組をしているメーカーを世界的なメーカーに育てるという視点は無く、国内の既存メーカー間のバランス(順位?)を維持するというのが日本の政治です。
    マスメディアにも責任ある言論が無く、広告主に配慮して物を言う悪弊があるのでしょう。
    しかし電池に関しては大手電気メーカーがほとんど取り組んでいるほか、素材メーカーも頑張っているので期待しようと思っています。
    いまだにEVはダメだ、電池の開発が進む見込みは無いので将来性が無い、というような意見がネット上でも飛び交っていますが、諸外国はすでに走り出していることを知るべきですね。
    ジュネーブがいい機会になれば、と思います。

  6. れいぶん より:

    こういうのはありますね。
    うまく進んでくれると良いのですが。
    http://www.rising.saci.kyoto-u.ac.jp/intro/structure.html

  7. tonpochi より:

    政府がやっと思い腰を上げようとしているようです。
    10年前に9割以上あった日本勢の世界出荷シェアが5割を切ってしまったということですから一大事ですね。
    リチウムイオン電池の取扱規制緩和の参考URL:
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/110302/trd11030201450001-n1.htm
    規制仕分けにおけるリチウムイオン電池の取扱規制の参考URL:
    http://www.shiwake.go.jp/shiwake/detail/2011-03-06.html

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