三菱自動車の4WDは何で笑っちゃうほど楽しいのか?
日産に続き三菱自動車の雪道試乗会。場所も札幌から千歳に移動です。日産の4WDから三菱自動車の4WDに乗り換えると、根っこのブブンが全く違うことに改めて驚かされる。三菱自動車のような楽しい4WDを作ってるの、日本だとスバルだけです。やはりラリーで培った技術なんだと思う。物理的な違いを挙げるなら、フロントの駆動力よりリアの駆動力が大きいか小さいか、です。
普通のアプローチでFFベースの4WDを作ると、コストや重量や燃費を考え必要最小限の後輪伝達能力とする。デフやクラッチ容量ですね。一方、後輪の駆動力配分を大きくしないと終始アンダーステアのステアリング特性になってしまう。もちろん生活四駆ならそれで全く問題なし。むしろテール滑ったらドキドキする。したがって普通の4WDはアクセル踏むと基本的にアンダーなのだった。
けれどそれじゃ競技だとタイム出ない。アクセル開けてテールのコントロールできないと、攻めた走りなど不可能。そこでスバルと三菱自動車は後輪の駆動力配分を大きくしているのだった。そうすれば旋回中や、アクセルオンで若干テールアウトの姿勢になってくれる。もちろん今や電子制御式だからして、普通の走行モードだと後輪の駆動力配分を多くして滑らせることなどしない。
普通のモードで走っていれば、三菱自動車の4WDも前輪50%の後輪50%です。しかしロックモードを選ぶと後輪に60%の駆動力を持っていくようになっている。この状態で乗ると気持ちよ~く曲がろうとするのだった。タイムを稼ぐためだけでなく、乗っていて楽しい。考えて頂きたい。スキーやスノーボード、アンダーだったら楽しいだろうか? きっと、いや絶対楽しくないです。
遊びの精神をもたないのは「道具」。したがって三菱自動車とスバルを除く4WDって生活四駆です。マツダの4WDは素晴らしい性能を持つが、リアに大きな伝達力を与えないため道具の粋を出られない。三菱自動車の4WDって道具としても使えるが、その気になったら趣味の領域に入ってくる。いやいややっぱし三菱自動車の4WD、楽しいです。ハンドル握ってると攻めたくなっちゃう。
さて。マツダや日産が楽しい4WDを作ることは可能だろうか? 残念ながら難しいと思う。後輪を滑らせるため容量の大きい駆動システムを採用するなんてありえないからだ。三菱自動車によれば「日産とのアライアンスで4WDシステムを共通化しようという話が出ます。でも日産のシステムを使うと生活四駆しか作れないんです」。このあたり、どうするんだろうか? 興味深い。
一方、競技に出ない三菱自動車なのでクルマに楽しさを求めるユーザーは着実に減っている。解ってくれるお客さんがいるかどうか、ということだ。とってもとっても楽しいアウトランダーPHEVやエクリプスクロス、はたまたD5のハンドルを握りながら複雑な気持ちになりました。三菱自動車、今のまま競技嫌いを続けているとブランドイメージがドンドン薄くなっていくと思う。
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