MSCスプレンディダ 上海~横浜 乗船レポート(後編)
上海を出て38時間で長崎到着! 長崎に早くついても仕方ないので、この手のフネとしちゃ13~14ノット(25km/h程度)というノンビリしたペースでした。ヒコウキだと追い風のため1時間少々。ただ安定した横風。遣唐使などの帆船は気持ちよいアビームでイッキに東シナ海を乗り切ったかもしれません。最近の高い性能持つ40フィートくらいのヨットだとアビームで10ノット以上出る。
着いたのは何とグラバー邸の前(チャンポンで有名な四海楼の前、といった方が解り易い?)。ここからなら歩いてでも市電でもタクシーでも容易に移動可能。こんな便利な桟橋など他に無いと思う。長崎、寄港地として人気なのは納得です。目の前に『A』が停泊してました。ロシアの超大金持ちが持ってる妙なカタチのスーパーヨットです。日本中で目撃されている。ナニやってんでしょ?
ということで下船し、坂本龍馬の足跡を辿るべく目の前のグラバー邸へ。JAFの会員カード見せるだけで100円引き。けっこう使えます。とりあえず出してみて損無い。龍馬さん、ここには何度か訪れている。グラバーさんはどうやら龍馬のスポンサーのような役割をしていたようだ。フネや銃など様々な舶来品を良い条件で(買い手を紹介する等々)出していたと言われてます。
グラバー邸からスプレンディダを見る。坂本龍馬はこんな日本を想像していただろうか? まっこと素晴らしい国になりましたね。最近ちょっと怪しくなってきましたが。江戸末期、長崎は外国からの文化や技術、文明など入ってくる最前線であり、日本の優秀な頭脳が集まっていた。海援隊から九十九商会三菱を起こした岩崎さんも長崎じゃ龍馬の次に名が通っている。
高知城歴史博物館に展示されている坂本龍馬の有名な絵を描いた国沢新九郎(船中八策をまとめた夕顔丸の船将)は血縁関係ということもあり、妙に血が騒ぎます。続いて出島から丸山へ行く。このあたりも龍馬が闊歩したと言われている。同じ場所を歩いていたと思うと感慨深い。トヨタやホンダは迷ったなら創業者の精神を考えれば良いと思う。私は迷ったら坂本龍馬のマネをしたい。
ということで日々どうすりゃいいのか思案橋。へそ曲がりなので四海楼でなく長崎市民の人気だという『あっちゃん亭』を攻める。ちゃんぽん700円。これが大当たりで美味しかった~。東京にあったら一週間に一度は行く! お土産は丸山にある福砂屋本店(船大工町というカコ良い地名)のカステイラ。時間あれば釣りに行きたかった。長崎の釣り、楽しい記憶しかありません。
風速20.7mもの北風!
我らが中国ブネ、MSCスプレンディダは長崎を出ると東シナ海に出て、中国に大雪を降らした寒波から吹き出す風速20m超の爆風の中、まず南下。早朝に大隈半島と種子島の間を抜け、日南海岸の沖を40km/hで東北東に向かい巡航していた。太平洋に入りナナメ前方からの強い風に変わり、海上は白波立ちまくっている。私の小さいフネなら即座にアウツという酷い海況。
なのにロールもピッチもしないから驚く。大きい波が横から当たると「どん」という弱い衝撃を感じるものの、艇体は左右に少しユラユラするのみ。この文章もフネの上で書いてます。やはり333mの威力ってスゴイ! 明日の朝は明るくなった頃、観音崎を過ぎ東京湾に入っていると思う。<前編に戻る>
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