働くディーゼルというイメージのヤンマーが突如1億8千万円のオシャレなフネを作った。なぜ?
ヤンマーといえば農作業などで使うトラクターや、ホイールローダーといった建設機械で知られる。海に興味のある人なら釣り船のメーカーというイメージか? いずれにしろ「働く機械」を得意としていると思うことだろう。私もそうでした。ヤンマーのプレジャーボート、売れ筋は釣りに使うタイプ。というか釣りが好きなら質実剛健なヤンマーのフネを最初に考える。
そんなヤンマーが突如イタリアのアジムと一緒に、カッコ良い47フィートのフネを作ったのだった。上はヘルムシート(操船席)。左液晶画面は3基搭載しているエンジンの状況。右が海図やレーダーなど。2本のレバーがスロットル。右下のジョイスティックは倒した方に微速で動く(横だけでなく斜め前方にも平行移動可能)。その上の小さいレバーは通常のバウスラスタ。1億8千万円の運転席だ。
さすがイタリアの名艇を作るアジムの作だけにインテリアもステキ! 明るい色合いでまとめられており、ヘルムシートの後ろはシンクや冷蔵庫なども設置されたリビング。ヘルムシート横の階段を降りていくと、外から見えないリビングスペースになっている。正面にトイレ&シャワー付きメインベッドルーム(下の写真)。後方はゲスト用のベッドルームがあります。
外観はこんな感じ。大きなサイズのプレジャーボートといえば2階に『フライングブリッジ』と呼ばれるヘルムシートを設ける傾向ながら、アメリカではX47のような『エクスプレス』と呼ばれるクーペのような速いタイプも需要ある。パワーユニットはランクル200などに搭載されていた4.5リッターのV8ディーゼルをヤンマーがマリン用に仕立てた370馬力×3基搭載。40ノットを出す。
約73km/h! このタイプのフネじゃ最も速い部類に入る。東京湾奥から大島まで1時間半! 朝出て大島で遊んで三浦三崎まで戻り、美味しいマグロ食べて帰ってくる、みたいな使い方が簡単にできちゃう。もちろん目的地のオーバーナイトだって楽しい。日本人はこういった遊び方が下手だと思う。欧米を見ると少しお金に余裕ある人なら普通に過ごすウィークエンドです。
そのジャンルにヤンマーが乗り出すというあたりが興味深い。こういう飛び抜けたカッコ良いフネを作ることで『ヤンマー』という企業のブランドイメージになるのだった。自動車業界でいえばモータースポーツのようなもの。トラクターやフィッシングボートだけ作っていたら、やはり伸び悩んでしまう。ちなみにデザイナーはフェラーリ・エンツォの奥山清行氏。
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