ムーディーズやS&Pといった権威ある格付け会社が「日産にお金を貸さない方がいいよ!」とな!

日産改革の動きが止まっているように見える。もちろん経営陣は大騒ぎしているのだろうけれど、外に出てこない。その間、日産を巡る状況は刻々と悪化している。日産が資金調達をお願いする際、出資&投資側は『ムーディーズ』や『スタンダード・アンド・プアーズ』など大手の格付け会社の評価を参考にします。日産のWebの中にも下のような表が参考資料として出ている。

2月14日時点

格付け会社は無責任に評価しているのではないし、気分でもない。間違った情報を流すと信用されなくなるため、専門家が分析してる。下を見ると、2019年度からドンドン落ちている。6日前にムーディーズがBa1(投資不適格)に落とし、さらに昨日フィッチがBB+(ジャンク債)に引き下げた。A+を付けているのは日本の格付投資情報センターだけ。こうなると日産の債権、誰も買わない。

格付投資情報センター以外、今は全て最低ランクに

つまり社債を発行し、多くの人から資金を得ることは出来ない状況。買収や投資や協業といった”日産をコントルール出来る第3者”から運転資金を持ってくるしか無い。ちなみに下は日産の世界販売台数。2018年度から207万台落としている。3分の2以下になったということ。中国が落ちたと言われているものの75万台ほど。中国以外で130万台以上落とした。トヨタは中国も台数を増やしてます。

ただ連結売上高の推移を見ると、2020年を底に上がっている。台数落としてるのに売上高は上がっている? 格付け会社なら数字を鵜呑みにせず「なんで」と思う。バックボーンを見ると、2020年は新型コロナで販売台数落ちた。販売現場では2020年以前と同じく値引きなど継続して行っていたため、台数の減少と共に売上高も落ちている。この流れ、日産だけじゃありません。


風向き変わるのが2021年から。新型コロナで東南アジアなどの部品工場は止まり、半導体工場の火災により供給不足に陥ってしまう。かくして2021年~2023年は売り手市場になる。日産も例外じゃなく、日本市場で見るとセレナもノートもエクストレイルも納期半年以上に。値引き不要。値上げしてもお客さんは逃げない。黙ってても売れる! 売上金額は多くなりますワな。

利益率だって増える。2020年度は値引き販売を続けたため悪化したが、そこから急上昇。値上げした上、値引きもしない。充電ケーブルをオプションにするなど、やりたい放題だ。で、どうなったか? 今やノートもエクストレイルも納期1ヶ月の即納状態。しかも稼げそうな新型車は少ない。依然として3分の2の車種が納期6ヶ月以上だったり、受注停止中になっているトヨタと全く違う。

日産には1兆3000億円のキャッシュフローがあるけれど、ルノー保有の株式(4千億円分)を遠からず買わなければならないし、2026年には8000億円以上の発行済み社債の償還が迫る。前述の通り現状だと新たに社債を買う人だっていない。この二つで1兆2000億円。2024年度の赤字が1000億になったら(現時点での予想は800億円の赤字)、キャッシュフローは計算上なくなってしまう。

そして誰もお金を貸さない。格付け会社が「投機的」とか「ジャンク債」といったレッテルを貼ったら、みずほ銀行だって手を出せません。キャッシュフローなくなり、借金も出来なければ資産を売るしかないけれど(リストラでは時間的に間に合わず)、すでに工場くらいしか売れるモノはない。暖かい気持ちを持つホワイトナイトが必要だ。日産自身も改革を急がなければならない。

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