トランプ大統領曰く「数十万人の雇用を生む」。日本はその分の雇用を失うんですね? 赤沢さん!

日米貿易交渉は大成功だったと赤沢さん大はしゃぎ! 確かに日本の自動車メーカーにとっては朗報だと思う。ただ譲ったものも大きい。現在日本から輸出している140万台の半分くらいをアメリカ工場で生産することになるだろう。トランプ大統領は「日本企業がアメリカに投資するため数十万人の雇用を生む」と行っている。逆に考えたら数十万人の雇用を失う。

現在日本で生産されているクルマは年間850万台規模。アメリカへの生産移転は台数ベースで10%近くということ。アメリカ輸出しているのは高額車が多いため金額ベースだと20%以上。軽自動車とDセグのハイブリッドSUVじゃ利益率が全く違いますから。利益ベースなら40%以上をアメリカに持って行かれると言うことになる。皆さん考えているよりダメージ大。

自動車産業の雇用は550万人と言われている。下請け企業を含む生産関係で10%くらいのリストラをしなければならないだろう。なかでもスバルとマツダのお膝元である北関東と中国地方のリストラは大きな規模になる。大喜びしている赤沢さん、もう少し広い視野で考えた方がいい。繰り返すけれど自動車メーカー本体は、どこでクルマを作っても問題ない。

仕事を失った人はどうなる? 他の仕事を見つけようとしても、ピラミッドの裾野の産業は外国人ワーカーがカバーしている。もっと言えば外国人ワーカーと同じ給与ベースということになります。雇用する側からすれば、レーバーコスト低い方がいいに決まってる。最近のメディアの流れを見ていると日本人だけ高い給与にすることは差別。雇用する側は「その通り!」と言う。

羽田空港も成田空港も、セキュリティチェックに至るまで外国人ワーカー多い。新型コロナの時にパソナが雇った外国人をそのまんま残した感じ(日本人から見て給与基準低く設定しておけば事実上の雇用制限になる)。自動車産業で働いていた人たちも同じような状況になるんだと思う。困らない人は困らないだろう。ただ困る人が数十万人規模で出ることは知って頂きたい。

日本にとっての理想は、年間20兆円近い輸入超過になっている原油/天然ガスの調達先(信じたくないことながら我が国は今でもロシアから天然ガスを購入している)をアメリカに半分程度移して日米の貿易を均衡化することだった。これなら日本の雇用を失うことなどない。

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1 Responses to “トランプ大統領曰く「数十万人の雇用を生む」。日本はその分の雇用を失うんですね? 赤沢さん!”

  1. jun より:

    各国との関税交渉が遅々として進まず、焦っていたトランプ政権。アメリカの日常生活では関税&移民政策の悪影響で食料&生活必需品の値上がりがジワジワ、雇用統計も良くなる傾向は無し。そこに出てきたエプスタイン顧客名簿問題。世論調査では米国民約9割がトランプが拒んでいる名簿公表を「行うべき」と答え、共和党支持者の約半数も「公表せよ」。そんな中でトランプは、エプスタイン問題でトランプ批判に回った右派YouTuber&MAGA信奉者「バカ者」呼ばわりで切り捨てた…。

    そんな苦境に立たされているトランプ政権との関税交渉締結ですから、トランプは何としても(本当は彼がバカにしている)MAGA信奉者にアピール出来る”ディール”を日本から勝ち取り「獲ったド〜」と叫びたい。また、交渉が停滞したままの多くの国に対しての牽制にもなる。それが「関税15%」と「日本は米国に5500億ドル(約80兆円)を投資し、数十万人の雇用が創出される」だったのでは。ルトニック長官(投資銀行出身。)はブルームバーグとのインタビューで「アメリカの要請で日本が巨額の投資を行い、その利益の90%は米国民に入る。」と、いつものニヤケ顔。でも、具体的な情報は判らない。日本製鉄のUSスチール買収でも、トランプは色々言っていましたが詳細は判らず。「…は細部に宿る」では無いですが、トランプとしてはMAGA信奉者に自慢でき、その場を取り敢えず取り繕う内容のディールを求め、日本側は屈辱的な発言も聞き流しながら、このタイミングで他国に先駆けてトランプ関税に合意し、ある意味トランプに恩を売る形で可能な限り良い条件を引き出そうとしたのかも。
    それにしても…トランプ関税に関してはアメリカの消費者が一番損しそうに思うんですが、MAGA信奉者は未だに関税は海外企業が払うと思い込んでいる人達が多いのが現実なようで…。

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