WRCを見るとトヨタが欧州市場で一人勝ちになっている理由をハッキリ理解出来ます

1980年代の日本車は欧州車と比較することすら出来なかった。当時ベストカーガイド編集部員だった私は、比較試乗企画をやる度に敗北感を味わったものです。当然ながらラリーにおいてもお話にならず。日本車が勝負出来たの、欧州勢がホンキになっていなかったサファリだけでしたから。絶対的なクルマの速さを必要とする1000湖ラリーで勝利することなど夢に見ることすら出来ず。

翻って今年のラリーフィンランドといえば、トヨタが1~5位! WRCの歴史を見ても同じ車種が1~5位を獲ったのは一度だけ。もっと素晴らしいのは、これまたWRCで最も難しいと言われるフィンランドで日本人ドライバーが3人のワールドチャンピオンと互角の勝負の末、2位に入ったこと。勝田選手だけでなく育成2期生の山本選手がラリー2クラスで初のベストタイムをマーク!

こうなるとヨーロッパの皆さんも認めざるを得ない。私は以前から「自動車のブランドを作るにはモータースポーツしかない」と主張してきた。下の写真、ラリーが終わった夕方、ユバスキュラで撮ったもの。普通の市民です。そしてスペシャルステージに行ってもサービスパークに行っても、街中ですらGRのウエアを着ている人を当たり前のように見かける。皆さん素直にリスペクトしている。

スペシャルステージで出会った子供は私たちがトヨタに近い日本人だと解るや、目を輝かせる。もちろん活躍しているドライバーがフィンランド人に大人気のロバンペラということもあるんだと思う。といったバックグラウンドを除いても、勝田選手に大声援を送ってくれる。振ってる旗はトヨタでなくGRなんだけれど、皆さんGRがトヨタであることを知ってます。F1も素晴らしい。

ただここまで普通の皆さんには支持されない。こんなことがヨーロッパ全域で見られるようになってきました。イギリスに行けばエヴァンスの大応援団が押しかけGR大人気。フランスでもオジエの大応援団がいてGRの旗を振ってくれる。トヨタ車、売れるワケです。よく「ハイブリッドがあるからトヨタは売れる」としたり顔の評論家もいるけれど、ホンダだってハイブリッドを揃えている。

やはりラリーこそ大衆車を売るためにブランド作りに必要なんだと思う。現在進行形でブランドが出来ていくことを実感します。考えてみたら90年代後半から2000年代はスバルや三菱の旗を振る人が多かった。クルマも売れた。撤退した今は見る影も無し。欧州に於けるトヨタの一人勝ちはWRCに行けばよ~く解ります。ショッピングリストの上位になることも納得出来ます。

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5 Responses to “WRCを見るとトヨタが欧州市場で一人勝ちになっている理由をハッキリ理解出来ます”

  1. やまうら より:

    ラリーが素晴らしい宣伝になることを理解できないメーカーは、はっきり言えば「馬と鹿」なのでしょう。
    必ずしも、優勝しなくても、トップカテゴリーでなくても、「突っ走る夢」がいかに大切かと思います。

  2. ガソリン暫定税率廃止!! より:

    1975年の1000湖ラリーで
    ハンヌ・ミッコラ駆る、4バルブ化された27レビンが勝ってますよ。

  3. アミーゴ5号リリボーン より:

    トヨタの目覚ましい活躍や販売振りを見ると、いつも思うのです。かつて同じことを、日産もホンダも三菱もスバルもやっていたなぁ、って。

    第一に、ユーザーが喜び、期待を上回るクルマつくり
    第二に、レースで負けてたまるか魂
    第三に、独自の技術開発と実装
    そして一番大事なのは、ステークホルダーみんなが元気なこと!

    日本人が妙にありがたがる欧米流の株主向け短期利益最大化経営は、金融会社等には当てはまるかもしれない。

    けれど人々の期待を載せ、実生活を彩るクルマとそのブランドメーカーには、思い切り的外れではないかと思うようになりました。

  4. ばんじ〜 より:

    長期的な展望(あるいは自社に対する心からの愛情・期待)を持つトップの存在の価値がよくわかりました

  5. まさに~ より:

    ギャランVR-4が1989年に1000湖ラリーで勝ってました。
    翌年はセリカGT-Four。
    80年代後半から日本車の活躍が増えていってますね。
    90年代は黄金期。
    トヨタの活躍は嬉しいですが、日本車の黄金期の活躍をリアルタイムで見ていたので、今は少し淋しいですね。

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