国沢光宏のマリナー・オブ・ザ・シー乗船レポート 旅行記(その2)
子供の頃からなぜか『旅に病で夢は枯野をかけ廻る』という松尾芭蕉の最期の句が好きだった。あまり体調良くないものの、窓の外には晴天の海。現代は身が病んだ時も、夢でなくリアルな旅が出来るから素晴らしい! 年取って身体弱ったなら、最後に世界一周クルーズなどしたいものです。窓の外にはいつでも大好きな海があります。
船内は大入り満員である。JTBのスタッフに聞いてみたら、予約もすぐ集まったという。お客さんを見ると、最も多いのは、いわゆる団塊の世代と呼ばれる先輩方。どうやら団塊の世代でクルーズ船に乗るのが流行っているそうな。考えてみたら普通のツアーよりカッコ良いし、仲間に自慢も出来る。団塊の世代の先輩方は我が国の消費を引っ張ってきた。
自動車の人気などは正しく団塊の世代の先輩方が作っている。若い頃はFFの2BOX。やがて1800ccクラスのミドルセダン人気を作り出し、その後、出世と共にハイソカーブーム。子供出来るやSUV&ステーションワゴンを流行らせた。そのパワーがクルーズ船に来てるようなのだ。クチコミであっという間に広がり始めたらしい。だとしたら今後10年は安泰です!
興味深いことに船内は全盛期の苗場プリンスといった雰囲気。「贅沢な感じがするけれど、な~んか違う」。レストランに部屋のスリッパのまま来る人もいれば、ブッフェの列に横入りする人、安っぽいジャージ姿の人等々。白人客ばかりの海外のクルーズ船と比べたら、全くイメージ違う。そして品の良い人も少なからず居る、というのも苗場的。
日本に多く寄港するフネの多くは中国人客を相手にしているので日本人だけのクルーズを選んだのだけれど、3分の1は中国人と同じくらいのマナーだと思っていい。私を育ててくれたお洒落な先輩方が乗ろうとするなら日本発着のクルーズは厳しいかもしれません。カリブや南欧のクルーズが良い。飛行機代を考えたって高くないですから。
驚くことに310mのフネは揺れない! 昨晩は北からの爆風で東京湾も2~3mの大波。太平洋に出たら一晩中「ど~ん! ど~ん!」と大波喰らっていたのに、上下方向も左右方向も揺れないのだった。波を蹴散らす振動のみ。さすがです! 考えてみたら日本の長距離カーフェリーって190mくらい。19フィートと31フィートのフネの差と同じ。
19フィートのフネだと夢の島からベイサイドマリーナ行くのも、少し荒れたらアマタから水しぶきカブる厳しい修行になってしまう。31フィートあれば余裕です。フネは少しでも大きい方が物理的に有利。だから皆さんお金あれば大きなフネに乗り換える。当然時間掛かりますけど。30日の朝起きた時点で和歌山県潮岬。5月1日朝は奄美大島の西海域。
フネの中でナニをやっているのかといえば、朝から晩までイベントやってる。夜のショーなど本格的なミュージカルだし、アイスダンスショー見たり(スケーリリンクがある)、元気ならトレーニングジム、当然の如く定番の映画、22時くらいになると70年代ディスコ大会とも開かれます。飽きることなど無し。熱出して寝てるもよし。上の写真をクリックしてください。
日本の排他的経済水域など関係なし
ルートは静岡県の下田沖から台湾の基隆港までの最短ルート。文字通り「オオブネ」だけあり、当然の如く中国が権利を主張する大陸棚の上を突っ切り、尖閣の北側を通る。スゴイね! 途中、中国の大型漁船を見かけた。日本の排他的経済水域であるこんな場所まで出張ってきてる。周辺に海上保安庁のフネもいない。まぁナメまくられていますね。<クルーズの続きを読む>
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