ボディ剛性と剛性感の違い。鉄道車両=剛性感大。航空機=剛性感低

私らの試乗レポートによく「剛性感」という単語が出てくる。「剛性」じゃなく「剛性感」と表現するのは、剛性っていい加減な指標だからだ。水みたいにユックリ押していけば柔らかいけれど、イッキにチカラ掛けるとガチガチになる素材や素材などもある。様々な入力を受けるクルマじゃ正確に計れない。はたまたどんなに剛性上げていっても「剛体」(全く動かない)にはならぬ。

先日、新型ヴェゼルのFFと4WDに試乗した。驚いたことに同じボディシェルを使っているにもかかわらず剛性感がずいぶん違う。FFも悪くないのだけれど、4WDのハンドル握るとボディ各部を補強したんじゃないかと思えるほどの剛性感を持っている。乗っているウチに「ははぁ」と解ってきた。ボディよりサスペンションが先に動いているのだった。

個人的に「乗り心地いいなぁ」と思うのは鉄道車両だ。路面(レール)からのハーシュネスを”全く”と言って良いくらい感じない。ボディの剛性感だって素晴らしい! 理由は簡単で、ボディ剛性よりはるかにソフトなサスペンションを組み合わせているからだ。逆が航空機。カーボンで作った機体であっても乱気流の中を飛ぶとボディ剛性感皆無になる。

フネも同じですね。荒れた海だと入力がハル剛性を絶えず上回るため、ボディゆがみまくります。そんな航空機やフネも安定した気流や波の無い海だと信じられないくらい素敵な乗り心地になる。ヴェゼルの4WD、FFよりサスペンションがよく動く。つまり「ボディ剛性>サスペンション」なんだと思う。この件、人によって評価が違ってくるから興味深い。

ガタピシした乗り心地を「スポーティ」と感じるヒトもけっこう多い。特にKYBのダンパーをスタンダードにして考え居る人は、硬くてガタピシを好む傾向。考えてみたら私もそうでした。30歳くらいまでは「硬ければ硬い方がいい!」くらいのイキオイでしたから。けれどこの仕事で上質なダンパー使った輸入車や競技車両に乗るようになって評価基準がガラリと変わった。

ここで面白いのがKYBダンパー基準の場合「乗る心地柔らかい」方向にすると減衰力も出せず腰砕けのハンドリングになってしまうこと。つまりKYB基準だと乗り心地用=コーナーで安定しないクルマになってしまう。けれど優れたダンパーは、良く動き、同時に減衰力も出している。新型レヴォーグのザックス、良く動くがコーナリングもビシッとしてます。ヴェゼル4WDもそう。

最たるモノがネオチューンですね。最初の動きを滑らかにすることでボディ剛性まで上がったような乗り心地になる。ヴェゼル、FFならそのまんま喜多見さんのトコロに直行するけれど、4WDであればそのまま乗るだろう。一昔前のメルセデスやBMWのように上質な乗り心地を好むのなら、評価の高いダンパー交換を推奨したい。全く違うクルマになったように感じます。

 

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