中国ジーリー社の仮ナンバー試乗会についてベストカーWebが詳細報告を出しました

ジーリーが仮ナンバーで試乗会を行った件について6月25日に書いた。この件、カートップWebの記事で拡散されたこともあり、国交省にクレームの電話など多数あったという。顛末は下にリンクした記事を読んで頂きたいが、レポートに書かれていない「これはメディアであっても判断するの難しいかな?」と思える状況もあったようなので付け足しておく。

ベストカーWebの詳細報告へ

ベストカーWebの記事の中に中国側から提示された書類のリストがある。ここの一つ目に「日本国内の税関が発行した自動車通関証明書」と書かれてます。御存知の通り日本は自動車の輸入について関税を掛けていない。しかし! 日本から中国にクルマを戻す際、事情を説明しても、中国の税関は「日本から輸入された自動車」と判断し、中国側で関税を掛ける。

そいつを回避するのが『カルネ』という書類だ。中国側で発行され、日本に持ち込んだ際、一時持ち込みということで通関。持ち出す際、日本税関のハンコ貰うと中国に関税無しで持ち帰れる。カルネには『JAFカルネ』と商品見本などで使われる『ATAカルネ』がある。日本と中国はJAFカルネの協定無いため、ATAカルネになります。実際、今回ジーリーがATAカルネで持ち込んだ。

さて。ATAカルネでクルマを海外に持って行くには、基本的に登録されているクルマじゃなくちゃだめ。逆に登録されていれば、持ち込んだ国で制限無しに走れる。上の写真は私がタイにATAカルネで持ち込んだラリー車です。日本のナンバープレートのまんまで、現地で有効な保険にさえ加入すればラリーにだって出られる。JAFカルネも同じ。行った国で乗れる。

上はオーストラリアのラリーに出場したGDBで、JAFカルネだとローマ字のナンバーを取得出来る。任意のため、日本のナンバーのまんまでもOK。といったことを考えると、ジーリーの2台は中国で登録されており、日本通関時に中国のナンバーが付いていた。ATAカルネで日本に入ってきたクルマなら中国のナンバーで走ったって問題無しということになりそう。

実際どうかといえば、中国はジュネーブ条約に入っていない。だからこそ中国の免許証は日本じゃ無効。これまた余談になるが、ドイツやスイスはジュネーヴ条約に入っていない。その代わりお互い「走れますよ」という条約を結んでるため、問題なく運転出来る。されど中国は交互条約無し。よって運転免許も有効じゃないし、ATAカルネで持ち込んでも走れないワケ。

4千年の歴史を持つベストカーといえども、このあたり知識は無いと思う。なぜ私が知っているかと言えば、自分でクルマを都合7回海外に持ち出したからだ(JAFカルネ2回。ATAカルネ5回)。ベストカーの関係者、ATAカルネで持ち込んだと聞いたようだから、疑わなかったのかもしれません。といったことを中国側の関係者は知っていたから仮ナンバーを取った。

いずれにしろ本日時点でもジーリー(吉利汽車)を含め中国サイドはバックレているらしい。しっかり状況説明し、謝罪しない限り日本市場への出入り禁止でしょ! とはいえジーリーやジーリー傘下の「Lynk & Co」や「Zeekr」が日本に入ってくるとなったら、モミ手して素晴らしい試乗レポートなんか載せちゃうメディアもあると思う(泣)。

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6 Responses to “中国ジーリー社の仮ナンバー試乗会についてベストカーWebが詳細報告を出しました”

  1. yakusyo より:

    中国は外交でも商業活動でも、自分勝手でやりたい放題。それを監視するのがジャーナリストの使命。kunisawanetだけが忖度なく真実を報道してくれる。ありがたい。

  2. アミーゴ5号リボーン より:

    仮ナンバーとかカルネとか、一般市民は生涯使うことはないでしょう。

    そのため私達には、運用も解釈も重畳も、何だかよくわからない。また業界に閉じたルールだから、そもそも穴だらけでしょうし。

    ということで一番知りたいのは、中国メーカー側の日本国内における安全に対する対策や、誠意や良心がどうだったかということ。

    相手が中国だと、何だか目の敵みたいな論調になるけど、少なくともクルマ関連では、お互い詫びる所は詫びる、認める所は認めるという、話せば分かる関係であって欲しい。

  3. JUN より:

    「中国がジュネーブ条約未加盟なので、中国からのATAカルネでは公道を走行できないし、中国の免許では日本では公道を運転出来ない。」との事。このような理由で、彼らは仮ナンバーを悪用する必要があったんですね。
    仮ナンの使い方を見ると、一度に何台の車を持ち込んだのかは知りませんが、公道では有効な免許を所持する人物が運転していたのか、疑いたくなります。

    そう言えば、5年ほど前にラオスのルアンプラバーンで中国ナンバーを付けた車を何台か見かけました。ジュネーブ条約の知識が多少有ったので(車&ドライバーが越境できるのか)不思議に感じたのを思い出しました。

    MotorFun誌鈴木慎一氏の試乗記事
    https://motor-fan.jp/mf/article/232217/
    問題のGeely筑波試乗会で、中国メディアにハイブリッドモデルの感想を聞かれ答えた発言が、改ざんされて中国SNSに掲載され「話していないことを記事にされるのは心外だ。」と書いています。

    何というか…企業倫理、国の倫理観の違いが大きいようにも思いますし、このような考えは車づくりにも反映されているだろうな~と感じてしまいます。

  4. W201 より:

    mei @2022meimei3

    中国の自動運転車が米国の道路を静かに180万マイル走行し、カメラとセンサーで詳細なデータを自由に収集してマッピングしているけれど、放置していると危ないかもとフォーチュンが警告

    China自動運転車企業は、米国の道路で自動運転車のテストを行っているのですが、これらの「移動式監視装置」が収集する膨大なデータが中国政府に悪用され、国家安全保障に対して与える影響について懸念が高まっています。
    https://fortune.com/2024/07/08/chinese-self-driving-cars-us-roads-data-collection-surveillance-national-security-concerns-investigation/

    カリフォルニアで行われているChinaの自動運転車のテストで先進的なカメラ、センサー、マッピング技術を搭載した車両が180万マイル(290万キロ位)走り回り、詳細な映像や正確な地理空間情報など、周囲の状況に関する膨大なデータを収集。

    これらの米国のデータを中国国内に保管している企業もあり、中国政府による国内大規模監視や戦争計画に役立つ詳細な地図作成に活用されているおそれがありますと

    一部では悪意のある者の手にこのデータが渡れば、標的を絞った偽情報キャンペーンや暗殺計画に利用される可能性まであると警戒されています。

    因みに中国政府は、自国内では外国企業の自動運転自動車テストを一切させていません。
    https://breitbart.com/tech/2024/07/09/rolling-surveillance-devices-chinese-self-driving-cars-are-mapping-america/

    カリフォルニアで自動運転試験を行い警戒されているChina企業は、WeRide、百度のApollo、AutoX(HONDAと日本での2026年初頭自動運転タクシーサービス開始を狙う)、http://Pony.ai(トヨタが自動運転タクシービジネスしたくて提携したChina企業)、DiDi(孫正義が入れ込んでたやつ)です。

  5. トヨタ車ユーザー より:

    カートップ誌上で指摘したのは中谷さんでしたか。自身でも中国で運転できる免許を取りに行っていたのを記事で読んだことがあります。
    ジーリーの技術はボルボの知見が入っていて「Lynk & Co」や「Zeekr」といったハイブランド(?)を展開しています。PHEVも持っていたりと日本としては要注意な会社です。

    しかし、その宣伝のために怪しい方法で車を持ち込んで走らせて撮ったのは、榛名山で某漫画バリに「コップの水」や「豆腐の運搬」だったり、筑波サーキット(中国でも有名なんでしょうね)の走行だったりと、なんだかおちゃらけた内容が入っていました。
    中国では受けが良かったらしいですが、日本のクルマ文化、メディアの評価軸とは深さの違いを感じます。
    中国だってxHEVを作るのは大変でしょうが、それを宣伝するのにはるばる車を異国に運んで豆腐を載せて車を走らせて見せるなんて少々理解不能です。

    シャオミ=スマホ会社がポルシェバリの車を作ってはしゃいでいたりと、中国はテクノロジーとエネルギーの使い方をイマイチ間違っているような気がします。その辺が自動車先進国が中国・中国車と距離を置こうとしている(欧米みたいに関税をかける、有名女優をCMに起用してもスルーされる)理由なんだと思います。

  6. スコップくん より:

     本件、ジーリーとか中国企業側の問題ではなく、これらの車に取り付けられていた仮ナンバー申請者(まだ明らかになっていませんが)が法令に則て罰せられるだけで終わりの案件だと思われます。
     該当法令は以下の通り。
    *下記に該当する場合は、道路運送車両法の規定により罰則が定められている。
    1.許可された自動車以外の自動車に使用したとき
    2.詐欺その他の不正な手段により臨時運行許可を受けたとき
    道路運送車両法第107条に該当し、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、または併科
    3. 返納期限内に仮ナンバーと臨時運行許可証を返納しないとき
    4.臨時運行許可証を備えつけないで運行したとき
    道路運送車両法第108条に該当し、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
    *回送運行許可者の行政処分(関東運輸局)
    https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000171513.pdf

     で、いろいろ調べていたら、そもそもこの業界の仮ナンバー申請者のお行儀が良くないようで、他の人もやってる、誰も返してないから平気平気とかの情報が、業界の仲間内に出回って、ルールが守られないという逆に日本人的な現象がはびこっているみたいで、中国人だから云々とはとても言えないようです。
     とっとと、先の道路運送車両法第108条を適用しちゃえばすむことなのにと思います。
    https://www.soumu.go.jp/main_content/000861979.pdf
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20231222-OYT1T50133/

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