自工会のリリースを見て「日本凄いぞ!欧州ざまみろ!」と主張する人が多いことに驚く!

電気自動車嫌いだ君達は自工会が4月4日に発表したリリースを見て勝ち誇ったように「電気自動車だけじゃダメだと言ってきただろ!」と小躍りしている。けれどリリースの内容を読んでみると、私はそう思えない。現状の肯定と再確認だと理解した。最も重要な内容は「2050年までに自動車分野でカーボンニュートラルを達成するのは正しい判断」と書いている点にあると思う。

山の登り方はどうでもいいが、登頂すべきだと言ってます。欧州は禁欲的とも思えるほど強い意思で電気自動車ルートを選んだ。日本も欧州と同じような方向性。米国を見ると最終登頂ルートの決定をしていない。中国の場合、自国の利益という観点で電気自動車を選んでいる。新興国についてはそもそも2050年というゴールじゃないし、登れるかどうかすら解らない状況。

直近になって欧州は電気自動車以外も例外的にエンジン車を認める方向になったものの、とはいえ主役は電気自動車である。むしろ今回出した自工会のリリース、欧州以外の市場に向けて発信したと私は理解している。インドネシアやマレーシア、タイに代表される東南アジアを見たって2050年の総電気自動車化なんて難しいことが誰にでも解るだろう。そもそも実現不可能ですワな。

世界中の自動車メーカーはそういった地域に向けてもクルマを販売している。いや、発展途上国を見たら車齢20年なんて普通。2030年に作ったクルマが2050年にもたっくさん残っていることだろう。そこでのカーボンニュートラルって代替燃料が最も可能性高い。以前も書いた通り様々な植物から作るバイオエタノールなんか大いに面白いんじゃなかろうか。

日本はどうか? 自工会の発信通り、様々なアプローチを考えたらいいと思う。いずれにしろエネルギーの自給自足が基本になると考えます。となると豊富にあるの、太陽光と風、地熱など。そいつに重量発電や、電気分解により作った水素などを組み合わせたエネルギー戦略が必要になってくる。現在の我国を見ると判断基準は利権しかない。自工会にはそこをブチ壊して頂きたく思う。

以下、自工会のリリースです。

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2022年11月、世界の政策立案者がエジプトで開催されるCOP27国連気候変動会議に集まる中、国際自動車工業連合会(OICA)は、道路交通の脱炭素化を支援するための具体的な政策提言を包括的にまとめたポジションペーパー「2050年までのカーボンニュートラル」を発表しました。

世界中の自動車メーカーにとって、道路交通の脱炭素化は共通の目標であり、その実現に向けた取り組みが行われています。しかしながら、OICAのフレームワークが強調するように、すべての国にとって2050年までのカーボンニュートラルに向けた実用的で持続可能な道筋を提供するためには、多様、かつ技術にとらわれないアプローチによる柔軟性が必要です。

そして、カーボンニュートラルを実現するには、新車だけでなく使用中の自動車からもCO2排出を削減する施策を追求しなければなりません。そのためには、ゼロエミッション車両(電気自動車(EV/BEV)および燃料電池車(FCV/FCEV)等)のように、直接排出されるCO2をゼロにする技術や、カーボンニュートラル燃料に代表されるCO2排出をオフセットするエネルギーを用いる内燃機関車両等、さまざまな技術を進歩させることが重要です。

どのような技術を採用するにせよ、2050年というタイムフレームの中で脱炭素化を達成するには、政府と産業界のパートナーシップ、そして信頼できるインフラと強靭なサプライチェーンのための道路交通エコシステム全体からの継続的な投資コミットメントが必要です。世界の自動車産業の代表として、現在の地球規模の地政学的、社会経済的状況を考慮すると、2050年までに自動車分野でカーボンニュートラルを達成するという、今回の再確認は時宜を得たものと考えています」。

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3 Responses to “自工会のリリースを見て「日本凄いぞ!欧州ざまみろ!」と主張する人が多いことに驚く!”

  1. アミーゴ5号 より:

    日本の団体は玉虫色まみれな印象がありますが、こちらのリリースは、日本の団体とは思えないほど極めて真っ当な正論であり、整然とあるべき姿を述べていると思います。

    地球にとっての敵は、欧州でも中国でもEVでもなく、人類もとい、カーボンなのですから。

    ちなみに欧州EV戦略の敵、電気代高騰を招いた最大の敵が、実はプーチンだったというのが、何やら不思議な気がします。

  2. 二級人 より:

    顧客や市場の要求に合わせてさまざまなパワーユニットを進歩させていく、全くの正論、その通りと思います。頑張ってもらいたいです。
    ただそれを日系メーカーだけでやっていく力があるのかどうか、持続力があるのかどうか。
    いま一番カーボンを出していない会社はテスラを除けばトヨタかも知れません。欧米メーカーはトヨタの一番弱いところを攻めて来ているのだと思います。
    イノベーションのジレンマ(既存の顧客の声を反映して正しいことをしている企業が別の角度から攻めてきたライバルに台頭を許す)を感じているのは私だけでしょうか。
    キヤノンなどのデジカメの出荷台数は最盛期の1/10以下です。富士通やNECなどのPC、スマホは見る影もありません。
    トヨタなど日系メーカーにはどうにか持ちこたえてもらいたいです。

  3. トヨタ車ユーザー より:

    私は日本にEV,HEV,PHEV,FCVすべての技術があるのに、カーボンオフセットへの取り組みが超遅いのは国やエネルギー企業の判断の遅さや利権争いにあるのだと思います。そして、その点は何というか後進国並みです。
    某ガソリンスタンド企業が、EVのリースや充電スタンド設営に取り組んでいて、それは良いと思うのですがバイオ燃料を売ってくれればそれで既存の車もすぐにCO2ゼロにできるのだからそうしてほしいのに、何だか時間稼ぎをしていないか?と思ってしまいます。

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