「スタッドレスタイヤはワンサイズ細いのを選べ」という説はどう考えるべきか?

スタッドレスタイヤはワンサイズ大きいのを推奨する、と書いたら「しったか一等賞」の黄昏クン達から「スタッドレスタイヤは細い方がいいに決まってる!」という声が出ているという。私はしったか一等賞を相手にしないけれど、善良な人もそういった認識を持っているそうな。だったら1度しっかり紹介しておく。いや、正確に書くと、今まで何回か書いてきましたね。

まず大前提として「雪道ってナニ?」。新雪や圧雪のように走ると雪の上にタイヤのパターンが残るケースと、アイスバーンに代表される氷とでグリップさせるロジックは全く違う。タイヤのパターンが付くような雪道では長靴の底のようなエッジの効いたパターンで雪を「噛む」。これでグリップを発生させます。雪にタイヤを噛ませるには当然の如く「硬いゴム」と「接地面圧」が重要。

硬くてエッジの効いたパターンを強いチカラで雪に突き立てればいい。その場合、タイヤ幅は狭い方が有利。設地面圧上がりますから。実際、雪道用タイヤのパターンはシーランド比(パターンの接地面積比率)を50%程度まで落として設地面圧を高くしている。したがってワンサイズ太くすると設地面圧は3%程度少なくなるけれど、そんなの普通の人じゃ全く解らないレベル。

一方、アイスバーンは1)タイヤと氷の間に生ずる水の膜を弾くか吸収するなどして、ゴムと氷を密着させる。2)その上で細かいサイプが生み出す「引っ掻くチカラ」を利用してグリップを発生させるのだった。したがって接地面圧より接地面積が重要。アイスバーンだと幅広いタイヤの方がグリップ力は増すということ。絶対的なミューはアイスバーンの方が圧倒的に低い。

雪道全体で考えると、パターンが付くくらいの圧雪は絶対的なミューも高いので、3%くらいグリップ性能落ちても気にならない。アイスバーンは少しでもグリップ力を確保したいため、接地面積を増やした方がいいということになる。「スタッドレスタイヤは細い方がいい」なんてことを主張する人は、スタッドレスタイヤに付いての知識が全くないと証明しているようなもの。

雪と氷は物理的に別モノ

ちなみに氷温低くて湿度も低いとスリックタイヤでもアイスバーンを走れてしまい、その場合、幅広い方がグリップする。WRCのスウェディッシュラリーなどで使われるスパイクタイヤは、スパイクの接地面圧を高めるため幅の狭い台タイヤを選ぶ。モンテカルロのようなピンが少なく飛び出し量の少ない雪道タイヤの太さは標準サイズと同じ。覚えておくと通です。

以上。雪の無い道を走るときは圧倒的にワンサイズ太いスタッドレスタイヤの方がステアリングレスポンス良いし、摩耗で有利。何より緊急時の制動性能も太い方が高いため安全面でも推奨したい。

 

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12 Responses to “「スタッドレスタイヤはワンサイズ細いのを選べ」という説はどう考えるべきか?”

  1. Nobutsuna より:

    信州在住ですが温暖化の影響か雪質がかなり変わったと感じています。
    かつては降雪後も相当の期間は雪が雪のまま残っていましたが、ここ10数年ほどは降雪後に雪解けしそれが夜間に再び凍るアイスバーン化(ブラックアイスバーンも)する事が多くなりました。
    自分もかつてはスタッドレスは1インチダウンしワンサイズ細くしていましたが、最近はオリジナルサイズのままアイスグリップ力の強い銘柄を選んでいます。地域毎の雪質に合わせたチョイスが必要ですね。

  2. アミーゴ5号 より:

    スタッドレスの原理をはじめて知りました。雪と氷では、グリップさせる原理がまったく違うのですね。なるほど〜〜〜!

    そんな自分は、スタッドレスの狭広など全く意識せずに、ノーマルタイヤと同じサイズのスタッドレスを使ってきました。

    おっとそろそろ、スタッドレスに履き替えねば!!!

  3. 猫まんま より:

    FRのマニュアル車が全盛の頃&金属チェーンが全盛の頃は雪が降った時に配達用のトラックに荷台にドラム缶に水入れて積んだりサイドブレーキかけて無理やり後輪に荷重かけてましたね。一応駆動輪に荷重をかけるということでは間違っても無いかなと思います。
    まあ現代はスタッドレスタイヤの性能が飛躍的に良くなったのでここまでする必要は全く無い訳で少々の積雪ならスタッドレス履いてればごく普通に走れますからね。
    むしろ太い方が色々とメリット有ります。最近のスタッドレスは剛性感も良くなってきてるけどやっぱり夏タイヤには勝てないわけで。わたしも2年ほど前に13年振り(笑)にスタッドレス買い換えましたがドライ路面の剛性感と操作感の向上に驚きました。
    一番の問題は積雪時に夏タイヤで走って動けなくなる馬鹿どもがいっぱい沸いてくることかと。
    自転車と同じくタイヤの性能よりもドライバーの意識の向上が一番大事じゃないでしょうか?
    最近の日本は中国や韓国のこと笑えないくらい民度が低くなったと感じます。

  4. くそんぼ より:

    スタッドレスが当たり前になってから三十数年、いまだスパイクタイヤの考えの人がいますね。面でグリップか、刺して喰い付かせるかの違いですけどね。

  5. 丸山弘 より:

    ちょっと書かせていただきます。
    私も、北海道の札幌の隣り町江別に
    住んでいます。
    車は、現行モデルのアウトランダーPHEV
    に乗ってます。Pグレードのため20インチの
    夏タイヤ、スタッドレスは指定サイズの
    18インチブリヂストンのDM3です。
    当然新品ですが、車重があるため
    圧雪路の高速道路を走ると
    継ぎ目通過時に車が上下に揺れて
    ぽわんぽんします。
    タイヤの効きは全然問題無いですが
    ぽわんぽわんして、ハンドルに伝わる
    感覚も薄く、車重有る車は、細いサイズも
    ですが扁平率も関係あると思います。
    空気圧は、指定250psですが220psに
    四輪とも下げています。
    タイヤは、北海道の各販売店にタイヤを
    おろすブリヂストンの代理店で友人が
    いるため最新ロットを買っています。
    単位あたりの荷重を増やすか
    設置面を増やすか、が基本ですが
    今、更に選択肢が増えて技術も変わって
    来ています。
    色々な意見を聞いたり調べたり
    しないと駄目ですよね、だから自動車評論家が
    いるんですよ、忖度のしない!

  6. 極寒冷地住み より:

    細い方が効くのはスパイスタイヤの時代の話。
    スタッドレスタイヤは接地面で稼ぐので、太い方が有利なのは初めからの常識。
    おかしな奴が自信満々に語るから誤解が広まる。

    ついでにスタッドレスタイヤは扁平率が高い方が効くから、最近流行りの大型ホイールに低扁平タイヤは、スタッドレスタイヤと燃費には逆行している。

    • 豪雪地帯なのに雪がない民 より:

      高扁平がいいのはそれこそスパイクタイヤと同じ理屈で、細い方が圧がかかるだけの話。
      氷上性能なら低扁平の方がいい。

  7. jhon do より:

    わたしも、ほそい方が良いと思い数年苦しみました。今回はインチダウンしましたが、指定よりもワンサイズ上でなおかつ、サマーの同サイズよりも外径が8mm大きいのでかなり大きくなりました。性能面はタイヤの年代のせいもありますがかなりよくなりました。

  8. 雪お より:

    シーズン始めのアイスバーンが目立つ時期は205/55 16
    圧雪の目立つ時期は195/65 15
    と使いわけてます
    場合によって205/65 15で外径あげて縦横の接地面積稼いだり
    地上高もかせげるし
    積雪具合によっては幅が広いほうが制動に有利な場合もありますね
    だいたいの国産車とくにトヨタは標準サイズにチェーンを装着できるようにタイヤハウスのクリアランスとスピードメーターの誤差を考えてあるので標準サイズより一回り大きな外径で大丈夫みたいですね

  9. POST より:

    スタッドレスしか知らない年代の人で細い方がいいなんて言う輩が居るんですね~驚きましたわ!

    自分はハンドルを切った際に干渉しないギリギリのサイズで接着面積を増やす事しか考えてませんね!
    デメリットはタイヤハウスに雪が詰まりやすくなるぐらいかな?
    当然、メーター誤差は把握して運転してますよ。
    まぁ、スパイクタイヤを知ってる自分はスタッドレスタイヤをあまり信用してませんけどね。

    皆さんも冬道の運転はお気をつけください。

  10. vwman より:

    純正指定装着可能サイズを基準に、重視する走りのフィールド、ドライビングスキルに合わせて選べば良いと思います。幅のみ云々では語れない。接地面の縦横比でもハンドリング、トラクション性能が変化します。扁平率によっても走り易さが違います。愛車のゴルフは55扁平が標準ですが、条件の悪い東北の冬道で、1センチナロー、1インチダウン、タイヤ構造のたわみを活かせる65扁平がベスト。廉価モデルの採用サイズですね。乾燥路中心ならロープロ55扁平で良いんですけどね。運転歴30年以上、モータースポーツ経験者です。

  11. どら より:

    なるほど! 理解しました。ご丁寧な解説ありがとうございます。

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