「水素が充填出来ない!」「下取り額は極端に安い」アメリカに於ける燃料電池乗用車は終わった

このところ私も書いていることながら、水素インフラが厳しいことになっている。東京について言えば増えるどころか減る傾向。水素価格は2倍になった。今後も明るいニュース無し。現行MIRAIですら中古車相場は急落し300万円を切る。買い取り業者に頼んでも買い叩かれ、200万円程度の値しか付かず。今後上がることもないだろう。私も補助金の縛りが無くなったら手放そうかと。

するとアメリカでも同じ状況になっていた。シェルが水素ステーションから撤退するとは紹介したけれど、もはや総崩れらしい。アメリカの『インサイドEV』というサイトの記事を見たら、日本より酷い状況。環境問題に積極的なカ州のサンフランスシコすら水素ステーションが1カ所も無くなったという。しかも水素価格、1kgあたり5700円とな! 2200円のエネオスすら安く感じちゃう。

アメリカは訴訟社会のためトヨタを訴える動きも出ているようだ。買い取れ、というユーザーも。さもありなん。されど水素ステーションの件はトヨタの管轄じゃありません。そもそも水素ステーション難民の発生で一番損するの、トヨタです。国から「環境問題の強化をする。こんなクルマ作ったらどうよ。応援するから」と言われ、巨額の投資をしたのに悪者にされちゃってる。

日本の水素は30兆円が動く利権に翻弄されている、と書いたけれど、アメリカの化石燃料利権は日本の比ではない。なんと言っても世界最大の産油国ですから。石油の他、シェールガス(天然ガス)だって豊富。おそらく乗用車の燃料電池は事実上終わったんだと思う。今やアメリカで燃料電池車を買おうという人は皆無といってよい。ホンダもヒョンデも終わる。

一方、ラスベガスで開催された『商用車展覧会』は燃料電池トラックが話題を集めていた。視察に行ったホンダの清水潔さん(クラリティのチーフエンジニア。今は燃料電池領域の要職です)曰く「FCトラックが熱いです」。ただこれまた化石燃料利権が大きい。ここにきてCNG燃料(圧縮天然ガス)を使うと28%減になった。RNG(再生可能天然ガス)ならさらに換算値が良くなる。

当面の二酸化炭素排出ガス規制は、天然ガス燃料のディーゼルエンジンでクリア出来るだろう。燃料電池はここでも当て馬になってしまうかも。考えてみれば10年前は燃料電池乗用車が盛り上がった。繰り返しか。なんといっても燃料電池車で必須となる水素の供給にブレーキ掛かっている。少なくともアメリカに場合、下をみて5年は燃料電池氷河期が続くようなイメージ。利権パワー強い!

日本どうなる? そんな大きいスケールじゃなく「あんたのMIRAIどうする?」か。実はこの記事を読むまで「とっとと手放そう」と思っていた。お先真っ暗ですから。しかし! 考えてみればモリゾウさんが水素で激しくレースやってる。昨日もスーパー耐久24時間レースで完走した。昨年より大幅に進化している。トヨタは我が国で水素の火が途切れるようなことをしないと思いたい。

「そいつを信じ燃料電池車の応援団を続けよう!」と、さっき決めた! 忠臣蔵の精神ですね。私は47士か(笑)。客観的に考えると凄い技術だし。次の世代のためにも繋がないとダメ。もはや人にはすすめないが、何よりMIRAIに乗ると楽しい。忠臣蔵をやりたくないMIRAIユーザーについてはアルファードなど人気車を優先的に納車するなど、お金の掛からない誠意を見せればいいと思う。

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5 Responses to “「水素が充填出来ない!」「下取り額は極端に安い」アメリカに於ける燃料電池乗用車は終わった”

  1. sennenhund より:

    2019セントラルラリーでクニサワナンバーの先代MIRAIが発するモーター音がとても印象的でした。(2022ラリージャパンでその時の写真にサインいただきましたぁ。)

    このまま終わるは惜しいですね。なんとか盛り返して欲しいもんです。

  2. 黄色いジューク より:

    その心意気、モリゾウさんも嬉しいことでしょう。
    武士は食わねど高楊枝
    空気読むのも日本人。
    同調圧力に逆らうのも日本人。

  3. アミーゴ5号リボーン より:

    宇宙でもっともありふれた元素と言われる水素が、地球上では扱い難いというのですから、なにやら不思議な気がします。

    それだけ石油が、地上で優れた燃料ということなのでしょう。ということは逆に言うと、そう簡単には、BEVへ全面切替できないということでもあります。

    ちなみに現在、ミライを所有する自動車ヒョーロンカって何人くらいいるのかしら? まあ、メーカー資料を鵜呑みにする忖度ライターばかりだから、まずいないでしょうね。

    是非ともミライ・オーナーとしてオフ会等に参加して頂き、オーナーの方々の生の声を、メーカーや社会に伝えて頂きたいと思います。

  4. S より:

    東芝Canon連合のSED-TVと同じで、幾ら性能と技術が優れていても高ければ誰も買わないって事です。

  5. yassy より:

    私も日本の置かれている立場から水素を捨てては光がなくなると思い、応援のために2台目の車にミライを買いました!(初代中古ですがw)
    国沢さんが応援すると言ってくれて熱くなりました。ありがとうございます。
    一方、国会議員やエネルギー官僚は、何を考えているのやら…寂しくなります

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